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ブラックビート  作者: 坂戸樹水
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 田島は一先ずの安堵感に座り込み、一息をつく。

精神的な回復には暫くかかりそうだが、統也は卓上ボタンを押し、分割された監視映像を拡大したりとモニター操作や精度を確認。

こうして延々と警戒し続けるつもりか、気を緩める様子の無い統也を見上げ、田島は苦笑する。


「統也って、いっつもそぉな?」

「え? 何が?」

「何でも全力投球ってぇか、マジメってぇか。手ぇ抜かないってぇか」

「そんな事ないけど……」

「そんな事あるし。そうゆうの、何か大人だなぁって」

「そうかなぁ? 何事も必要最低限ってのを目指してるだけだよ」

「だからそこが」


 田島から見て、統也は18才にしては大人びていると感じるのだ。

現に今も、状況把握の為の集中力を切らさないから頼もしい。

日頃、必要だと分かっていても後回しにする癖を持つ田島としては、統也の冷静さと真面目さには一目置いてしまう。


 雖も、食い入る様にモニター映像を見ても、現状の異常性を理解するには至らない。

一時を凌ぐも今後はどうすべきか、統也は田島に並んで腰を落ち着ける。


(頭の中を一端 整理しよう。

まず、事の発端は堀内。彼女はあれからどうしただろう?

本当に彼女は死んでいたのか? そこが問題だ。死んだ人間が生き返る何て事が……)



『あんなトコから落ちて無事に済むワケないじゃん! いっぱい血ぃ出てるじゃん!』

『し、死んで生き返ったんだよ!! 見りゃ解かるだろ!!』

『フザケンな!! そんなの、そんなの、ゾンビじゃねぇか!!』



(そうなんだ……

信じたくなくても、目の前で死んだ筈の人が生き返って、ゾンビみたいに襲って来た。俺達は それを目の当たりにしている)


【投身自殺した者達は辛うじて生きていた】と言う、つまらない憶測で現状を誤魔化すのはよそう。馬鹿馬鹿しくとも、今は“死者の蘇えり説”を採用した方が現実的だ。


(それじゃ、死んだらゾンビになるウイルスでも散布されたのか?

それは無いか、俺達みたいに平気なのもいるわけだから。

そうなると……ゾンビになったから死んだのか? ん? それは何か変だな……

そもそも、何でアイツらは屋上から飛び降りたんだ?

集団自殺する理由があったのか? いや、先入観は捨てよう……

ゾンビ出現に即行で生きる希望を捨てたとか、そんな理由があったとして、だよ。

あれだけの事をするのに、抗議も無ければ、悲鳴も上げずに飛び降る何て、

やっぱり どうかしてるとしか……)


 自爆テロと言う無秩序な手段を持った輩も存在する。

そんな見地で考えれば集団自殺を否定する事は出来ないが、何にしろ、主張が無い事には疑いを持ってしまう。

人生を集団でストライキする その根拠を掲げずでは、残った人間に何かを伝える事は出来ないのだから。



『皆、いきなり倒れて、しまって……俺も、急に眠く、なって……』



(死んで生き返る者、自殺する者、眠る者……関連性が見当たらない、)


「田島、さっき家に電話したんだよな?」

「ああ。母チャンに」

「電話、繋がったんだよな?」

「繋がったけど?」

「そっか……うちは繋がらなかった。誰も出なかった」

「で、出かけてたんじゃね?」

「そうなのかな……」

「……、」


 統也が何を言いたいのか、

焦燥させられる田島は、改めて携帯電話を取り出すと自宅の番号をコールする。



 ……

 ……



 出ない。

出られる状況に無いのだろう予測に、田島は諦観を隠せずに電話を切る。


「なぁ統也、もしかして、結構 広い範囲でおかしな事になってんのかな……?」

「かも、知れない……」


 実際を知るのが怖い。だが、目を伏せてもいられない。

統也は情報を求め、携帯電話のワンセグを呼び出す。

すると、何処の局も番組を中断しての特番報道。

リポーターが荒々しい口調で実況している。



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