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【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第四章 小さな転生貴族は暴走する 【少年編3】
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4-5 正直な父は提案を断る

※3月16日に更新しました。


「たかが男爵のくせに伯爵様の提案を断るとはっ」


 アレンがガフ伯爵の提案を断った瞬間、後ろにいた部下の男が怒り出す。

 先ほどエリザベスに焦がされていた騎士である。


「伯爵に提案されたからと言って自分の子供を渡せ、と? それは父親としてはあり得ない行動でしょう」

「なんだと? 父親なら娘の幸せを願うのが当然だろう。その機会を伯爵様が与えてくださっているのだぞ?」

「娘の幸せですか? はっ」

「何がおかしいっ!」


 アレンが鼻で笑ったことで騎士の男が激高する。

 まあ、完全に馬鹿にしたような反応なのだから、騎士の発言はそんなことをされても仕方のないだろう。


「君に子供はいるかな?」

「子供だと? 私はまだ独身だから、いない」

「では、わからないのも当然かな」

「何を言っている」


 理解できないようで、男の怒りのボルテージがさらに上がる。

 そんな男にアレンがはっきりと言う。


「子供というのは親にとって何物にも代えがたい宝物だ。そんな子供たちをいくら伯爵の命令だからといって渡すわけがないだろう。たとえ王族だろうが神様だろうが、大事な子供たちを奪おうとするのならば、この身が朽ち果てようとも守るつもりだ」

「っ!?」


 アレンの言葉に男が驚く。

 親にとって子供は守るべき大切な存在であり、自立できるまでは大事にすべき存在だ。

 そんな子供を得体のしれない集団に預けるなど言語道断だろう。


「まあ、子供のいない君にそんなことを言うのは酷かもしれないがな」

「貴様っ!」


 アレンの言葉に男は激高し、剣を抜く。

 まさかアレンに挑むつもりなのだろうか?

 先ほどエリザベスにボコボコにされていたのに、この男は学習能力というものがないのだろうか?

 いや、怒りに我を忘れて、アレンに攻撃しようとしているだけか。


「やめておけ」


ガフ伯爵の言葉に騎士の男は制止する。

 流石は伯爵の命令を断るわけにはいかなかったが、騎士は不満げな表情を浮かべている。


「この男は伯爵様の提案を断ったんですよ?」

「だからといって、お前がどうこうできる相手でもあるまい。相手はあの【ギガントキラー(巨人殺し)】だぞ?」

「しかし……」

「私の命令が聞けないのか?」

「……わかりました」


 伯爵に凄まれ、騎士は仕方なく剣を収める。

 そして、伯爵は再び笑顔を浮かべ、こちらに視線を向けた。


「すまんな、迷惑をかけて」

「いえいえ。彼が怒るのも当然でしょうし……」

「はははっ、そう言ってもらえると幸いだ。あとでしっかりと躾けておくさ」

「……そうしてください」


 伯爵は笑いながら自分が悪いと言っている。

しかし本当に悪いと思っている人間が笑いながらそんなことを言うだろうか?

 アレンも警戒心を抱いているようだ。


「まあ、いきなり受け入れられないことはわかっていた。とりあえず、そういう話があることだけは伝えておこうと思ったのだよ」

「……なるほど。ですが、私はどんな条件を出されても子供を手放すつもりはありませんよ」


 伯爵の言葉にアレンははっきりと拒絶の意志を伝える。

 アレンは脳筋ではあるが、人一倍家族愛の強い男だ。

 そんな男がこの提案を受けることなど、天地がひっくり返ってもありえない。


「それぐらいわかっている」

「では……」

「だが、私も立場というものがある。そう簡単に引き下がるわけにはいかんのだよ」

「……」


 伯爵の言葉にアレンは黙り込む。

 先ほどの言葉はまだ諦めていないということであり、伯爵はまだハクアのことを狙っているわけだ。


「今日の所は帰らせてもらうよ」

「……わかりました。では、気を付けてお帰りください」


 伯爵が立ち去ろうとすると、アレンも立ち上がり頭を下げる。

 身分が高いとはいえこんな奴にも頭を下げるとは、貴族というのも大変だ。



「ちっ」


 ちょうど扉から出る直前、伯爵の方から舌打ちが聞こえてきた。

 笑顔を浮かべていても、内心かなりイラついていたようだ。

 さて、今後はどんなことをやってくるか……








改訂始めました。

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