2話……脳筋は暑苦しいイメージがある。
見てくれる人が多くてビックリです。
ありがとうございます。
二人がバリバリ警戒しているぜ。
ボンキュッボンのお姉さんが両手を俺に向けているし、ゴスロリ少女はお姉さんの後ろの隠れてしまった。
まぁ俺もマジギレしちゃったのは申し訳ないとは思う。
でも人をハズレだなんだ言って知能が低いやらデブやら臭いやら言いやがって。
あ、デブとかは気のせいだたったわ。
後、火はやり過ぎだ!
火傷したらどうする気だ。まったく。
消火が早かった為か身体に痛みはない。
良かった。
さて、この緊張した状況をどうやって和やかにしたものか。
「お、恐ろしい。ただの咆哮で魔法どころか結界まで破壊するなんて……」
「今までで一番ビックリしたのだ」
ビックリって点なら俺が一番ビックリしている気がするんだけどね。
「と、とりあえずお話をしませんか?」
俺は頑張ってコミュニケーションを取ろうとする。
大事だよね。コミュニケーション。
コンビニで売ってないかな~。
「な、何かしら」
お!
俺の言葉を聞いてくれた!
「ま、まず警戒を解いてくれませんか? 俺から危害を加える気はないので」
怖い顔してちゃその美貌が台無しだぜ?
とかイケメンなら言うのだろうか。
とりあえずリア充は一発爆発しとけば良いのだ。
二人はヒソヒソと話をしている。
しばらくして話が付いたようだ。
「分かったわ。それで話って何かしら?」
いつでも動けるような感じで警戒はしているが、とりあえず攻撃の構えは解いてくれたか。
俺、そんな不審に見えるのかな。少しショックである。
「えっと。横になったままだとアレなんで起こして頂きたいな~。なんて……」
「何の冗談かしら。起こすも何もないじゃない」
「え?」
「スライムのアナタに態勢なんて関係ないんじゃないかしら」
そう言われて嫌な予感がした。
「お、俺の姿を映せるモノってありますか?」
「え? えぇ。【姿見鏡】」
パキパキと地面から氷が生え、鏡のようになり俺の姿を写した。
そこにはボヨボヨではなくポヨポヨとしたツルツルの水色のスライムが写し出されていた。
「な、なんじゃこりゃ~~!!」
プルンプルンである。
ポヨンポヨンである。
ツンツルテンである。
何だよ、これ。
ナイスガイの俺が可愛らしいスライムちゃんになっちゃったよ。
「あんまりだぁぁぁああああ~~!!」
その後、30分程大泣きしたが見かねた二人が慰めてくれた。
「えっと。アナタは異世界の住人でスライムじゃなくて人間なのね?」
「あ”い。ぞうでず」
鼻をスンスンさせてボンキュッボンのお姉さんことハローラ・バローラさんの質問に答えてくいる。
「なるほどのう。信じられんのだ」
そう言いながら俺の身体をツンツンしているゴスロリ少女ことクルル・バルハラちゃん。
俺もこの世界の事を軽く聞き、俺の今の現状を理解した。
ここは分かってはいたが異世界で魔物が跋扈し、いろいろな種類の生き物がいる剣と魔法の世界だ。
二人は人間ではなく、魔族らしい。
種族はハローラさんがサキュバスでクルルちゃんがドラゴンらしい。
俺はスライム。
悲しい。
異世界に飛ばされるのならせめて人型が良かった。
何でよりにもよってスライムなんだよ。
人じゃないし。
一頭身だし。てか頭が身体だし!
俺、性別とか無くなっちゃったのかな。
息子よ、使ってやれなくてすまなかった!
「う~ん。勇者とか転生者とかいるにはいるけど、大体は魔王と戦って死んだり勝って多額の賞金を手に入れて自由気ままに暮らしているんじゃないかしら。帰ったって話は聞かないわね」
「え~……」
それって帰りたくても帰れなかったってオチじゃね?
そもそも何で生きるか死ぬかなの?
もっと命大切にしようよ!
「それに私はアナタを戻す事出来ないわ」
「何故に!? こっちに来れたって事は戻れるって事だろう!?」
「落ち着きなさよ。私は種族的に上位の召喚魔法なんて使えないのよ」
「どうやったら帰れるんだ~!」
誰か説明書持ってこいや!
「我なら扱えるかもしれん!」
「マジで!?」
クルルちゃん最高!
「我がお主を召喚したのだ。なら最後まで面倒を見るのが務め! 我に任せるのだ!」
「付いて行くぜ! クルルちゃん!」
「我に敬称は不要なのだ」
「了解だ! クルル」
俺の味方は君だと直感していたよ!
「では、お主を我の配下にしてやろう」
「え?」
どういう事?
何か嫌な予感がする。
謎の空間に飛ばされた時と酷似した嫌な感じ。
具体的には『死亡フラグ』が立ったような感じだ。
「お主に名前を付けてお主が了承すれば完了なのだ」
「あの、配下って―」
「お主の名前は【トムテ】なのだ!」
俺の了承を待たずに俺に名前を付けるクルル。
てか俺の名前言ったよね?
えっと……。
あれ? 思い出せない。
俺の名前は~~あ、【トムテ】だ!
《報告》
『種族名:スライム』『名前:トムテ』は『種族名:ドラゴン』『名前:クルル・バルハラ』の盟友となりました。
違う!
と思った時には既に手遅れだった。
俺の頭の中に機械的な声が現実を告げた。
内心号泣しながら頭は何故か通常に活動している。
先ほどクルルに名前を言われる前は人間だった頃の名前を確かに憶えていた。
だが、クルルの口から『お前は【トムテ】なのだ!』と言われた後はビックリするほどスムーズに【トムテ】が俺の名前だと思った。
洗脳とか催眠の類なのかは分からないが、日本にいた頃の名前に関する記憶が変わっている。
これが名前を付けられて配下になったって事か。
さっきまで不安で一杯だった心が安定している。
心の傍らに大きな支えが出来たような感じだ。
この安心感はクルルとの繋がりがあるためなのか。
まっこと不思議だ。
「ん? そう言えば配下じゃなくて盟友って言ってたような?」
「なんですって!」
俺の呟きにハローラさんが反応した。
「クルル! あなた、臣下の名付けと盟友の名付けを間違えたわね!」
「てへぺろ!」
クルル、メッチャ可愛い。
「おバカ!」
ハローラさんメッサ怖い。
「とりあえず全力でやってみたのだ!」
「それがおバカって言ってるのよ! あなたは頭を使いなさいっていつも言ってるでしょう。学校の成績でも身体を動かす科目は満点なのに何で学術になると赤点だらけなの?」
「え、あ、その……」
おっと~。
クルルがハローラさんにお説教を受けているぞ。
何となく二人の関係が分かるな。
姉妹だ。
妹を可愛がる姉のハローラさん。
自分の我儘を聞いてくれる姉を持つ妹がクルル。
「面白そうだから黙って見てたけど、あなたに召喚魔法が使える訳ないじゃない!」
おい。
ツッコミどころ満載だな!
面白そうだからって放置するなよ。
それにクルルが召喚魔法使えないの知ってんなら教えろよ。
「これから覚えられるかもしれないのだ。独り立ちして五百年勉強すれば何とかなると思うのだ!」
「おバカ!」
あぁ、どうしよ。
薄々気がついちゃいたけどクルルは脳筋だったか。
スパンが長いな~。
俺、死んでないなか?
そんな長い時間をこの子と過ごして俺は帰れるだろうか?
う~ん。
二人の口論を他所にモノ思う。
そもそも俺は何故帰りたいと思ったのだろう?
家族がいるから?
やりたいゲームがあるから?
働いたら負けだと思っているから?
名付けの影響で俺の思考回路に何かしらの影響が現れたのかな?
よく考えろ。
俺は生き死にの戦いが出来るか?
即答できる。
絶対に無理!
痛いの嫌だし、動くの嫌だし、血とか無理だし、相手を傷つけるとかも嫌だな~。
でも、何となくだけど。
クルルの為に何かしたい。
そう思う。
名付けの前に言われた言葉『我がお主を召喚したのだ。なら最後まで面倒を見るのが務め! 我に任せるのだ!』ってのが本当に嬉しかった。
そして今なら分かる。
この子は。
クルルは本気で俺を元の世界に返す気でいる。
名付けで心より深い魂の部分で繋がったから分かる。
……多分。
俺は何をすべきか。
この子に全てを任せる事は出来ないだろう。
俺も力になれるのであれば俺がこの子を守ろう。
うん。
そうしよう。
何となくだが、そう思うように思考を操作されてる気が若干するが、今は良いだろう。
とりあえずは。
「よろしく頼むよ。クルル」
「ん? うむ。任せるのだ。トムテ」
「クルル。話を聞きなさい。そもそもあなたは―」
「逃げるのだ。トムテ」
「ガッテン!」
俺は動けないのでクルルに抱えられてその場を逃げる。
「待ちなさい! 二人とも!」
「「ハハハハ~!!」」
後ろからハローラさんの大声が聞こえるが、楽しいからそれで良いだろう。
「後で悪夢を見せますからね~!」
「「……」」
さて、戻って謝るか。
キャラ紹介
名前:トムテ
種族:スライム
一言:外見は某スライム
名前:クルル・バルハラ
種族:ドラゴン
一言:身長140センチ。黒髪のフランス人形のような外見。服装はゴスロリ。色は黒。靴は赤。活発+カワイイ系
名前:ハローラ・バローラ
種族:サキュバス
使用魔法:・四方結界・火炎・姿見鏡
一言:身長170センチ。金髪ユルフワカール。目鼻立ちがしっかりとしていて無駄がない美人。服装は黒ワンピース(膝上10センチ)。下着の着用は不明。お姉さん+美人系