閑話10-7 女子高生は異世界召喚される
「これで【ステータスプレート】の効果はわかったか?」
「はい」
皇帝の言葉に私は頷く。
どうやら、あの石板が【ステータスプレート】であることは疑いようのない事実のようだ。
流石は異世界。
いきなり、すごいものが出てきた。
情報はそこまで大したことは書かれてはいなかったが、身分を証明するには十分な内容ではあった。
応用をすれば、国民の情報を集めるのにも役立つのかもしれない。
「では、さっそく【勇者の証明】を行うことにしよう」
「そんなことができるのですか?」
皇帝の言葉に私は首を傾げる。
【ステータスプレート】の効果は理解できた。
だが、それで勇者であることを証明することができるかはまだ疑問である。
そんな私の言葉に皇帝はあっさりと返した。
「論より証拠、だ。実際にやってみれば、わかるさ」
「はぁ……」
皇帝の言葉に私は頷く。
まあ、そこまで言うのであれば、言う通りにするけど……
私は一枚の【ステータスプレート】を受け取った。
だが、すぐに困ったことになった。
使い方がわからないのだ。
そんな私の状況に気が付いたのか、皇帝が話しかけてくる。
「【ステータスプレート】を両手に持って、目をつぶれ。そして。意識をプレートに集中しろ」
「は、はい」
皇帝の言う通りに私は行動した。
目をつむり、全神経を両手に持ったプレートに集中された。
すると、全身から腕を伝って、プレートに何か流れるのを感じた。
若干、持っているプレートが温かく感じた。
そして、その温かさが収まると、私はゆっくりと目を開いた。
私の持っていたプレートには、先ほどまでは書かれていなかった文字が浮かんでいた。
・名前:宮本 聖
・年齢:15
・状態:良好
・職業:聖女
・称号:異世界の勇者
「はい?」
書かれてある内容を見て、私は思わず呆けた声を出してしまった。
もちろん、内容が理解できなかったからではない。
いや、書かれてある内容にも驚いているけど、それよりも驚くべきことが……
「なに、【聖女】って?」
「なんだとっ!?」
「ひゃっ!?」
私の言葉に皇帝がいきなり大声を出した。
その声に私は思わず悲鳴のような声を出してしまった。
いきなりイケメンではあるが、強面の男性が大声を出せば、驚いて当然だろう。
あと、周囲にいた大人たちの視線もなぜか変わった。
まるで、私に何か期待しているかのような……
「ヒジリよ、【ステータスプレート】を渡してくれるか?」
「え? は、はい……」
私は皇帝に言われた通り、プレートを渡した。
元々、渡すつもりだったのだ。
いくら書かれてある文字を読むことができても、詳しい内容はこの世界の人じゃないとわからない。
書かれてあることがこの世界では何を意味しているのか、召喚されたばかりの私ではわからないのだ。
「ふむ……これは……」
「……」
私のプレートを見て、皇帝は考え込む。
その反応から、私のステータスが何かおかしいということはすぐに察することができた。
流石に子の反応はおかしい。
最初だったのに、これはまずくないか?
このままでは、クラスメートがステータスプレートを使いにくくなるのでは?
「えっと……何かおかしなことが?」
私は気になって、質問をする。
流石にこのまま何もわからないのでは、気持ちが悪い。
自分がどうなっているのか、それぐらいははっきりとさせておきたい。
そんな私の質問に皇帝は笑顔を浮かべ、答えた。
「おかしなことなどあるものか。まさか、我が国に【聖女】が現れるとは……これはめでたい事だな」
「はい?」
皇帝の言葉に私は首を傾げた。
本当に意味が分からなかったからである。
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