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【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第七章 成長した転生貴族は冒険者になる 【学院編2】
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7-55 死んだ社畜は考察する 1


「……とりあえず、まずは情報を集めるか」


 俺は臨時の方針を決め、すぐさま行動に移す。

 現状、アブソルシルバーイーターに対する情報を俺はあまり持ち合わせていない。

 ならば、現場で集めざるを得ないわけだ。


「まずは……」


 俺は右手をアブソルシルバーイーターに向け、拳大の石の礫を放出した。

 目に見えない速度では実験にならないので、せいぜい100キロ程度の速度で射出してみた。


(バクッ)


 アブソルシルバーイーターは石の礫を迷いなく喰らった。

 普通は何か分からないようなものが飛来してきた場合、自然と回避するべきだろう。

 叩き落すという選択肢もないわけではないが、もし飛来してきたものに経皮吸収の毒でも塗られていようものなら目も当てられないことになってしまう。

 そのため、一番効果的なのは回避なのだ。

 だが、アブソルシルバーイーターは回避する様子は一切なく、石の礫を口に含んだ。

 これは俺が射出した石の礫が危険ではないと気づいたのか?

 いや、そこまでの情報は与えていないはずだ。

 ならば、何でも喰らう悪食なのだろうか?

 これも断定するにはまだまだ情報が足りない。

 とりあえず、さらなる情報を得ることにしよう。


「はあっ!」


 俺は再び石の礫を生成する。

 今度は1個だけではなく、10個を同時に射出した。

 しかも、すべてを別の軌道で、アブソルシルバーイーターの全身に当たるように射出したのだ。

 これですべての礫を喰らうことはできない。

 果たしてアブソルシルバーイーターはどのような行動に出るだろうか……


『GLUAAH!』

(バクッ)

(カカカカカカカッ)


 アブソルシルバーイーターは真正面から来た3個の礫だけを喰らい、残り7個は口に含むことなく体に直撃させた。

 だが、流石に魔銀の性質を発現させているだけあって、まったくダメージを食らっているようには見えなかった。

 せいぜい10%程度しか出していなかったが、それでもダメージをほとんど与えられていないのは少しショックである。

 普通の魔物だったら、十分に絶命させるだけの威力はあっただろうし……


「ん?」


 とここであることに気が付いた。

 アブソルシルバーイーターから感じる魔力の量が若干ではあるが、増えたように感じたのだ。

 最初の1個の時には全く気が付かなかったが、3個を喰らった後には明らかに魔力の量が増えていたのだ。

 ここから導き出される答えは……


「【火球(ファイアボール)】」


 俺は少し多めの魔力を込めて、火球を放った。

 初級魔法とはいえ、この魔力量ならば確実にゴブリンやオーク程度なら骨も残らず灰になってしまう威力である。

 他の魔物でも耐えることはできるだろうが、ダメージを負うことは避けられないはずだが……


『GLUAAAAAAAAH!』

(バクッ)


 だが、アブソルシルバーイーターは何のためらいもなく火球に喰らい付いた。

 しかも、一口で飲み込み、体の中も火傷をした様子はなかった。

 そして……


「やっぱり増えてやがるな」


 アブソルシルバーイーターの魔力の量は増えていた。

 これで条件の一つは見つけることはできた。

 次は……


「【メテオフォール】」


 俺はアブソルシルバーイーターの頭上に巨大な岩石を生み出し、そのまま一気に落下させた。

 といっても、アブソルシルバーイーターの体より少し小さめで、アブソルシルバーイーターが口に含むことが出来ない程度の大きさである。

 そんな岩石が勢いよくアブソルシルバーイーターに向かって降ってきて……


(ガアアアアアアアアアアアンッ!)


 甲高い音が辺りに鳴り響いた。

 もちろん、岩石がアブソルシルバーイーターの背中に直撃した音である。

 かなりの重量の岩石が勢いよく直撃したわけだから、これぐらいの音が出るのは当然だろう。

 だが、アブソルシルバーイーターは全く気にした様子はなかった。

 甲高い音が鳴った時点で魔銀の硬さを超えることはできなかったわけで、ダメージなど与えることなどできていない。

 そして、ゴロンと自分の横に転がった岩石を見て、アブソルシルバーイーターは喰らい付いた。


「ふむ……ここで増えたか」


 アブソルシルバーイーターが岩石を飲み込んだ瞬間、魔力が増えたことを感じた。

 直撃させたときには全く感じなかったのに、だ。

 ここから導き出される答えは……


「経口摂取、というところか?」


 俺はそんなことを呟いた。

 アブソルシルバーイーターの魔力が増加するのは、魔力のこもった物質を口に含んだ時だけだ。

 魔法の種類は関係ない、とりあえず口にしたのなら魔力は増えていた。

 全身に魔法をぶつけた後に魔力の上昇が感じられなかったことから、魔力の経皮吸収はないと思われる。

 これは良い事を知ることが出来た。

 流石に全身で魔法を吸収できるのであれば、かなりまずかった。

 しかも、口に含んだ後に飲み込むまでは魔力の上昇が感じられないことから、魔力を持っていたとしても口の付近に近寄らなければいいわけだ。

 その程度なら、どうとでもできる。

 とりあえず……


「魔法の放出は避けた方が良いな」


 俺はそんな結論を導き出した。

 魔力を経口摂取するのであれば、魔力を持った状態で俺から離れる魔法は使わない方が良いと思う。

 顔の付近に近づけば口に含まれるし、他の部分に当たって転がった物でも口にされることがあるだろう。

 そうすれば、魔力の回復をされる可能性があるわけだ。

 つまり──


「【身体強化】をした状態で肉弾戦、といったところかな?」


 とりあえず、次の行動の指針が決まった。






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まずは情報収集、これは大事な事ですね。

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