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ブラックビート  作者: 坂戸樹水
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 統也はアドレスをクリック。画面が移り変わる。

そこにはズラズラっと暗号文の様に鮨詰めにされた文字が並んでいるから、岩屋は目を回して顔を背ける。


「な、何だ!? こんなん読めねぇぞ!」


 文章にはなっている。

だが、貼り付けられる表やグラフのレイアウトは完全無視。改行も無いから読み難い。

唯一すんなり読める一行があるとすれば、ホームページのトップに記された【自然環境研究所】と言うタイトル。

少々 胡散臭いが、統也は緊張を胸に一息を飲み、画面の活字に目を這わせる。

この状況を説明する一石となる可能性を思えば、一読する価値はあるだろう。



《危惧されていた事が現実のものとなった。

地球の心音は変化し、我々人類はその変調を受け止めざる負えないだろう》



 サイケデリックな書き出し。

然し、自信を持って断言された文面でもある。


(危惧されていた? こうなる事は、以前から分かっていたって言うのか?)



《ガイア説を引いて説けば、地球は自己調整機能を持つ一つの生命体である。

その生命の上に我々人類は生かされ、無意識の中で地球と共振しあっている。

然し、人類の繁栄は地球の生命機能を脅かし、遂には損傷を与えるに到った》



(地球が生きているって言うのは分かるけど、自己調整機能って言うのは……

地球も人間のように、怪我をしたり病気になる事がある?

そんな時は熱を出したりして、ウイスルを撃退するって事か?

擬人化して考えれば良いのかな?

つまり、地球は今 具合が悪くて、その原因と言うのが……)



「人類の繁栄……人間が自然破壊や温暖化によって与えた、損傷……?」



《地球が奏でる心音は、本来7.8ヘルツ。

1900年後半を境に、その心音は徐々に上昇を始め、

2000年初期に、それはα波の上限にも達している。

生命の本質に関わる地球の脳波が変わる以上、我々人類に対する影響も計り知れない》



(だいぶ解からなくなってきたぞ……だから、そのぉ、

この人の言う『地球の脳波』って言うのが変わる事で、人間に何かしらの影響が及ぶ、って事で良いんだよな?)



「もしかして、その影響って……」



 統也は今日の出来事を振り返る。


「人が死んだり、蘇えったり、目覚めなかったり、

今の状況を作り上げてるのは、地球そのものだって言いたいのか……?」

「えぇ? それは流石に飛躍しすぎてないかぁ?」


 岩屋は異を唱える。

だが、小難しい文章は統也の解釈に要約できるだろう。


《我々生命体が人として形成されるには、幾度と無い細胞分裂を繰り返す。

DNAが2分され、螺旋状の遺伝子が解ける瞬間、

生体情報にとって負となる16ヘルツ周辺の電磁波が作用する事により必要成分は抜け出し、正常な遺伝情報が転写・合成されない事態が生じると言う報告がある》



「どうゆう意味?」

「俺にも、ちょっと……」



《端的に、地球上のあらゆる生命体の遺伝子に狂いが生じると言う事だ。

これから生まれる者・今を生きる者、人体と呼ばれる元素の集合体を含み、

逃れる術を持たずに狂い出す》



「逃れられない……」

「って事は、お手上げって事か?」

「それじゃ、こんな薀蓄に何の意味があるんだ!」


 一縷であっても期待を寄せて、この活字の海に目を這わせているのだ。

端的に、人が絶望する様な発言は控えて欲しい。


(世界規模でも追い着かない……事を大きくして不可能に集約しないでくれ!!

冗談じゃない! 俺は、どうにもならない無駄な足掻きの為にッ、)


 脳裏に蘇えるのは、リビングでの出来事。

迫る罪の意識に統也の体が震え出せば、岩屋はその動揺を鎮めるように肩を叩き、代わってパソコン画面をスクロールさせる。


「あ。なぁオイ、水原君、ここに睡眠がどーたらって書いてあるけど、何だろな?」

「え、……ぁぁ、はい、」


 感情的になってはならない。

岩屋に促され、統也は改めて画面に目を向ける。



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