↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第七章 成長した転生貴族は冒険者になる 【学院編2】
PR
383/618

7-118 死んだ社畜はダンジョンでの初魔物と遭遇する


「む? 魔物か?」


 ウォーさんが道の先に視線を向ける。

 そこには二匹の魔物がいた。

 狼型の魔物で、大型犬並の大きさだった。


「サンドウルフだな」

「サンドウルフ、ですか?」


 ウォーさんの言葉に俺は聞き返す。

 初めて潜る俺よりも彼の方が魔物に関する情報に詳しいからだ。


「土属性の狼型の魔物だ。素早い動きと土属性の魔法による多角的な動きが特徴の魔物だ」

「魔法で足場を作る、といったところですか?」

「ああ、そういうことだ。しかし、こんな魔物が現れるなんて……」

「? ダンジョンの魔物じゃないんですか?」


 ウォーさんが気になることを言ったので、俺は思わず質問してしまった。

 彼の言い分だと、このサンドウルフたちはダンジョンの魔物ではないようだが……


「今まではグレイウルフか、その上位種のブラックウルフだったはずだ」

「……その二匹はたしか魔法の属性はなかったはずですよね? ということは、ダンジョンマスターの影響が?」

「ああ、そういうことみたいだな」


 俺の指摘にウォーさんが頷く。

 どうやら俺の想像通りのことが起こっているようだ。

 こいつらはダンジョンマスターの影響で土属性が付与され、サンドウルフへと変化してしまったようだ。


「こいつらはどれぐらいの強さなんですか? 初見なんで、知らないんですが……」

「グレイウルフはDランク、ブラックウルフはCランクと言われている。そして、こいつらはCランクだな」

「ブラックウルフと同じなんですね」

「まあ、同じ狼型の魔物だからな。グレイウルフの身体能力を土属性の魔法で補助をしているようなものだ」

「元がグレイウルフとブラックウルフで強さが違いそうですね」

「……」


 俺の指摘にウォーさんが口をつぐんだ。

 もしかすると、まずい事を言ってしまったかもしれない。

 今回の件の性質上想像できることではあるが、こういう状況で何も考えずに言うべきことではなかったかもしれない。

 もしかすると、通常のサンドウルフより強い可能性が出てくるからだ。

 流石にこの状況はまずいので、俺が前に出る。


「とっとと進まないといけないので、俺が倒しましょう」


 両手に魔力を集中させ、サンドウルフに向かって魔法を放とうとする。

 俺が魔力を集中させた瞬間、サンドウルフたちがこちらに気づいたようだ。

 だが、すでに遅い。

 お前らが俺たちに襲い掛かってくる前に決着が……


「グレイン君、待ってくれ」

「え?」


 だが、俺が魔法を放つことはなかった。 

 その直前にロット先輩とヴォーパル先輩が俺たちの前に出てきたからだ。


「先輩、どうしたんですか?」

「いや、こういう雑魚は俺たちに任せてもらおうと思ってな」

「別に誰が倒してもいいんじゃないですか? これぐらい一瞬で倒せるでしょうし……」


 ロット先輩の言葉に俺は反論する。

 今は少しでも時間をかけたくない状況だ。

 だからこそ、とっとと俺が倒そうとしたのだが……


「平時ならそれでいいだろうな。だが、今は何が起こるかわからない状況だ。だからこそ、グレイン君ができるだけ消耗しないようにするべきだ」

「……たしかにその通りだけど」

「不満かい?」

「いや、そういうわけでは……」


 ロット先輩の言葉を俺は否定する。

 別に彼らが戦うこと自体に不満を持っているわけではない。

 獲物を横取りされたぐらいで癇癪を起こすほど狭量なつもりもない。


「サンドウルフはCランクの魔物ですよ? 大丈夫なんですか?」


 俺が心配しているのは、Cランクの魔物を二人が倒せるかどうかである。

 Cランク冒険者である二人ならば、サンドウルフを倒せる可能性はあるだろう。

 だが、二人はそもそもパーティーで戦うタイプの冒険者である。

 つまり、基本的には自分たちの方が数において優位である状況で戦うことが多いはずなのだ。

 だが、現状は二対二と同じ数同士の戦いであり、それで戦えるのかが心配なのだ。

 そんな俺の質問に二人は笑みを浮かべる。


「僕たちをなめてくれるなよ。Cランクが伊達じゃないことを見せてあげるよ」

「この程度の相手を一人で倒せないと、エクレールたちについていけないしな」


 二人はそんなことを言いながら、それぞれの獲物を構える。

 ロット先輩が槍、ヴォーパル先輩が片手剣だ。

 そんな二人に向かって、サンドウルフが襲い掛かってきた。


「「ガルゥッ」」


 唸り声を上げながら、二体のサンドウルフがロット先輩に飛び掛かる。

 槍という武器の性質上、矛先よりも内側に入れば致命的な攻撃を受けることはないと踏んだのだろう。

 槍使いを相手に戦う場合に有効な方法である。

 魔物だからこそ、野生の勘でそんな行動をとったのかもしれない。


「【槍車】」


 だが、二匹の狼に飛び掛かられそうになったロット先輩もただただ攻撃を受けるわけがなかった。

 その場で大きく体を回転させ、横薙ぎに槍をふるったのだ。


「「ギャンッ」」


 飛び掛かろうとして無防備になった腹部に衝撃を受け、悲鳴を上げながらサンドウルフたちは吹き飛ばされた。

 だが、流石は狼型の魔物、しっかりと着地しようと空中で体勢を整える。


((タッ))

「「グルルッ」」


 地面に降り立った瞬間、サンドウルフたちは二人に向かって唸り声を上げた。

 完全に敵愾心を持っているようだ。


「さあ、どんどんかかってこい」

「お前ら程度が俺たちに勝てるとは思わないがな」


 そんなサンドウルフたちに二人は挑発するようなセリフを発する。

 この二人、こんなキャラだっけ?







ブックマーク・評価・レビュー等は作者のやる気につながるので、是非お願いします。

勝手にランキングの方もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。