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ブラックビート  作者: 坂戸樹水
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「そう言えば、ホームページに発狂者ついても研究しているような事が書かれてましたが、発狂者も捕まえていたんですか?」


 隊員等が即席で作った駐屯地の研究室については詳しく聞いていないが、日夏の話によると、死者の観測は、大学研究室に取り付けた小型カメラで受信した映像で行うとの事。

然し、由月がどうやって発狂者を観察をしているのか、そこはハッキリしていない。


「私も気になっていたのだけど、

アナタ、ご友人達と連絡を取り合う事もせず、良くあの自衛隊に辿り着けたわね?

大学にへは立ち寄ったのかしら?」

「それは、大川サンが教えてくれたじゃありませんか。

更新されたホームページの1番下、書いてくれましたよね? 田島の事を」


 統也は携帯電話でそのページを開き、由月に見せる。



《現在、私の近くに眠る者がいる。18才・男子。

眠りについて5日目になるそうだ。まだ生きている。

場所を変えて延命できる事になった。暫くは安心してくれて良い》



「岩屋サンと日夏が大学と自衛隊のどちらへ進んだのか、

正直言って、これを見るまでは分かりませんでした。

でも、このメッセージのお陰で知る事が出来たんです。

2人が大川サンに会えたって事。大川サンが田島を看病してくれてたって事。

場所を変えてって、きっと、大学から自衛隊へ移動した事なんだと思いました。

それなら絶対、自衛隊駐屯地は避難所として機能している筈だって」


 迷う事なく駐屯地を目指して欲しいと願うメッセージが そのまま統也に届いていた事に、由月は目を丸める。


「大川サンのお陰で、挫けずに進めました。ありがとうございます」

「……もっと、親切な書き方をすれば良かったと反省しているわ」

「発狂者も見ているかも知れません。

大川サンもそう考えたからこそ、こうゆう書き方をしたんだって事くらい、

俺みたいなガキにも解かりますよ」


 気恥ずかしそうに笑う統也に目を合わせ、由月も笑みを見せる。



「噂どおりの人」



 駐屯地が死者の襲撃を受けた日もスーパーに立ち寄った後も、由月は統也を『噂とおり』と言っているが、それは未だに耳に痛い。


「どんな噂か分りませんけど、多分それ、本当、ただの噂ですよ。ハハハハ……」

「いいえ。噂どおりよ。アナタは“信じるに値する人”」

「ぇ?」


 ヒーローでも無ければ、英雄でも無い。統也は瞠若する。


「あの2人、アナタと別行動を取った事を心から悔やんでいたわ。

言葉にならない程に」

「岩屋サンと日夏が?」

「心の中で、アナタをずっと待っていた。

どんなに絶望しても、生きていると信じようとしていた。

そしてアナタは、生きて現れた」


 統也が駐屯地に辿り着いたあの瞬間の、岩屋と日夏の喜びようと言ったら無い。

遠目に眺めていた由月にも、その思いが伝わる程だ。



「信じるに値する人。アナタのような人に会えて嬉しいわ」


「大川サン……」



 由月の笑みは美しい。それは、手にとって触れたくなる程に。

だが、統也が手を伸ばしかけた所で、由月はパソコン画面に向いてしまう。


「私はもう少し続けるわ。アナタは休んでちょうだい」

「! ……ぁ、は、はい、そうですねっ、」



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