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【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第四章 小さな転生貴族は暴走する 【少年編3】
79/618

4-15 暗き闇をもつ妹は後悔する

※3月18日に更新しました。


(クロネ視点)


 ここはどこだろう?

 どこにつれてこられたのか、まったくわからない。

 めかくしをされてつれてこられたので、ここがどこなのかわからない。

 めかくしをとっても、みおぼえのないばしょだった。

 ここは【ろうや】だろうか?

 くらいばしょにわたしはとじこめられていた。

 うまれたときからずっとハクアといっしょだったから、はなればなれになってとてもさみしい。


「うぅ……」


 わたしのめからなみだがこぼれる。

 しぜんとわたしのくちからことばがもれる。


「うるさいっ」

「ひっ」


 うっとうしいとおもったのか、そとにいるおとこのひとがどなってくる。

 どうじにさくをたたいたので、いやなおとがなりひびく。

 わたしはみみをふさいで、そのばにうずくまった。


「まったく……いやなしごとをさせられたもんだ……」

「?」


 おとこのひとはあたまをかきながら、そんなことをぼやいていた。

 いっているいみはわからなかったが、かれがいやなきもちになっているのだけはわかった。

 はじめはわたしのことをいっているのかとおもったけど、どうやらちがうみたい。

 いったいなにを……


「きゅるるっ」

「えっ!? シュバル?」


 とつぜんききおぼえのあるこえがきこえ、ふりむくとシュバルがいた。

 シュバルはぜんしんがくろいけにおおわれたいきもので、わたしがうまれたときからいっしょにいる。

 なんでもわたしとはくあがうまれるひにグレインおにいちゃんにたすけられたらしく、しろいほうといっしょにうちにきたらしい。

 しろいほうはハクアとふだんからいっしょにすごしており、なまえはアウラだ。

 といっても、このなまえはわたしたちがきめたわけではなく、シュバルたちからそういうなまえだとつたえられただけだ。

 このことはかぞくにはつたえていなかった。

 だって、かいわができないシュバルたちがそんなことをいっていたなんて、しんじられないとおもうから……

 わたしはシュバルがいてくれるおかげで、さきほどまでのこころぼそさがどこかにいっていた。

 いちばんだいじなかぞくがハクアなら、いちばんだいじなともだちがシュバルなの。

 ちかくにいてくれるだけでこころづよいそんざいなの。

 でも、シュバルがいたからといって、このじょうきょうをどうすることもできない。

 ほんとうにどうしよう。


「……グレインおにいちゃんにわるいことしたな」

「きゅるっ!」


 わたしのつぶやきにシュバルがはんのうする。

 なぐさめているよりはどちらかというと「そんなことない」といっているようだった。

 わたしがグレインおにいちゃんのことをこわがっているのは、シュバルからきいたはなしのせいだったりする。

 なんでも、たすけられたときにシュバルとアウラはかたくてくらいばしょにとじこめられたらしく、そのことをいまだにうらんでいるようだった。

 たすけられたことへのかんしゃはあるけど、こわいたいけんをさせられたうらみはわすれていないらしい。

 そんなはなしをきいたわたしはグレインおにいちゃんににがていしきをもってしまった。

 ぎゃくにハクアはアウラからはなしをきいている。

 アウラはグレインおにいちゃんについてはこういてきで、ハクアもグレインおにいちゃんになついていた。

 よわいものをたすける、ひーろーのようなそんざいだとおもっているようだ。


 グレインおにいちゃんはわたしにすかれようとしていた。

 でも、シュバルのてまえ、なかよくすることはできなかった。

 わたしじしんが「こわい」というかんじょうもあったけど……

 グレインおにいちゃんのひょうじょうはかなしそうだった。

 ふだんはあんなにたのしそうなひょうじょうをしているのに、わたしにさけられるとものすごくかなしそうだった。

 こわいとはおもいつつも、グレインおにいちゃんにそんなひょうじょうをさせるとむねのおくがちくっとする。


「(もし、もういちどあえたら……しっかりとあやまろう)」


 わたしはこころのなかでそうおもった。

 そんなわたしにさくのそとから──いつのまにあらわれたのかわからないが、いやらしいかおのふとったおとこがはなしかけてくる。


「やっとめがさめたようだな、この【あくま】め」

「えっ!?」


 わたしはおもわずおどろいてしまった。

 ききなれないよばれかたでよばれたからだ。

こういてきならいいのだけど、あきらかにわたしのことをわるくみている。

 なんで、そんなめでみられないといけないの?

 そんなことをかんがえているとさくのとびらがひらかれ、おとこがなかにはいってくる。


(グイッ)

「いたいっ」


 かみをひっぱられた。

 いたみのあまりおもわずひめいをあげてしまう。

 めをあけると、じめんにあかいかみがなんぼんかおちているのがみえた。

 おそらく、さっきひっぱられたことでぬけてしまったのだろう。

 おかあさんゆずりのきれいなあかいかみで、わたしはそれをほこりにおもっていた。

 それなのに、こんなふうにされるなんて……


「さて、きてもらおうか。【せいじょ】さまとこうしょうするために、おまえがひつようだからな」

「えっ」


 いみがわからず、わたしはくびをかしげる。

 【せいじょ】さまというのがわからなかったこともあるが、どうしてわたしがつかえるなんていわれたのだろう。

 いやなよかんがする。

 けれど、おとなをあいてにていこうすることができるはずもなく、わたしはしぶしぶついていくしかない。

 これいじょうだいじなかみをぬけさせたくないから……







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