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ブラックビート  作者: 坂戸樹水
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「眠り、から……回復する方法を……早く……」

「松尾将補っ、そんな事、田島に言ったってっ、」

「退くんだ、小僧ッ、この私が倒れる訳にはいかんッ、何としても……何としてもッ、」

「いつからだ!? いつからそんな状態だったんだ!?」

「3日前、から……折角、眠りを解明する、良い実験体が、手に入ったと言うのに……

あの小娘……何も分からないなどとッ……」

「実験体って、田島をちゃんと診てくれてたんじゃ無いんですか!?」

「こ、この事は誰にも知られては、ならない……実験体に……

この私が、実験体にされてしまう!!」

「松尾将補……」


 由月の事だ、松尾の不自然さに薄々勘づいていたのだろう。

だからこそ、自分の持つ見解を松尾に告げる事は無かったのだ。

松尾は寝惚け眼を必死に見開き、息を荒げて統也を睨む。


「知られたからには、お前も生かしてはおけん……」

「まさか、木下サンを殺したのは……」

「勘の良い男だ……目をかけていたが、それが裏目になった……」

「あんな事をして、ここにいる皆が混乱するとは思わなかったんですか!?

アンタの所為で騒ぎが大きくなって、アイツらが群がって来た!!

ここを全滅させる気ですか!!」

「何だとッ、自分の身を守って何が悪い!?

私は、お前達の実験体にされるかも知れんのだぞ!! これは正当防衛だ!!」

「何を言ってるんだ……アイツらを集めて皆と無理心中でもしようって言うんですか!?」


 現実と夢の狭間、松尾自身、傍若無人な主張をしている事に気づいていないだろう。


「ぃ、何れ私は眠りにつく……化け物どもに食われる事になろうと何も感じや、せん……

いや、然し、分からん……まずはこの小僧で、実験を、してみなければ……」


 目を血走らせる松尾は、有りっ丈の力を振り絞って田島のストレッチャーを押す。



「退けぇ!!」


「!!」



 ストレッチャーのアームが、ガシャン!! と音を立てて統也の脇腹に直撃。

統也は悶絶の痛みと共に床に蹲り、這いつくばる。


「いッッ、……ま、待てっ、」


 ストレッチャーは ザーーー!! と風を切って廊下を一直線。

このまま裏口のドアを突き破り、田島を外にほっぽり出すつもりだ。


「た、田島ぁ!!」


 間に合わない。

統也の脳裏に諦観が過ぎるその寸暇、タイヤの音が止まる。



 ガシャン!!



「!?」


 裏口のドアにぶち当たる寸での所、飛び出す由月がストレッチャーを受け止める。


「こ、小娘ッ」

「―― ッッ、」


 ストレッチャーを間に力比べ。

然し、由月の細腕が松尾の様な大男に適う筈も無い。

由月は押され、足はズルズルと床を滑る。


「この役立たずがぁ! お前ごと外へ放り出してやる!」



 ダン!!



「あ、ッッ!!」


 背は裏口のドアに押し付けられ、ストレッチャーは容赦なく由月の腹に食い込む。


「ドアが破れるのか先か、お前の胃袋が潰れるのが先か! それが嫌ならそこを退けぇ!!」

「ひ、人の言葉を喋るな、気色の悪い獣がッ、」

「小娘ぇえぇえぇえぇ!!」

「ッッ!!」


 そこに、ヒタリ……と冷たい感触が、松尾の後頭部に突きつけられる。



「!」



 松尾はストレッチャーを押す手を弱め、ゆっくりと首を捻って後ろを見やる。

視界の中心には銃口。



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