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ブラックビート  作者: 坂戸樹水
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133


《地球の乱れた心音が齎す影響として、

発狂者に見られる人格破綻は、前頭葉に於ける高次機能の損傷、

もしくは異常が見られる事が挙げられる。

然し、幸いにも発狂者には理性が残されているケースが高い。

この事から前頭葉の組織が完全に破壊されていない無い事が分かる。

前頭葉は全ての司令塔とも言われ、脳組織の中で最も人間らしい部分でもある。

欲求を押さえ込む事さえ出来れば、正常を維持する事は可能だと断言できる》



「断言……」



《最も、精神力に頼らざる終えないのが現実だ。

個人差はあるが、現状に於いては安定剤などの投薬による制御が有効だと思われる》



(精神力か……父サンも必死に感情を押さえ込もうとしていた。

雅之は自分の変化を恐れていた。これは理性が残されていたから感じられた事だ。

あんな状態、そう長く保てるとは思えないけど、

発狂の心理を薬で押さえ込めるなら、救う事も出来るかも知れない)



「大川サンの難しい話にも、頭が慣れて来たかな」


 初めは頭がフリーズするばかりだったが、由月と会話する事で知識の幅が広がった様だ。

雖も、元々 統也は察しの良い性分であるから、由月の詳細さに疑問も抱く。


(でも、大学で発狂者の情報も集められたにしろ、

こうして言い切って書くのは初めてじゃないだろうか?

仮説じゃ無い。まるで見てきたかのような……)


 統也が考えを巡らせようと言う所で、ミシリ……と金属が軋む音がする。


「?」



 ……

 ……


 ―― ガシャン!!



「!?」


 車庫内に響き渡る轟音。

統也は颯爽と立ち上がり、休んでいた誰もが飛び起きる。

シャッターを見れば僅かに表面が波打っている。


「来た……【例外】だ!!」



 ガシャン!! ガシャン!! ガシャン!! ガシャン!!

 ガシャン!! ガシャン!! ガシャン!! ガシャン!!



 シャッターに体当たりしている様だ。

仁美はセダン車の後部座席から転がり降り、統也の傍らに駆け込む。


「な、何!? ゾンビ!? シャッターあるから大丈夫だよね!?」

「分かりません……平家サン、大川サンと日夏も連れて、岩屋サンの車に避難してください」

「ゎ、分かったっ、統也クンはっ?」

「もう暫く様子を見ます」


 統也を残して避難するのは気が引けるが、由月と日夏の避難を任された以上、狼狽えてはいられない。仁美は2人の元へ走る。


 シャッターは尚も殴り付けられている。

吉沢は肩の痛みを堪えながらライフルを構え、目はシャッターを見据えて、統也との距離を詰める。


「これって、松尾将補かしらね?

私の血のにおいを嗅ぎつけて来るなら、もっと早い時間にして欲しかったわ……

夜になってやって来る何て、タイミングが悪いったらない、」

「他で食事を済ませた帰りでしょう。

メインディッシュには丁度良い時間だって事、忘れてました」

「メインデッュ? 嫌な事を言わないでくれる? 私、まだ生き延びる気でいるんだから」

「勿論です。ヤツらにはオアズケを喰らわせてやりましょう」

「ええ。……でも、拙いわよ?

これ以上 シャッターが歪んだらが開けられなくなる。

そうなったら最悪のパターンしか残されて無いけど、貴方ならどうする?」


 対人用の出入り口ドアが1枚ばかり残っても意味は無い。

移動手段を失わない為にも、シャッターの動作は維持しておかなくてはならない。

統也は息を飲む。


「―― 今の内にシャッターを開ける」

「そう、ね。……まさか自分達で招き入れなきゃならなくなる何て、」

「その前に、ジープを無人で走らせる準備をしてくれませんか?

俺がシャッターを開けたら発進させてください。少しはヤツらの数が減らせる」


 背後を振り返れば、まだ3人が避難していない。

田島を置いて行けない由月を、日夏と仁美が説得している。


「大川サン! 田島は俺に任せて、早く車内に避難してください!

日夏はロケット砲の準備! 岩屋サン、いつでも加速できるようにお願いします!」


 生存の駆け引きは始まっている。

由月は日夏と仁美の2人がかりで車に押し込められ、吉沢はジープの発進準備を整える。

統也は車庫内の照明を全開にすると、シャッターまで走り、開閉ボタンに指を置く。


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