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ブラックビート  作者: 坂戸樹水
13/140

13


 死ねばゾンビ化。

仲間でい続けるには、生き残る以外の手立ては無い。


(でも、悪い事ばかりじゃないだろ……

ヤツらの感覚は鈍い。非力でノロマ。ただ彷徨いながら獲物を探すだけ。

だから、隠れられさえすれば、こうやって身は守れるし、時間も稼げる。

長期的戦略で……)



 ダン!!



「へ?」


 つい、声が漏れる。



 ダン!! ダン!! ダン!!



 何度と無くドアを叩く音。

統也は這い蹲る様に立ち上がり、モニターを見る。

そこには、もう1人の警備員が警備室のドアに体当たりする姿が映っている。

勿論、この警備員も、ついさっき死者達の餌食になったばかりだ。

既に死んでいる。だが、統也の認識とは違う。

非力どころか剛力。ドアは撓り、時機に叩き破られそうだ。



(力にも個人差があるのか!?)



 2つ目の現実を把握。

物音1つ立てずに潜んでいたと言うのに、統也達が立て篭もっている事を察知したと言うなら、存外感覚が優れていると言う事にもなる。

愈々、ここに留まってはいられない。


(こんな最悪な状況を、)


 統也は田島を背中におぶる。


「ぉ、重っ、クッソ、」


 育ち盛りの高校男子だ。

背負うには些か大きい体躯だが、田島を置いては行けない。

統也は勇気を振り絞ってドアノブを捻ると、体重を乗せてドアを押し開ける。


(1人で乗り切れるわけないだろう!!)



 バン!!

 ドサッ……



 散々 喰いつかれた体に限っては脆いのか、警備員はグシャリと音を立てて転倒。

自棄っぱっちった暴挙が功を制した事に、統也は思わずガッツポーズ。

そのまま出入り口から脱出し、再び鍵を閉める。

こうしておけば、この中にいる死者達は表に出られない筈だ。

だが、統也の形勢が好転した訳では無い。

田島と言う大きな荷物が増えた以上、益々不利な状況。


(暗くなる前に家に帰るんだ!

家なら当分やり過ごせるし、父サンと母サンの安否も確認できる!)


 心が折れる前に、住み慣れた家に帰りたい。


 運動競技場の駐車場には、グニャグニャと体を撓らせて歩く死者の姿が点々と見られる。

寝落ちた人を見つければ、ソレに群がって喰らうを繰り返す様から目を反らし、統也は物陰を伝って家路を急ぐ。


(こんな状況で、田島を背負って、良くここまで逃げて来れたよ、俺……

実はすごく強運なんじゃないか?)


 自分は何処にでもいる ありきたりな高校生だと思っていたが、寝落ちしたクラスメイトを担ぎながら死者達の追跡を逃れる何て芸当は中々のもの。

然し、その強運も薄れただろうか、

漸く差しかかった、運動競技場の外に走る大通りの惨憺たる様に目を疑う。



「何だ、これ……戦争でも起こったのかよ……?」



 茂みに埋もれ、身を隠す。

そして、生まれ育った街の景色を改めて正視。


 日々、買い物客で賑わっていた店先には 車が突っ込み、大破。

煙を吹いたバスやトラックが道を遮る様に横転している。

きっと、居眠り運転による事故が同時に発生したのだろう。

そして、その事故によって死んだ者は次々に蘇えり、この血生臭い悪臭をばら撒いている。


 学校の裏門から出れば、直接この惨事に巻き込まれたに違いない。

何度 見直しても、以前に見ていた当たり前の風景は見る影も無し。

1度は ひと気の少ない運動競技場に逃げ込んだのは正解だった様だ。


 然し、死者達は次の獲物を捕らえる為、通りを徘徊し続けている。

それは運動競技場内の比にも無い多数。

住宅街に出るには、これまで以上の危険を覚悟しなくてはならない。


(どうすりゃ良いんだよ……

迂回した所で、家から遠のくだけで危険は変わらない、

陽も傾いて来た……俺の体力だって、いつまで持つか分からない……)


 近く聞こえるのは、田島の寝息。

こんな時に呑気だと腹立つ思いもあるが、田島の存在が統也の孤独を和らげているのも事実。

随分なお荷物であっても、捨てる事は出来ない。



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