表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラックビート  作者: 坂戸樹水
81/140

81


 医務室から部屋へ戻る最中も、統也のショックは拭えない。

仁美は統也の傍らに身を寄せ、様子を気遣う。


「あの子、統也クンの友達なんだ?」

「はぃ……」

「田島クン、だっけ? 

あの人達が面倒見てくれるって言うなら任せるしかないよ。

今はそうするしか無いんだから、ね?」

「由月サンも研究してくれてますから、僕達はそれを信じて待ちましょう!」

「靖田君、キミさ、エンジン切れるとホント、大川サン頼りだよな?

松尾サンも言ってただろ? 情報が足りてないって。

それが無けりゃ机上の空論も立たないって事だ」

「そんな、由月サンならっ」

「だからぁ、そうゆうのが大川サンのプレッシャーになったりするんだよッ、

田島君の事にしたってどうなるかも分からねぇのに、適当な事言ってんじゃねぇって! 水原君も そこんトコはちゃんと言わなきゃ駄目だろ!」


 曖昧な観測で何度も出鼻を挫かれている。他人に縋ろうと、結果は自らに返るのだ。だからこそ、下手な慰めは統也の為にはならない。

統也にも『周りに勝手な事を言わせておくな!』と言う岩屋に、仁美は露骨な不満顔を見せる。


「それ、私にも言ってます?」

「言ってますが?」

「……あ。そうですか。まぁイイですけど」

「は?」


 仁美はここでだんまり。

岩屋の様な男と言い合ってもラチがあかないとでも言いたげに、仁美はフン! と顔を背けて無視。さすれば岩屋も苛立たしげに溜息を零す。


「ハァ、だから嫌なんだよッ、ったく!」


 岩屋は3人を置いて足早に部屋へ戻る。

やはり、ソリが合わない。仁美も女だてらに舌打ちをするから負けん気が強い。

オロオロと小心翼翼な日夏は、やはりしょげ返る。


「す、すいません、統也サン……僕、勝手な事を……」

「日夏が謝る事なんて無いだろ? ありがとう。皆、気遣ってくれて。

大丈夫だよ。俺も大川サンを当てにしているし、自分で出来る事はしなきゃと思ってる。だから、仲良くやっていきましょう。ね? 平家サンも」

「……まぁ、そのつもりではいるけどね」


 話を纏め、ロビーに差しかかった所で、外の様子が慌しい事に気づく。

窓ガラス越しに見える夜の闇の中を、まるでミラーボールが光を乱反射させる様に明かりが飛び回っている。


「何だ、あの光?」

「も、もしかして……ソンビ、来た?」

「化け、化け物!?」


 この騒ぎに、隊員や避難者達もロビーに集る。


「日夏、平家サンを頼む!」

「と、統也サン!?」

「ちょ、ちょっと! こんなのに私を任すなっての!!」


 統也は2人を後ろ手に制し、隊員等と共に外に飛び出すと、隊舎の屋上を見上げる。



「ぁ、あれは……何で、木下隊員が……」


「ぶら下がってる……アイツ、死んでる、のか……?」



 光の正体は隊舎の屋上に設置されている投光機。それが傾き、首を振っている。

木下は投光機の太いコードで首を吊り、ブラブラと宙に揺れている。



「タイムラグ……」



 いつ影響が表面化するか分からない。それは個人差があるもの。

統也の呟きに、隊員達は震え上がる。


「じ、自殺者か!?」

「拙いぞ……早く何とかしなけりゃ蘇える……また、あの時みたいに!!」

「ぉ、落ち着けッ、蘇えったとしても一体! あの日とは違う!

冷静に速やかに対処すれば良い! この距離から木下の頭を狙撃する!!」

「待て! 発砲許可が下りてない!」

「そんな猶予があると思ってるのか!? 今すぐ狙撃だ! 狙撃の準備をするんだ!!」


 隊員達は揃ってライフルを構える。



「ま、待って……」



 統也の制止は隊員等の耳に届かぬ儘、トリガーが引かれる。



 ダン!! ダダダダ、ダン!!



 一振り。二振り。

木下の体は大きく揺れ、そのまま落下。

ベシャリ……と鈍い音を立て収拾。

統也は その瞬間から目を背けるが、最悪の予想に悪寒が止まらない。



「ヤ、バ、イ……」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ