第五話 「真の風祭り」
エーデン草原中央部
ザッザッザッザッザッザッザッ
ガラララララ
暗闇の奥から大軍の足音が響き渡り、イスターヌルスリープスを踏みながら行進する謎の軍団隊
「止まれ~~」
頑丈そうな鋼鉄のできた鎧を装備した軍団隊長が大軍の前で命令をし、まるでこれから戦でも起きそうな空気であった。
「司令官!第2部隊、第12部隊集結完了致しました。」
「ご苦労、バルコーニー副司令」
その謎の軍団隊の正体はライアンビの祖国アーマンティ国防軍の第2部隊、第12部隊総勢500兵の数であった。
「聞けー!我々国防軍はこれよりマーチブ山賊団全滅とマーチブ・サイクロン本人排除に向かう。今まで奴を20年間好き勝手にしてきたが、もうこれ以上の好き勝手は許さん!今宵アーマンティの平和とマーチブの首を掴もうぞぉ」
アーマンティ国防軍の狙いはマーチブ山賊団とマーチブを排除する目的でエーデン草原に集結した。
長年アーマンティ国はマーチブの悪巧みに悩まされなかなか終わりが見えない日が多かった・・・
ついに国防軍は堪忍袋の緒が切れ全火力を装備しマーチブ山賊団全滅とマーチブ排除に結構した。
当然、マーチブやリンス達はこの事は知らない。
山賊団幹部VSリンス
「ククク・・小僧俺達はさっきの奴等とはそうはいかねぇぜ」
唾を吐きながら生意気そうな目で幹部達をにらみつけるリンス。
「なんだぁ大の大人がしかも数十人で子供1人相手すんのか?」
マーチブ山賊団の幹部は元々アーマンティ国防軍の兵で、かつてマーチブがまだ国防軍第十二部隊「鬼の軍神」だった頃に育ててきた部隊であった。マーチブが国を出るときに、部下30人は自ら、
「どこまでもついて行きます。」とマーチブと共に信じてきた優秀な部下達である。
その部下達が容赦なく無抵抗の素手でだけで戦うリンスに襲いかかった!
やはりアーマンティ国防軍出身のため常人よりずば抜けたスピードで攻撃してくる。
「くそ~さすがに素手じゃ限界かぁ」
リンスはこの森に入ってから今まで、立ち向かう猛者達に全て拳だけで戦ってきた、
何故背中に装備している「漆黒の斧」を使わないのか?
その理由はこの森はジャングルの様に木が密集し、とても巨大な斧を振れなく使いずらいからだ。
例え振れたとしてでも、ライアンビやトーマンに危害が掛かるかもしれない。
幹部達はリンスに飛びかかり奇妙な技で攻撃してくる。それをなんとか交わすが、かすり傷、擦り傷、ジワジワと傷つけられていくリンス・・・
「やべぇな・・ちょっときちぃ」
マーチブVSライアンビ
一方、ライアンビは先の「風祭り」が効かなかったマーチブにしつこく「風祭り」を連破していた。
なにか、大声で叫びながら怒鳴るライアンビ、それを全否定しながら喋るマーチブ・・
まるでその光景はマーチブがライアンビに「何か」を教えているように見えた。
はぁ。はぁ。
「取り消せ・・・」
「今、言った言葉・・取り消せぇぇぇぇぇぇぇ!」
ライアンビが自慢の鉄の剣で瞬足の如しの事で「怒りの風祭り」を出した。
「ダメだ、それじゃただ力入れただけの技だ。」
マーチブはライアンビの全ての「風祭り」を駄目だしを言い、
「本当の風祭りはな小娘、こうだっ!!」
シーーーーーーーーン
・・・・・・・・・・
キンっ!
時が止まった・・・・のような時間が流れ、気づけば・・・・・
ライアンビは森林の林を見ながら倒れていた。
「な・・・なにが、起きたの・・・」
マーチブは久の「風祭り」で少し笑っていた。
「小娘、風祭りはただ速いだけでは駄目だ。要はその速さの上を極めなければ本当の風祭りが初めて出来るのだ」
「自身を見せてはいかんのよ。」
マーチブが言う「本当の風祭り」は、今の素速さを超え真の素速さで魅せる舞、時、速さ、致命的、そして芸術。姿を消し華麗に決めるが如しの剣術である。
「おそらく、今のが初めて見たとなると未だアーマンティ国防軍は「風祭り」をマスターしてないな」
ライアンビはただ震えと驚きが止まらなかったであろう。今までライアンビはアーマンティ国防軍で一の素速さで短期間で「風祭り」を習得し速さには自慢があった。それが今、180℃横転され自分の剣術が侮辱されたのように悔しい気持ちであった。
ライアンビは立ち上がり落ちた剣を持ちただマーチブに構えてるだけであった。
(くそぉ・・なんなんだよ・・「真の風祭り」ってわかんねぇよ)
ライアンビの頭を混乱させながら今もう一度マーチブの事を見ていた、そもそもなんでマーチブがアーマンティ国を追い出されたのかは知らない。噂ではアーマンティ国の動物を無差別に斬り殺した罪で死刑を判決され、でなければ国外永久追放された。しかし今マーチブはこの森で動物たちと仲良く過ごし家族当然のように絆を作っている。しかも元優秀な軍神で国防軍総隊長まで推薦されそうな人材で仲間意識が高く誰よりも頼りになる存在であった。何を隠そう今魅せた「風祭り」も嘘一つも無い誠の剣術を魅せ、
まるで私は無実だと訴えるかの様な光景に見えた・・・・そんなマーチブが本当に生き物たちを無差別に殺したのか?・・・・今ライアンビは混乱と困難で迷っていた。