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【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第七章 成長した転生貴族は冒険者になる 【学院編2】
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7-45 死んだ社畜、酒場での戦い 1


「おらぁっ!」


 一番近くにいた男が殴り掛かってくる。

 だが、その動きは一直線で、正直なところ目を瞑っていても避けられそうなぐらいわかりやすかった。

 まあ、此処で目を瞑れば火に油を注ぐ様なものなので、そんなことはしないが……

 とりあえず、放たれた右ストレート?を避け、左手で相手の右腕を掴む。

 そして、相手が進んでくる勢いを利用して、左足で相手の両足を刈り取る。

 もちろん、掴んだ右腕をしっかりと引く。


(ガシッ、ガッ)


「(フワッ)なっ!?」


「(グイッ)(ドスッ)がはっ!?」


 一連の流れがこれ以上ないぐらいスムーズにできた。

 正直なところ、ここまでうまくいくとは思わなかった。

 というか、いくら相手の力を利用したとはいえ、簡単に投げられすぎではないだろうか?

 警戒をしていれば、腕を掴まれたとしても投げられることはないだろうに……


「てめぇっ!」

「おとなしくしやがれっ!」


 俺の行動に男たちはさらに怒りを露わにする。

 そもそもそっちが喧嘩を売ってきたのに、どうして俺がそんなことを言われなくてはならないんだ。

 俺のやっていることは完全に正当防衛のはずなのに……

 そんなことを考えていると、二人の男は俺を中心に対角線上に並ぶ。

 さて、何を考えているのやら……


「「(コクッ)おらぁっ!」」


 男達は頷きあうと、同時に俺に襲い掛かってきた。

 両手を広げている所から、俺を捉えようとしている所だろうか?

 まあ、大人の男が二人がかりで襲い掛かれば、普通の子供ならば簡単に捕まえることはできるだろう。

 俺は普通の子供ではないわけだが……


(ひょいっ)

(ガンッ!)

「「むぐっ!?」」


 俺が跳躍すると、男たちはお互いの顔面から突っ込んでいってしまった。

 かなり鈍い音がしたので、相当痛いのではないだろうか?

 少なくとも大の男が同時に勢いよくぶつかったのだから、痛くないはずはない。

 といっても、俺が心配する義理はないが……


(ガッ)

「ニヤッ」


 跳躍している間に一人の男が俺の右の足首を掴んだ。

 空中にいる間は動けないと思ったのだろう。

 たしかにその考えは正しい。

 空中にいる場合、俺は魔法を使わない限りは動くことはできない。

 もちろん、こんなところで魔法を使うつもりはない。

 だが、もう一つだけ俺は宙に浮いたままでも動くことが出来る方法があるのだ。

 それは今回のように誰かに掴まれ、体を固定された状況である。


「ふんっ」

(バキッ)

「がはっ!?」


 俺の左足が男の顎を捉える。

 顎を蹴りぬかれた痛みに男はその場に蹲り、両手で顎を抑える。

 防御をしていない場所を思いっ切り蹴りぬかれたのだから、かなりのダメージを与えられただろう。

 といっても、流石に怪我をさせるつもりはないので、手加減──いや、足加減はしたつもりだが……


「おらあっ!」

(ブウンッ)


 男の拘束から逃れた俺が地面に着地する時を狙って、一人の男が蹴りを放ってきた。

 先ほどの俺の行動から、宙に浮かんでいる間に掴むことは愚策だと感じ、攻撃をしようとしたのだろう。

 鉱山夫にしておくにはもったいないぐらいの推察能力である。

 タイミングは完璧で、男の蹴りは俺の腹部に完璧に入った。


「なっ!?」


 だが、男の顔に勝利の笑みは浮かばなかった。

 それはそうだろう。

 蹴り飛ばそうとした相手が自分の足にしがみついているからだ。

 回避することも受け流すこともできない状況なら、向かってくる力をそのまま受け入れればいいのだ。

 この場合は相手の蹴りの流れにそのままついて行くのだ。

 そして、相手が驚いている隙を突いて、俺は地面に足をつけて腰を低くする。

 そのまま相手の両足を掴み、力を込めて──


「おおおおおおおおおおおおっ!」


 思いっ切り振り回した。

 イメージはプロレス技のジャイアントスイングだ。

 といっても、あれは本来両足を掴んで振り回す技なのだが……


「うわああああああああああああっ!」


 子供に思いっ切り振り回されている男は情けない声を出していた。

 まさか自分の6割程度の大きさしかない子供にこんな風に振り回されるとは思わなかったのだろう。

 しかも、意外と勢いよく回っている。 

 それがことさら恐怖をあおっているのだろう。


「がふっ」

「ぐあっ」

「ぎゃっ」


 振り回された男が周囲にぶつかり、次々にダメージを与えていく。

 当然、ぶつかった衝撃で振り回されている男にもダメージが蓄積されていく。

 10人程度にぶつけた後、このままではまずいかと思って、俺はフィニッシュとばかりに思いっきり投げ飛ばした。

 もちろん、人がいっぱいいるところに向けてだ。


「うわあああああああああああああっ!」

「「「「「なっ……(ドスッ)がふっ!?」」」」」


 投げ飛ばされた男は情けない悲鳴を上げながら、数人の男たちを巻き込んで吹き飛ばされた。

 いくつかテーブルも巻き込んでしまったが、問題はないだろう。

 暴れてもいいとマスターから許可を貰っているし、流石に後で請求されることはないだろう。

 そもそも俺はこの村を救いに来た冒険者だし……

 ちょっと心配になってきた。

 もう少し手加減をするか?






ブックマーク・評価・レビュー等は作者のやる気につながるので、是非お願いします。

勝手にランキングの方もよろしくお願いします。


酒場といえば、喧嘩が醍醐味ですよね?

酔っぱらえば、人というのはタガが外れやすいですから……

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