表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラックビート  作者: 坂戸樹水
124/140

124


「全ての現象に原因と結果の因果関係はあっても、必ずしも理由があるとは限りません」

「センセ、言ってる意味、全っ然解かんねぇぞぉ」

「何故、【例外】は叫んだのかしら?」

「私が撃ち続けたのよ。そうしたら立ち止まって、突然 叫んだ」

「まさか、痛くて叫んだワケじゃないよね?」


 吉沢の返答に仁美が揶揄する様に疑問符を重ねれば、由月は頷く。


「彼等に痛覚は存在しない。あったなら動く事は出来ない。

ただ、あれだけ大きな声ですから、強く空気を振動させた事でしょう。

つまり、呼び寄せたのでは無く、つまり……太陽フレアのような認識で宜しいかと思います」


 【太陽フレア】とは、太陽の表面で起こる爆発現象の事だ。

そして、その太陽活動のシステムは、現段階で明確な論拠も予想も成立していない。

理由が付けられないにしろ、太陽フレアが起これば地上への影響に停電や通信障害が引き起こされてしまう。

要はそれくらいのレベルで【例外】である松尾の雄叫びと死者召集の因果関係を理論的に結びつける事は出来ないと言いたい。


「余計に意味が解かんなくなったがぁ……

松尾将補の声がデカ過ぎたってなら、あの時と同じじゃないか。

投光機の光と銃声で、近くにいたゾンビが正門に群がったのと」


 岩屋が簡単に話を纏めるも、目撃者であった統也と吉沢には納得できるものでは無い。


「確かにあの晩は、近くにいた死者が光と音・血の臭いに反応しましたけど……

今回は、数が異常すぎる。

それに、アイツらは松尾将補の声に応えていたようにも見えました」

「ええ。それは私も感じた。一気に集まって来たのよ。松尾将補が呼び寄せたとしか……」

「それは有り得ない。彼等に意思疎通の機能は無いのだから」

「オ~イ、どっち何だよぉ?

にしても、大川センセ、随分と意思疎通に関しては『無い』って言い張るよな?」

「脳構造に伴う根拠がありますので」

「脳ミソねぇ……ゾンビが頭使ってるようには見えねぇけどなぁ?」

「脳が動いてなければ体は動きません。意思疎通にも同じ事が言えます。

必要なのは、脳のこの部分。前頭葉」


 由月は自分の額辺りを指差す。


「ここには言語・感情・判断を司る高次機能が備わっています。

前頭葉が機能しているなら、彼等は我慢する事も出来れば、恐怖すら抱いて然るべき。では、彼等の持つ行動パターンに その兆候が見られるのか?」

「いいえ、アイツらに我慢や恐怖感情なんて、とてもあるようには……」

「私も同意です。つまり、前頭葉は機能していないち考えて良い。

よって、意思疎通は不可能なのよ」


 生前の松尾は統也に銃口を突きつけられ、膝を付く程に驚愕したものだが【例外】となった今、自身の食欲に従順に突き進んでいる。

何発撃たれようと諦めて引き返す判断力すら持たない。

ここに意思疎通する機能が残っていたなら、計画的な行動を取り、経験測に基づいて撃たれるヘマもしなくなる筈だ。だからこそ、由月は異を唱える。


 雖も、如何に明解な説明であっても、目にした事実に当て嵌めるには いまいち。

仁美は眉間に皺を寄せ、頻りに首を傾げる。


「相手は【例外】なんでしょ? そうゆう力を たまたま持ってたんじゃないの?

脳なんて、科学で解明されてる部分なんて僅かだってじゃん?」


 仁美の言う通りだ。脳機能は人類にとって未開の地。

そこを突かれては、由月も否定する事は出来ない。


「……何か他に、【例外】について気づいた事はありませんか?」

「特には……」

「ごめんなさい、私もこれと言って何も」


 統也と吉沢は顔を見合わせ、首を捻る。

【例外】と対峙したとは言え、観察する程の余裕なぞ無い。

そうは言っても、【例外】の性能の目処を付けられないでは、脱出の算段も整えにくい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ