7-59 死んだ社畜は突破の光を見つける
『GLUUUU!』
(ドドドッ)
唸り声と共に地面が隆起した。
アブソルシルバーイーターが放った魔法である。
俺の胸部ぐらいの太さがある、だが先端がかなり尖っているため直撃すれば確実に刺さるだろう。
まあ、そんなものを素直に受けてやるつもりはないが……
(タッ)
俺は乗っていたアブソルシルバーイーターの鼻面を蹴って、バック宙で跳躍する。
そして、そのままアブソルシルバーイーターの背後に回り込む。
鼻っ面を蹴られて怒り狂うアブソルシルバーイーターは俺の動きに気が付いていない。
とりあえず、今のうちに対抗策を考えることにしよう。
相手はすべてではないとはいえ、体を金属で覆われているのだ。
普通に考えれば、相手にすることすら馬鹿らしいレベルである。
しかし、クエストを受けた状況ではそんなことも言ってられない。
とりあえず、いかに相手を倒せるかを考えないと……
「斬撃は効かなかった……打撃も内側に到達しているようには見えない……投げても意味はなかった」
俺は今までの行動を頭の中に浮かべる。
近接戦闘における攻撃はほとんど意味をなさなかった。
これは相手が金属で覆われているせいだろう。
ほとんどの近接攻撃に対する耐性を有しているようだ。
ならば、魔法となるのだが……
「顔に当てないように攻撃しないといけないんだよな?」
相手が吸収することが出来るので、それを考えて攻撃しないといけない。
下手をすれば、相手を回復させることになってしまうからだ。
チマチマとダメージを与えているのに、一気に回復されたら心が折られてしまう。
まあ、とりあえず弱点を見つけるか?
「まずは火」
(ボウッ)
俺は右手に火球を生み出し、アブソルシルバーイーターの背中に当てる。
しかし、結果は全くなかった。
アブソルシルバーイーターの皮膚には黒ずんだ跡が出来たが、あれは火球による灰とかそういうことだろう。
皮膚にダメージを与えているわけではない。
「次は土」
(ドンッ)
地面から勢いよく隆起させ、アブソルシルバーイーターの腹部に直撃する。
だが、鈍い音が鳴っただけでアブソルシルバーイーターにダメージを与えていない。
皮膚すら破ることが出来ていなかった。
しかも、これは魔法の中で唯一形を残しているので、これを喰われるとアブソルシルバーイーターに回復をされてしまう。
それを避けるために、俺はすぐに隆起を壊した。
「風ならどうだ?」
(ブワッ……ガキイイイイイイイイイインッ)
今度は風の刃を放った。
だが、これも傷をつけることができなかった。
正確に言うとかすり傷のようなものをつけることはできたみたいだが、そんなものは何の足しにもならない。
これで中の肉にまで到達させるためには、どれぐらいの風の刃を放たなければならないのだろうか?
少なくとも四桁は必要だと思う。
しかも、同じ個所に同じように攻撃を続ける必要がある。
魔力的には問題はないかもしれないが、そんな面倒なことはしたくない。
というわけで、風は却下だ。
「次は水だが……ん?」
最後に水の球を作ろうとしたとき、俺はあることに気が付いた。
俺の前世の記憶に引っかかるものがあったからだ。
それに気が付いた俺は放とうとした水の球を消す。
そして、構えをとった。
「ものはためしだ」
そう呟くと、俺はアブソルシルバーイーターに向かって駆けだす。
ここでようやく俺へと意識を戻したアブソルシルバーイーターは俺に向かって大きな口を開ける。
だが、真正面から突っ込むほど俺は馬鹿ではない。
というか、真正面から突っ込むのは俺にとって一番の悪手なのだ。
(ダッ)
俺はアブソルシルバーイーターとぶつかるより数歩手前で跳躍する。
アブソルシルバーイーターの頭上を飛び越え、再び背後を──正確に言うと、尾の横側に着地する。
『GLU……』
俺の行動に気が付き、アブソルシルバーイーターは振り向こうとする。
だが、奴が動く前に俺はすぐさま行動に移した。
「量はそこまで多くなく、勢いはつけて」
(ビュオオオオオオオオオオオオオオッ)
俺の手から水流が勢いよく噴出する。
前世で水道につながれたホースから出た水がこんな感じだった気がする。
出口を潰した状態かな?
「勢いはもう少し強く、そして紙のように薄く……」
(ビイイイイイイイイイイイイイイッ)
放出された水流の厚みが薄くなる。
厚みが薄くなる──それは物体にとって壊れやすくなるということだ。
同じ物体ならば、厚いものと薄いものだと当然厚いものの方が頑丈であることはわかり切っていることだろう。
それなのに、俺がどうしてこんなことをしているのかというと……
「はあっ!」
(ビイイイイイイイイッ)
俺は薄くなった状態の水流を勢い良く振るう。
水流は俺の動きに連動して、アブソルシルバーイーターの尾の付け根に向かって進んでいき……
(ズパッ)
『GLUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!』
付け根から尾を斬りおとした。
自身の尾を斬りおとされたアブソルシルバーイーターは痛みのあまり叫び声を上げた。
その声は今まで感じたことのない痛みを受け、泣き叫ぶような子供のような叫びだった。
まあ、これだけ頑丈ならば、痛みに対する耐性はないのだろう。
今まで斬られる痛みを感じたことなどないだろうからな。
『GLUUUUUUU!』
(ニヤッ)
アブソルシルバーイーターはようやく痛みをこらえるようになったのか、こちらを睨み付けてくる。
完全に俺に対して恨んでいるようだった。
まあ、自分の尾を斬りおとされたのだから、張本人である俺を恨むのは当然だろうな。
だが、そんな視線を受けて、俺が浮かべたのは笑みだった。
まるで獲物を狩ることが出来る、そんな気持ちの捕食者が浮かべるような笑みだっただろう。
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ようやく突破口を見つけましたね。
ちなみにこれはあくまで突破口の一つです。
昔、なんかのテレビで見た知識をうろ覚えで書きました。
正確な情報とは違いますが、それっぽいように書いてみました。
実際と違うことは気にしない方向でお願いします。
ちなみに実際の内容を知っている人はいるんだろうか?
流石に使っている人は気づくかもしれないけど……




