表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第七章 成長した転生貴族は冒険者になる 【学院編2】
496/618

閑話7-6 聖氷と闇炎の姉妹たちの会話


「とりあえず、グレインお兄様がどういう意図でこのネックレスを送ってきてくれたのかわかって良かったわ」


 シルフィアのおかげで私はグレインお兄様の評価を変えずに済んだ。

 下手したら、まったく意味のない行動をする兄としてしまうところだった。

 危ない、危ない。


「まあ、私はただのネックレスでも嬉しいけどね」

「それは私も同じよ?」


 クロネの言葉に私は反論する。

 その言い方だと、私がまるでお兄様が送ってくれたのがただのネックレスがいらないと言っているようではないか。

 流石に妹としてそれはないだろう。


「では、このネックレスはしまっておきましょう。外出するときにつけるようにしましょう」

「わかったわ」

「わかった」


 シルフィアの言葉に私とクロネは答える。

 流石に普段からあんなネックレスをつけるつもりはない。

 グレインお兄様がくれたものだから簡単に壊れるようなものではないだろうが、日常生活で常につけていれば汚れてしまう可能性がある。

 それは避けたい。

 だからこそ、シルフィアの提案はありがたかった。


「この箱に入れておきますね」


 シルフィアはクロネが開封した箱を手に取り、開いた。

 そして、そこにネックレスを入れようとして……


「「グルルッ」」

((ダッ))

「「「えっ!?」」」


 突然現れた二つの影に私たちは驚いた。

 二つの影はシルフィアの手元のあたりを通り過ぎた。

 私たちは全員その陰の行く先に視線を向けた。

 そこにいたのは……


「シュバルっ!?」

「アウルっ!?」


 先ほどまで私たちのベッドに寝ていた毛玉たちであった。

 急に起きたのは構わない。

 しかし、この行動はどういうことだろうか?

 だが、それよりまずはしないといけないことがあった。


「シルフィア、大丈夫?」


 私はシルフィアに質問をする。

 先ほどのシュバルとアウルの行動でシルフィアが怪我をしたかもしれないからだ。

 そうであれば、よりきつい説教をしなければいけない。


「はい、大丈夫です。ですが……」

「どうしたの?」


 私の質問に答えつつも、何かを言おうとするシルフィア。

 しかし、それはクロネの言葉で遮られてしまった。


「ハクア、あれっ!」

「え? あっ!?」


 クロネの慌てたような言葉に私は視線を向けた。

 そして、すぐに気づいた。


「「ネックレスがっ!」」


 私たちのネックレスがシュバルとアウルの手元にあった。

 おそらく、シルフィアとすれ違った時に奪ったのだろう。

 一体、なぜこんなことを……


「シュバル、返しなさいっ!」

「アウルもよ。今なら怒らないであげるから……」


 私たちは二匹に呼びかける。

 どうしてこんなことを急にしたのかはわからない。

 だが、この二匹は別に意思疎通ができないわけではない。

 私たちが命令すれば、聞いてくれるはずなのだが……


「「グルゥッ」」

「「ええっ!?」」


 しかし、二匹は私たちの命令を聞かず、怒ったような表情を向けた。

 これは今までに見たことがない表情だった。

 まったく状況が分からない。

 どうして二匹はここまで怒っているのだろうか?

 だが、すぐに状況が変わった。


(((ブワッ))

「「えっ、何を……」」


 シュバルとアウルがネックレスに──いや、魔石に向かって【息吹(ブレス)】を放った。

 二匹それぞれの属性の奔流が魔石に向かっていき……


((シュウウウウウウッ))

「「「……」」」


 魔石に【息吹】が吸収された。

 その光景に私たちは何も言うことができなかった。

 目の前にはなぜか満足げな表情を浮かべたシュバルとアウルがいるだけだった。






ブックマーク・評価・レビュー等は作者のやる気につながるので、是非お願いします。

勝手にランキングの方もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ