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【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第七章 成長した転生貴族は冒険者になる 【学院編2】
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7-56 死んだ社畜は考察する 2


(ダッ)


 俺は即座に地面を蹴り、一気に駆けだした。


『GLUA?』


 アブソルシルバーイーターは首を傾げる。

 おそらく、目の前にいたはずの俺がいきなり消えたように見えたのだろう。

 まあ、この事からアブソルシルバーイーターは俺の速度にはついてこられないということが分かった。


「ふんっ!」

(ガキインッ)


 俺はアブソルシルバーイーターの顔の下に潜り込み、顎のあたりを思いっ切り蹴りぬいた。

 しかし、返ってきたのは甲高い金属音と硬い物を蹴り飛ばした感触だった。

 身体強化をした状態でこれとは……


『GLUAH!』

(ドシンッ)


 俺が下にいることに気が付いたのだろう、アブソルシルバーイーターは両手足を投げ出して地面に体を落とした。

 おそらく下にいる俺を潰すための行動だろう。

 まあ、そうなることを予想して、俺はすでにその場から退いていたが……


「おらあっ!」

(ガキイイイインッ)


 今度は横っ腹を蹴り飛ばしてみた。

 だが、今度も金属音と金属の感触だった。

 恐ろしいぐらいに硬いな、こいつ。

 しかも、全身が魔銀で覆われている。

 肉弾戦で戦おうにも、これほど硬いのはかなりきつい。

 身体強化をすればいいのでは、と思っていた過去の俺を殴りたいぐらいである。


『GLUAH!』

(ドドドッ)


 今度は魔法を放ってきた。

 地面が隆起し、俺を貫こうとした。

 だが、事前に魔力が流れていることはわかっていたので、これも簡単に回避することが出来た。

 俺はそのままアブソルシルバーイーターの背後に回る。

 そして、奴の尾を掴み、全身に身体強化をかけ……


(ブウウウウンッ)

『GLUA!?』


 そのまま全身を使って、体を回転させた。

 いきなり景色が回り始め、アブソルシルバーイーターは驚愕の声を漏らす。

 それはそうだろう。

 俺の速度にもついてこられないのに、見たこともない速度で景色が回っているのだ。

 驚かない方がおかしい。


「おらあああっ!」

(ドオオオオオオンッ)


 回転する勢いそのままに俺はアブソルシルバーイーターを思いっきり投げ飛ばした。

 勢いよく飛んでいったアブソルシルバーイーターは背中から洞窟の壁に激突した。

 アブソルシルバーイーターの質量と俺の投げ飛ばした勢いが合わさり、洞窟の壁にはクレーターが穿たれ、ひびも周囲に広がった。

 ガラガラと、粉々になった壁も崩れ落ちていた。

 これだけでかなりの衝撃だとわかるだろう。

 しかし──


『GLULULU!』


 アブソルシルバーイーターには全く効いていなかった。

 傷一つない状態でこちらのことを睨みつけていた。

 ダメージはほとんどないといっても、流石にキレているようだ。

 まあ、俺も同じ立場だったら、ぶちぎれているかもしれないな。

 しかし、これはなかなか困った状況だ。

 ここまでダメージが通らないとは……

 向こうの攻撃は俺の方が動きが速いおかげで当たることはない。

 スタミナ云々の話も長年の訓練の賜物で俺はこのまま数時間どころか数日でも戦えるほどである。

 しかし、こちらの攻撃が全く効いていない。

 どちらの攻撃が効かないということで、戦況は硬直状態になってしまっているわけだ。

 さて、本当にどうするべきか……


『GLUAAAAAAAAAAAAH!』


 意を決したのか、アブソルシルバーイーターが攻撃を仕掛けてくる。

 周囲に落ちた壁の残骸を操り、俺に向かって放ってくる。

 やはり、こいつはしっかりとした魔法を使ってくる。

 しかも、それなりの実力を持っているようだ。


「ふんっ!」


 俺は地面に手をつき、土の壁を生み出した。

 放たれた壁の残骸が土の壁にぶつかり、ガンガンと鈍い音を鳴らしていた。

 魔法もかなりの実力を持っているようだが、流石に俺ほどではない。

 この程度を防ぐことは造作もない。

 だが、ここで俺は自分の失策に気付いていなかった。


『GLUAAAAAAAAAAAAAH!』

(ドガアアアアアアアアアアアアンッ)

「なっ!?」


 雄叫びと共に俺の生み出した土の壁があっさりと壊されてしまったからだ。

 もちろん、それを行ったのはアブソルシルバーイーターである。

 奴は自身の体重と速度を活かし、俺の生み出した壁を破壊してきたのだ。

 いきなり壁の向こうからアブソルシルバーイーターが現れたのだから、流石の俺も驚いてしまった。

 しかも、俺の魔力で生み出された土の壁を口に含んだので、今までにないぐらい魔力量が増えていた。


『GAAAAAAAAAAAAAAAAH!』


 壁の向こうにいる俺の姿を視認したからか、アブソルシルバーイーターは俺に向かって口を大きく開いた。

 おそらく、このまま飲み込むつもりなのだろう。

 俺はこの世界ではまだ10歳の少年の姿である。

 地球にいたころの10歳に比べれば、かなりでかい部類に入るとは思うが、それでも子供であることには変わりない。

 その程度の大きさならアブソルシルバーイーターは飲み込めると思ったのだろう。

 だが、こちらとしてはそんな簡単に飲み込まれてやるつもりはなかった。


(タッ)


 俺はこちらに向かってくるアブソルシルバーイーターを避けるために地面を蹴って跳躍した。

 そして、全身の筋肉を総動員して、宙に浮かんだ状態で前回りの状態で回転する。

 その勢いのまま……


「おらああああああああっ!」

(ガアアアアアアアアンッ)


 アブソルシルバーイーターの鼻っ柱に踵落としを決めてやった。

 やはりといったところ、金属音と金属の感触しかなかった。

 というか、顎のあたりよりも背中側の金属部分は硬い気がする。

 これはもしかすると、外側で外敵からの攻撃にさらされやすい背中側は自然と硬くなっているのもしれない。

 そういえば、普通のシルバーイーターたちも背中側は硬かった。

 これは種族的な特徴なのかもしれない。


『GLUU……』

「ん?」


 とここで、アブソルシルバーイーターが苦し気な声を上げていることに気が付いた。

 だが、先ほどの感触からダメージが通っているとは考えづらい。

 そもそも痛みにこらえているというよりは……






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