6-17 死んだ社畜は雷属性の対処法を説明する
今回、雷属性の対処法について出てきますが、内容については素人(作者)がなんとなくの内容で書いています。作者は物理学?についてはほとんど知識がないので、雷(電気)がどのような性質を持っているかは勉強していない一般人レベルの知識です。というか、何となくこんな感じかな、レベル? そのため、間違えている部分があると思いますが、気にしない方向でお願いします。
仲間の良さを見ていると、学長が今度はこちらに話しかけた。
「さて、グレイン君」
「なんですか?」
俺は多くの生徒の前だったので、猫を被る。
いや、入学式で俺のぶちぎれた姿を見ているので今さらといった感じではあるが、できるかぎり本性は隠そうと思っているのだ。
無駄なことかもしれないが……
「君はどうやってエクレール嬢の雷属性の魔法をしのいだのかな? 明らかに直撃したようだけど……」
「そうですね。完全に直撃していたせいで、全身が痺れて動けなくなりそうでした」
「ほう……なら、なぜ大丈夫だったんだ?」
俺の言葉に学長がさらに質問する。
どうやら、本気で気になっているようだ。
他の先生や生徒も同様で、周囲から多くの視線を感じる。
俺は別に隠すことではないので、説明はするが……
「僕の体に流れた雷は足を通って地面に流れたんですよ」
「「「「「え?」」」」」
周囲から驚きの声があふれた。
まあ、いきなり訳の分からないことを言ったのだから、そんなことになって当然かもしれない。
だが、俺だって適当を言っているわけではない。
「雷などは人体、物体の中に溜まってしまっても、今回のように地面や壁に接触していれば、そこから雷が流れていく性質があるんです。これを利用して、体内から雷を追い出したわけです」
「そんなことがっ!?」
「もちろん、その間も体内に雷が流れるのでダメージはありますが、どうにかすべての雷が抜けるのが早かったおかげでなんとか生き残れたわけです」
「……なるほど」
俺の説明に全員がうなずく。
詳しい原理はわかっていないようだが、雷にそういう性質があることはわかったのだろう。
頭が良い連中が集まっているので、理解できてもおかしくはない。
ちなみに、俺がやったのは地球で言うところのアースの原理だ。
電化製品の一部にアース線と呼ばれる部分があるのだが、その部分によって余分な電気は地面へと流されている。
なぜ、そんなことをしているのかというと、使用者が感電しないようにするためである。
まあ、アース線があったからと言って、完全に防ぐことができるわけではないようだが……
「つまり、しっかりと足がついている状態で雷属性の魔法はあまり効率的ではない、ということか?」
「……そうですね。雷が抜けてしまいますから、継続的なダメージは期待できませんね。といっても、あれほどの威力であれば瞬間的なダメージで十分と言えますけど……」
「グレイン君は耐えただろう」
「僕は小さいころから鍛えていますから、このレベルなら耐えきれないことはありませんよ」
学長の指摘に微笑を浮かべながら答える。
たしかに雷属性の魔法を食らった時は痛みを感じていたが、別に耐えられないほどではなかった。
まあ、あともう少しダメージが長引いていたら、かなりやばかったけど……
「「「「「……」」」」」
俺の言葉を聞き、周囲が唖然とした表情で見てきた。
いや、何その反応?
まるで俺が化け物のようでは……いや、化け物だったな
まあ、とりあえずこれは俺だから耐えられたわけだ。
「とりあえず、この方法はグレイン君独特の方法だということだな。一般人ならできるわけがない」
「……そういうことですね」
「なら、普通の人ならどういう対処法があるんだ? グレイン君だったら、それぐらい思いついているだろう?」
流石は学長。
俺のことをしっかりと理解しているようだった。
当然、普通の人手もできるような対処法はしっかりと考えてある。
説明することにする。
「もちろんですよ。普通の人なら、これを使います」
「「「「「え?」」」」」
俺がポケットから取り出したものを見て、周囲から驚きの声を上げる。
俺が取り出したのは、金属の塊だった。
別に何かにかたどられたわけでもない、ただの金属の塊だ。
それを見て、学長が興味深そうに話しかける。
「ほう……それをどう使うんだ」
「雷には金属に流れやすい性質があります。なので、これを雷に近づければ、こちらに誘導されるわけです」
「なるほど」
「ちなみに、それは金属であればなんでもいいので、この塊である必要はありません。たとえば、剣などを地面に刺してから離れれば、剣に雷が誘導され、そこから地面に雷が流れるようになります」
「それは先程グレイン君が使った技術だな」
「ええ、そういうことです」
俺の説明に学長が頷く。
どうやら納得してくれたようだ。
だが、理解できたのは学長だけのようだ。
一人の学生が手を上げる。
「だが、そんなことは咄嗟にできるだろうか?」
彼の心配はもっともだ。
雷の最も恐ろしい部分はその速度だろう。
人間では到底視認することが出来ない速度で雷は進んでいる。
魔法で使われているものは人間が行使していることから本物よりも当然遅いが、それでも人間では視認できない者には変わりない。
そんなものを相手にして咄嗟に対処できるなんて思わないだろう。
だからこそ、俺はしっかりと説明する。
「咄嗟にできないのであれば、事前に準備をすればいい」
「え?」
「いくつかの金属製の武器を地面に刺しておけばいいんだ。しっかりと距離をとってな」
「それはつまり……」
「雷の性質上、近くにある金属に誘導される。そして、そのまま地面に流れていくのだから、これだけで放出系の雷の魔法は対処できるだろう」
「そ、そうか」
俺の説明に学生が納得したように頷く。
周囲の生徒たちも同様の表情だ。
しかし、そんな中で俺に文句を言ってくる者がいた。
雷属性の魔法の使い手であるエクレール嬢だった。
「ちょっと……そんなことを言われたら、私が戦えなくなるじゃない」
彼女は俺に摘めるようにそんなことを言ってきた。
まあ、言わんとしていることがわかる。
俺が雷属性の魔法の対処法をみんなに伝えてしまったので、彼女が対処できる相手になってしまったことだろう。
だが、別にそうはなっていないはずだ。
「たしかに雷属性の魔法は対処できるようになっただろう。だけど、これはあくまで放出する魔法に限ってだ」
「え?」
「そもそもエクレール先輩は雷を身に纏わせて身体能力を上げる、触れることで雷を流すことでダメージを与えるのでしょう? ならば、事前の対処はあまり意味を成しませんよ」
「あっ!?」
俺の説明でようやく気付いたようだ。
今回の対策は普通であれば有効であるが、彼女についてはあまり意味をなさない。
なんせ、近くの金属に誘導される前に相手に雷が届いてしまうからだ。
これについては俺のようなやり方以外に方法は思いついていない。
「エクレール先輩は気にせず、自分の戦い方を続ければいいと思います。もし、その戦い方で行き詰った場合は、仲間と対策を立てればいい。僕だって、尋ねてくれればしっかりと答えますよ」
「グレイン君……」
「先輩みたいな優秀な人材を壊してしまうのは忍びないですから、しっかりと成長してもらいたいんです」
「ありがとう」
俺の言葉にエクレール先輩が感謝の言葉を告げた。
そんな彼女の様子に、仲間の三人が驚いたようにこちらを見ていた。
正確に言うと、男二人は驚いていた。
そして、なぜか女魔法使いだけは何か分かったような表情でこちらを見て……ニヤニヤしていた。
一体、何だって言うんだ?
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