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高音質のスピリッツサウンド  作者: 津島時泰
3/6

激情の音

三話です!やっとファンタジーっぽくなってきました!

燃える、燃える、街は、燃える。


さっきまでの平和な景色は消え去って。少年は草原を背に走っていた。


そして炎の中、害虫ヒドラの巣窟へ...




「助けなければ」 その事しか、走って街へ向かうアルの頭には無かった。


かつてアルの故郷を襲った天災<ヒドラショック>。それは神が定めた運命なのか、何も予兆がなくやって来る。しかし人間も又、神の子。神の子は自分自身を守ろうとチカラを求めた。その功績が<魔術>。人の誇る最大の兵器。それは極めてもまだ先のあるものだった。王国アルテミスは魔術が大成された時から目をつけていたのだ。国を挙げてそれ、を当初の天災への対抗手段としてだけでなく、他国への侵略手段としても利用した。しかし天災への対抗手段を忘れていた訳ではない。そう、その手段こそが、その時代の有益な魔術師マジックマスター精霊術師スピリッツマスターを集めた精鋭部隊、<王族特務>であった。


彼の頭は恐怖で埋まっていたが、ヒドラを恐れる恐怖でなかった。襲われる事より、自分が経験した事とまた同じことが起きるのに恐怖していた。

「...もう、何も出来ないのは嫌なんだ...」

そう小声で呟くのを水晶ホロウストーンの中から、たったひとつのアルのチカラ、クリアは聞いていた。

彼女はアルの過去に何があったかは知らない。しかし尋常では無い程のアルの焦燥感を感じ取っていた。



街を通り抜けて広場へと行く。辺りには害虫ヒドラが湧いていた。多くの視線を感じるが全て害虫ヒドラ。人は居なくなり地獄が広がっていた。


そんな中からアルは一つの声を聞いた。「だれか...たす......て...」

か弱い少女のような声だったが、辺りを見回しても誰もいない。焦りは増していく。またも自分は無力なのか、と思いかけたその時だった。

「あの路地の所! 三時の方向!」

クリアが言った。彼女は今は顕現していないため水晶ホロウストーンのなかにいるが、周りの様子は分かるようだ。

「ありがとう、クリア!」ヒドラに襲われている女の子を見つけ、弾丸の如く走り出す。


このチカラで殺してやる!...サウンドは!

「《汝、求む。この棒切れにあの害虫死滅させる英雄のチカラを!!》」


激情と共に青銅の剣は輝いた。

クリアはチカラの行使を感じとり目を丸くする。

(....!!! 精霊術や魔術は感情とそれを表すサウンドでクオリティが決まる。アルくんはどれだけの怒りや思いをヒドラに持っているっていうの!?)


「....ッ! 気づかれたか!」一撃で仕留めようとしていたアルだが向こうも天災。敵意を持って向かってくるアルに気づき鋭い歯を除かせ、アルを迎撃しようとする。

アルはまたサウンドを響かせた。

「《汝、求む。この足に風と踊る速さを!》」

アルの足は輝く。そして加速する。クリアは言っていた。ポンポン出すことは出来ない、強化はできると。

風をも凌ぐ速さでヒドラと交差する。そして、一閃。

鉄より固いと言われるヒドラの甲羅を青銅の剣は二つに切り裂いた。ヒドラは二つに割れながらギィギィと鳴き、黒い煙に巻かれ霧散する。



僕が、この僕があの害虫ヒドラを一人で倒した!僕だってやれるんだ!

アルがそんな余韻に浸っているとクリアは頭の中に話しかける。

「ほらっ! アルくん気を配る抜かない!ヒドラはまだいるよ。さっさと片付けて休みましょう?」

そうだった。今は<ヒドラショック>の真っ最中なのだ。まだ「あの日」は終わってない。


と、二匹目倒しに行こうとした時だった。何処からか暗い街を照らす明かりがさした。

城からだ、眩しいと思った瞬間、五人の英傑は現れた。逆光で顔は見えないが何かなんて、このタイミングで現れるのは一つしか無いから直ぐに分かった。

魔術と精霊術のエキスパート集団。

ーー王族特務


彼らの「狩猟」は美しく、そして早い。その魅惑に魅了されまいと此方は「戦い」を繰り広げていると、赤い閃光がアルに向かってのんきな声で話しかけた。

「あ!?街であったあの子じゃん。あの時はゴメンね~。宝物庫に泥棒が入っちゃってさ~追いかけてたら家が崩れちゃったんだ。怪我はなかったかな?君、普通のチカラ以上の物を持ってるみたいだからさ、これが終わったらちょっと待っててね?団長がお呼びらしいよ。」



アルはこの声が自分を瓦礫の下敷きにした赤髪美少女、スミア·ドメインであると理解するまで数秒を要した。

そして天災は終わりを迎え、焦げた匂いが立ち上る街が平穏を迎えた。


「どこにいるんだろうね、クリア?」と心底疲れ果てたアルは問う。彼は感情こそ抑えているが、王族特務にいい思い出があまり無い。しかしそれはまた別の思い出で...

「そんなの知らないよー!」元気な声で頬を膨らませながら顕現した精霊スピリッツは返した。


二人が広場を歩いていると、人は屋内から出てきて復興を始めている。

そんな「あの日」とは違う光景に驚いているアルの所に刺客は現れた。「おっ、いたいた~おーい!」

呼ばれた方向に二人同時に振り返ると、そこにスミアはいた。大きな胸を覆い隠す王族特務の制服。特徴的な赤髪。よく見れば左右で色の違う赤と青のオッドアイ。...目立ちすぎる容姿だ...


見とれつつも恥ずかしがるアルと、敗北感を隠せないクリアにスミアは話しかける。

「王族特務、コード5スミア·ドメインですっ!出会うのはこれで三度目かな?ヨロシクね。」


「ひゃ、はい! む、無職で普通のアルバトス·デュランですッ..」もうカミカミだ...僕ってダメなやつ...

「あーはい、クリアでーす...てきとーによろしくです...」あっ...私にゃ勝てない...無理だ...

そんな茶番を見て笑っていたスミアだが、直ぐに王族特務の顔に戻り

「アルさんとクリアさんは精霊術師スピリッツマスターですね?しかも特異属性の。王から直々に召集令が出ているらしいです。これは団長が仰っていたので、本当か分かりませんが。お二方、城に同行して頂けないでしょうか!」

二人で驚く...

精霊術師スピリッツマスターになって契約結んだってバレるのはっや...

二人して少し萎えながらもアルとクリア、そしてスミアは城へと歩き始めるのだった。


スミアに連行されたアル。幼女体型のクリアはご機嫌ナナメw

まだまだ頑張るぞい!

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