第七話 国勇部隊
ヒューーーーー・・・・ドォォーーーン!
ヒューーーーー・・・・ズグワァーーン!
マーチブ山賊団の住処の森は激しく燃え果てしなく破壊し、緑豊かな森林が黒く焼け多くの生命達をこの炎と共に燃え滅ぼしていた。この豪炎の中で無数の勇士達が動き、爆炎と砲弾の雨を交わしながら突き進む猛者がいた。
自分たちの「本当の正義と真実」を武器にエーデン草原にいるアーマンティ国防軍のもとへ必死に立ち向かっていた。
倒れていく同士・・・
燃えて倒れた木に巻き込まれるモンスター・・・
煙で視界を失いながらも、ただ歩き続けるリーダー格や幹部達・・・
マーチブやリンス達には彼等のその姿は見えてはいないが、ただ自分の愚かさと悲しさに大きな雫を出しながら燃える炎の光景を見て泣いていた。
「馬鹿野郎・・・馬鹿野郎・・・」
この20年間マーチブは彼等と共に生き家族当然今までこの森で生活し生きてきた。例え人から物を盗もうが人質を取ろうが、どんなに悪さしてもこれが俺達の流儀だと通してきた。マーチブは自分の拳を地面に殴り殴り右手の甲や拳が骨が見えるまで殴り続けていた。
エーデン草原
「バルコーニー副司令。森から何かが来ます。」
国防兵からの申しに、バルコーニーは望遠鏡で見た。
!?
「・・・あれは、たしか・・元国勇部隊!!」
アーマンティ国勇部隊、20年前にアーマンティ国防軍の影暗殺隊だった特殊部隊である。
バサバサァ~バサバサァ~
かつての国勇部隊の旗が森から見え数は数十人だがこの燃える炎と共に闘志を燃やし進行してくる。
「彼等はたしか、マーチブの配下にいた部隊・・・なんて懐かしい」
当時の彼らは20代前半でこれから優秀な部隊になる若者であった、しかしあれから20年経ち今や彼等は40近く老けた・・・だが体は錆びても技や心や源は錆びてはいない。今一度彼等は国勇部隊に戻り迫り来る愚かな国防軍にボロボロになりながらも立ち向かったのである。
無実と正義の為に・・・
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
「グルルルルル」
「死ねやぁぁぁぁぁぁ」
焦るアーマンティ国防軍、迫り来る国勇隊と山賊と動物とモンスターに国防軍は脅えていた・・・・
その時の彼等の姿は、血で赤く染まり体中火傷しながらも必死に立ち向かう50数人の彼等であった。
「ふ・・・副司令!指示を!!副司令!!」
「・・・あ・・・・・あ・・・・・」
バルコーニーは指示ができなかった、当然彼等とは古き戦友だからである。かつてアーマンティで同じ地で育った友をこの手で殺すのが彼にはできなかった。
「来るな・・・来るな・・・来るなぁーー」
うおおおおおおおおおおおおお
(俺はどうしたら・・・・・・)
「鉄砲隊!構え!」
背後からの謎の司令が聞こえた!
「ふん。撃ち殺せ・・・」
キ・・・・・・・ン
「はっ!」
ズドドドドドドドドド
ズキュンッズキュン!
第2部隊の三段狙撃隊が国勇隊達を無残に撃ち殺していった。
銃弾で倒れていく戦友・・・マーチブが可愛がっていた動物達やモンスター
「親父・・・・ごめんよぉぉ・・・・」
ドサッ
その謎の声の主は、ゾルックス総司令であった。
「しっかりしてくれたまえ、副司令官」
声高く笑いながら本陣に戻るゾルックス。多くの者は笑みは無くただ悲しみで戦闘する状態ではなかった。
ゾルックスはスッキリした顔に席に座り足をくみ、レモンティを飲みこう言った。
「何を休んでいるのかね?灰になるまで撃てーーーー!!」
再びアーマンティ国防軍は火の砲弾の雨を撃ち始めた。
一方、豪炎に燃える森の中では
一人洞窟から地面をそりながら動く幹部の一人がいた。その幹部は前回トーマンの荷物から酒と間違え猛毒の「シャリル」を飲んだ山賊であった。彼の名はポルス。マーチブ山賊団幹部の中で一番若い30代で生まれつき体の弱い男でもある。
それを見て慌てて止めに入るトーマン。
「駄目ですよ・・・貴方はまだ動いちゃ・・まだ毒が残っているのですよ!」
「どいてくれぇ・・・・俺も兄者と共に死ぬんだぁぁぁ・・・ゴホッ」
豪炎の煙と毒で苦しむポルス、その彼を取り押さえるトーマン。
「死ねば・・・」
ライアンビが言った。
「マーチブ、これが貴方のしてきた今までの罪の罰よ。彼等は貴方を信じ、ここまでして貴方に着いてきた。今更無実だと証明してももはや無意味。今ここで真実が変わっても彼等は戻ってこない、潔く貴方もこの豪炎の中に行き死にに生きなさい。」
ポルスがライアンビに怒り何も知らねえくせにと怒鳴り威嚇していた。
「マーチブ・・・貴方本当に20年前に本当に動物達を殺したの?」
マーチブはライアンビに向き鎖を力で解き立ち上がりこう言った。
「ワシを・・連行しろ。」
ヒューーーーーーー
ドォーーーン!
豪炎に燃える森から白く光る発光弾が打ち上がった。アーマンティ国防軍は一度撃つのを辞め様子を見出した、次第に向こうの山から朝日が見え朝を迎えようとしていた。その朝日の光で無残に撃ち殺されている同士や部下達が見えてきた。その豪炎に燃える森の中から大きな影と小さな影の二人の影が見え国防軍の前に姿を現した。
マーチブがライアンビに連行しながら武器も無しに歩いてきた。
「あれは、ライアンビ・ブルーリーか?」
バルコーニーがライアンビと気づいた、
二人が歩く足下は倒れている同士達がおり一度そこで止まり、彼等を掴み抱き泣いた。ライアンビは目を積もり、さあ歩けと命令し国防軍の方へ連行した。
「マーチブ・サイクロン、縛り上げ捕らえました。」
バルコーニーは承知しライアンビによくやったと褒めた。しかし何故ここにライアンビがいるのか分からないバルコーニーだったが、すぐにマーチブを鎖で何十に縛り上げ鉄カゴ牢車に乗せた。
「隊長・・・お久しぶりです。」
カーーー・・・・ぺっ!
バルコーニーの額に唾をつけるマーチブ、警戒する国防兵達であったがバルコーニーが止めこの場を落ち着かせた。その奥からコツコツと歩く鎧姿が見え一人の軍人が現れた。
「おんやぁ~?誰かと思えばサイクロン君かい?」
鬼の目のマーチブがその軍人に睨付ける、その睨付ける先の者はゾルックス総司令であった。
「おかしいなぁ。バルコーニー君コイツは即排除する任務のはずだよ~?なのになんでまだここで生きているの。」カチャッ!ズン!ズンッ!
ゾルックス総司令がマーチブの足を撃つ。
「ぐっ・・・」
「あっごめん痛かった?じゃぁ~もう一発。」ズン!
すぐに撃つのを止めるバルコーニー。ゾルックス総司令は今度はマーチブの体に唾を吐き牢を蹴り出した。
「副司令君、あとで私の部屋に来なさい。それともう砲撃はいいからすぐにそいつを連れ国へ帰るよ。」
アーマンティ国防軍は砲撃を辞め、マーチブ山賊団一家全滅とマーチブ・サイクロンを捕獲しアーマンティ国防軍第2部隊、第12部隊は戦闘を辞めアーマンティ国へ帰国したのであった。
30分前のこと・・・・
「親父・・・何言ってんだよ・・・アンタが行ったら兄者達皆何のために死んだか・・」
ポルスが泣きながら言った。
「ワシは、親父失格じゃ・・・失うはずのない命が目の前で消えまた一人おまえが消えようとしている」
マーチブは彼等を止めれなかった事に悔やんだ・・・かつての20年前の事を思い出しまた罪のない者を失う姿を思い出し何かを決心し自分を連行しろとライアンビに言った。
「ポルスよ。お前は生きろ。まだお前は死ぬのがおしい、まだワシより希望や夢がある。生きて生きて明日や未来に生きろ。」
ポルスは当然首を振り泣きながら断り続けていた、ポルスの隣にいたト-マンも泣き「行かないで下さい」と言っていた。
「トーマン・・本当にすまんことをした。君も言い家族だったぜ。ポルスを頼む」
腕を組みながら話を聞くライアンビ。
「いいのかい?」
「おうよ。最後くらいケジメをつけたい」
こうしてマーチブ達はトーマンとポルスと別れ、洞窟の奥の出口に繋がるタカーン地方に目指した。
「いやだ・・・いやだ・・・親父・・俺も連れてけーーーー」
「親父ーーーーーーーーーーー!!」
マーチブは牢の中から黒焦げる森を見て自分の部下の亡き輩見て泣いていた。同時にライアンビも歩きながら今回は全てがおかしいと疑問視ながら第12部隊に戻り歩いていた。バルコーニーは目の前で戦友達を殺された事が頭に残り本当にこれで良かったのかと悩む姿もあった。多くの兵達も思っていたであろう、
この戦は本当に正しかったのかを・・・・
一行はエーデン草原から消えアーマンティ国へと帰国したのである。
一日は経った。黒焦げた森のふもとから一人の少年が出てきて無数の墓に辿り着き瑠璃色に輝く六角形の花「イターヌルアスリープ」を置き大きなあくびをした。
リンスであった。
「?。何だ。戻ったのか、おめぇら・・・」
リンスの背後に現れた二つの影は、タカーン地方避難したはずのトーマンとポルスであった。
リンスの背中に装備している「漆黒の斧」を手にし小さな体の心の音が燃え怒りを焼き尽くした。
「おっさん・・・俺が無実を証明してやんぜ。」