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ブラックビート  作者: 坂戸樹水
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「これ、バリケード?」


 C市の中心部に繋がる見晴らしの良い1本道、

この周辺の死者も駆除された後なのか、静まり返っている。

その代わり、単管バリケードにガードフェンス・プラゲートが横倒しになり、赤い三角コーンが、そこ彼処に散らばっている。この様子からして、1度は警察隊が機能したのだろう。

然し、止む無く撤退したか、死者達の餌食となったか、どちらにせよC市の中心部が陥落したのは一目瞭然。前途の無さに岩屋はガシャガシャと頭を掻く。


「こんなんじゃ進めねぇぞ!

ムリヤリ乗り上げでもしたらタイヤがパンクしちまう!」


 岩屋の車は生命線と言って過ぎる事は無い。

移動力を失えない以上、車を前進させる訳にはいかない。

とは言え、水原工業へは ここから歩けば20分はかかる。

そこからオフィスの15階を目指すともなれば、かなりの時間を要するだろう。

表に出る時間としては長すぎる。

この先をどう進むべきかを統也が思量する中、日夏がすり寄る。


「と、統也サン……多分ここ、いる……」

「いるって、」

「怪物が……ゾンビじゃなくて、人間の化け物が……」

「な、何だ!? 何処だ!? 何処にいる!?」


 この手の話には耳聡い岩屋は、運転席で右往左往。日夏は頭を振る。


「そうじゃなくてっ、

見てください、あのグリーンネット、不自然じゃありませんかっ?」

「ボロボロなのがどうしたって言うんだよッ、ソンビが食い千切ったんじゃねぇのか!?」

「だったらもっと草臥れてると思いますっ、それに……

ゾンビが人間以外に噛みついてる所なんて、見た事ありません……」

「ぃ、嫌な事言うなよ、靖田君っ」

「でもっ、このバリケードを壊したのはきっと、人間の化け物ですよ!」


 怖がりな日夏だからこそ、些細な違いも敏感に感じ取れるのだろう。

酷く怯え、頭を抱えて座席にうつ伏せてしまう。

だが、ここまで来て引き返す事は出来ない。

何としても父親の会社まで辿り着きたい統也は、日夏の背に手を置き、意を決する。


「日夏、お前が自衛隊から持って来た装備で、まだ弾が残ってる銃はあるか?」


 車内には、F地区の自衛隊駐屯地から持ち込んだ物騒な武器が積まれた儘になっている。

日夏はアサルトライフトとハンドガンを一丁ずつ手に取ると、統也に差し出す。


「コ、コレとコレは使ってませんけど……」

「弾は入ってるよな?」

「一応は……」

「使い方、分かるか?」

「え!?」

「だって昨日、撃ってたじゃないか」

「ぁ、えぇ……」


 日夏は戸惑いながらも、指を指す。


「コ、ココとココ……安全装置って言うらしくて……」

「詳しく無いのか?」

「ご、ごめんなさい……あそこで1人で閉じ篭ってて、何も持ってないのは怖かったから、

ネットで調べながら弾を詰めただけで……だから、詳しい事は分からなくて……」

「そうか」


 ガンマニアでは無かった様だ。

ネットの情報に頼りきりな日夏の経験値が低いのは否めないが、今は受け売りの知識でも有り難い。統也は頷く。


「コレを外すと弾が出る?」

「そうでした。僕が使った時は」

「それで、ココが引き金ってヤツだよな?」

「は、はい。……あの、統也サン、まさか行くつもり、ですか……?」


 これは岩屋も聞きたかった事だ。統也の反応を窺う。


「岩屋サンの言いたい事は分かりますよ? でも、少し見ておきたいんです」

「ダメだダメ!! 何が出るか分かんねぇのに、こんなトコ、1秒だっていたくねぇ!!」

「でも、バリケードがどう壊されているのか、見ておいた方が良いと思いませんか?

日夏の言う人間の化け物が本当にいるのか、これからそうゆうのと出くわすかも知れない。

だから、少しでも知っておきたいんです」


 今後の生き残りを考えれば、敵に成り得る相手の情報を見落とすべきでは無い。

統也の最もな言い分に、岩屋は折れる。


「うぅ、まぁ確かに……確かにな。うん、分かった。確認な、それだけだ。早くしろな!」

「はい」


 ハンドガンは背中の腰ベルトに差し、統也は単身、車を降りる。



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