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【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第七章 成長した転生貴族は冒険者になる 【学院編2】
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閑話8-7 第二王女と公爵令嬢の会話


「あと、もう一つ頼みたいことがあるんだけど」

「頼みたいこと?」


 イリアの言葉にシャルロットは聞き返す。

 目的はシャルロットにネックレスを渡すだけではなかったのか。


「国王様に会わせて欲しいの」

「お父様に? なんで?」


 内容も予想外であった。

 国王様──つまり、シャルロットの父親である。

 娘の友達として父親に会おうとする──それはおかしくはない話である。

 あくまでそれは一般的な話であって、王女と公爵令嬢には当てはまらないが……

 しかも、イリアは「国王様」に会わせて欲しい、と言っている。

 つまり、公爵令嬢として国王に会いたい、と言っているわけだ。

 なぜかはわからなかった。


「それよ」

「え?」


 イリアが何かを指さした。

 その先にはネックレスがあった。


「お父様にグレイン君からネックレスをもらったことを伝えるの? お父様、怒らないかしら?」

「いや、娘がプレゼントを貰ったぐらいで、いちいち怒らないでしょう? 第二王女なんだから、贈り物を送られることぐらいあるんだから」

「そうなんだけど……お父様は結構私に甘いから……」

「ああ、それは否定できないわね」


 シャルロットの言葉にイリアは納得する。

 イリアの頭に浮かんだのは、二人で会っているときに声をかけてくる国王様のことである。

 仕事がまだ残っているのに、私と会話をしようとする。

 しかも、本人がいる前でシャルロットの普段の姿を聞こうとしてくる。

 シャルロットの可愛さを告げてくるときもあった。

 とりあえず、最も愛した女性の忘れ形見であるシャルロットのことを愛しているのは明白だった。

 だが、今回は関係ない──わけではないが……


「これよ」

「封筒?」


 イリアが何かを取り出す。

 それは一通の封筒だった。

 真ん中のあたりが小さく膨らんでいる。

 それは……


「この中にもう一つネックレスがあるのよ」

「え? もしかして、グレイン君はお父様にっ!?」

「そんなわけないでしょう」


 シャルロットの勘違いをイリアは訂正する。

 どこをどう取ったら、そんな勘違いをするのだろうか?

 別にそういう愛をイリアは否定するつもりはない。

 人を愛する気持ちはその人の自由なのだから、それを外野がとやかく言うのは間違っていると思う。

 ……そんな話はどうでもいいか。

 とりあえず、もう一つのネックレスの話だ。


「これはキース王子宛よ」

「お兄様宛?」


 イリアの言葉にシャルロットは首を傾げている。

 どうしてここでキース第一王子の名前が出てくるのか、わかっていないようだった。

 いや、このネックレスを送られている時点で理由はわかり切っているだろう。


「グレイン君はキース王子にも身を守るために、このネックレスを持っていて欲しいのよ」

「それは理解できるけど……お兄様に必要かしら?」

「……意外と薄情なのね、シャル」


 シャルロットの言葉を聞いたイリアがそんな感想を漏らす。

 まさか親友がこんな薄情なことを言うと思わなかった。

 十数年の付き合いであるが、初めて知った。

 イリアは少し幻滅してしまったのだが……


「ちょっと、勘違いしないで。私は別にお兄様がこのネックレスを持つ必要がないと思ったわけじゃないのよ」

「どういうこと?」


 シャルロットの言い訳にイリアは首を傾げる。

 シャルロットは何を言いたいのだろうか?


「お兄様は文武両道、警戒心もしっかり持っている。だからこそ、そうそう暗殺されるようなことにはならないと思うの」

「シャルみたいに?」

「そう、私にみたいに……って、私がしょっちゅう暗殺されかけているような言い方はやめてくれる?」


 イリアの言葉にシャルロットはツッコミを入れる。

 だが、そんなシャルロットのツッコミにイリアは反論する。


「でも、一年に何回ぐらい暗殺されそうになる?」

「……5回ぐらい?」

「嘘を言わないの。最低でも二桁はいっているわ」

「……」


 イリアの指摘にシャルロットは黙り込んでしまった。

 たしかに、1年に二桁も暗殺されそうになっているのなら、「しょっちゅう暗殺されかけている」と言われてもおかしくないことに気が付いたのだろう。

 まあ、それでも彼女がここまで生きているということは、現状でもシャルロットを暗殺から守る機能が有効であるという証拠である。

 これが今後も続くかどうかはわからないが……

 相手はこの守りを突破するために、より強力な暗殺に移行するのかもしれない。

 それを防ぐために、グレインの送ってきたネックレスはとてもありがたいものだったのだ。






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