再会
ここは、私立時任学園。通称時学。
ここは2年4組の教室。そして今日も……
「あ!いた!このやろう!!」
「や、やっべ!」
朝からいきなり嫌な奴に出くわしてしまった。
「まちやがれ!」
「へ、そんな事で待つ馬鹿がどこにいる!」
葛城泰斗。
簡潔に言えば不良で嫌な奴だ。
「そんな簡単に説明するなー!」
「あ、あと馬鹿だな。」
「ーーっ!?もう許さね!!」
クラスメイトの大半は「あー、今日も平和だ。」なんてほざいている。
これはいつもの事だ。俺は特に悪さした話でもないんだが……
「俺の初めてを奪った屈辱を変えさせてもらうぞ!」
「誤解を招くような事を言うな!」
一部の女子からは「キャ〜」という声が聞こえてくる。
どうやらごく一部では、俺と泰斗は恋人であり、俺が攻め、泰斗が受けらしい。よく、女子から設問攻めになったとことは言うまでもない。
「誤解なんかじゃね!俺は初めて喧嘩でお前に負けたんだからな!」
「いや、あれは偶然が偶然を呼んで……」
丁度、1年前くらいだろうか? 入学式で長〜い校長の話が終わって学食で昼食を食べようとしていた時だった。
「んー、今日はカツ丼の大盛りにしようかな〜。」
ものすごく腹が減ったてので大盛りにした。ただ、値段が500円とまーま、高い。ま、背に腹は変えられない。
そして、食券を買って並んでいた時に……
「おいこらお前!今、俺の肩に当たったろ!」
「ひぃぃぃすいませぇぇぇんんんん!」
何やら喧嘩らしき声が聞こえたので振り返ってみると……
「ち、今回は許してやるよ。よかったな俺の機嫌が良くて。」
「あ、ありがとうございます!」
そうすると、男子生徒は駆け足でその場を去っていった。
「ふん、全くどいつもこいつもまともなのがいな……」
ばったり目があってしまった。
やばい!絡まれる!
「あ、なんだお前? 俺になんかようがあんのか?」
やばいどんどん歩いてくる。こういう時は……
「逃げるが勝ち!」
その場から逃げた。せっかく500円も出して並んでいたが命には変えられない!
「あ!?こらまて!!」
やばい!追いかけてきた!しかも早い!
だが……
「へへ、こう見えて中学の頃は逃げ足の魁斗と言われてたんだ!逃げ切ってやる!」
中学時代は、ヤンキーによくカツアゲされそうになり、その度に逃げてきた。原付にも勝ったんだぜ?多分運動神経がいいのもその度にお陰かも。
「てめー、この俺が鬼の泰斗だと知って逃げる気か!?」
「なんだって!?」
葛城泰斗。多分この地区に住むものなら誰もが聞いた事はあるはずだ。
中学の時、1人でヤンキー200人と素手で戦って無傷で戦勝し、全員病院送りにした。そして、つけられたあだ名が鬼の泰斗。
鬼の泰斗の話は有名で、よく子供が夜遅くまで遊ばないように親がよく話すらしい。その結果少年の犯罪が劇的に減ったんだとか。
でもまさかこの学園に入学してるとは知らなかった。
なので……
「ぜぇー、ぜぇー。ここまで来れば大丈夫だろう。」
逃げてるというわけだ。それにしても良く走ったな。
ここは学校から2キロ離れた公園だ。途中の山道は辛かったがかなり引き離す事ができた。多分ここまで追ってこないだろうと思った……
「ぜぇ、ぜぇ、見つけたぞ……」
目の前に鬼の泰斗が立っていた。
「たく、この俺にこんな辛い事をさせてただじゃおかねーからな!」
完全に怒ってらっしゃいます。
一歩。また一歩と近づいてくる。
やばい!逃げ道がない!
この公園、実は崖があるのだ。自殺防止や子供の安全の為にあたりには3メートルくらいのフェンスが立っている。素材はチタンでできていて、登れないように網目が細かい。
逃げ切るには奴に特攻しなければならない。
でも、そんなことになれば……死亡フラグ確定。
「へへ、もう逃げられないぜ!」
バキバキバキバキ。
腕を鳴らしていつでも来いって感じだ。
「さぁー、喧嘩しようぜ!喧嘩!」
………ダメだ勝てる気がしない。だが、このまま殺られるくらいなら……
「う、うぉぉぉお!!」
俺は、拳を上げてつこんで行った。
「へん、そんなパンチいくらでもよけれ……」
交わして殴ろうと思ったその時。
ガッ!!
「あ!? やべ!」
地面に突き出ていた石に足を引っ掛けてしまい……
「あらーー!!」
思いっきりつまづいて……
ドシーン!!
ぶつかってしまった。そしてそのまま押し倒してしまい……
「………ご、ごめん!!」
「………!?」
お互いの口と口が重なりあってしまった。
そして俺の腕は泰斗の腕の方に……
ムニャン。
ん? 柔らかいぞ?
ムニャン。ムニャン。
いったい何だろうこれは?
「ひゃん!」
泰斗が何やら女っぽい声を上げた。
そして、気づいた。俺が泰斗の胸を鷲使いみにしている事を……
「お、お前、女!? 」
「………」
何も言わない。でも、なんでだろうか?その仕草はものすごく可愛く思えた。
正直心臓が別の意味でドクドクしている。
「え、え……」
「ん、え?」
「エッチ!!!!!」
「ぶべら!?」
思いっきり殴られてしまった。
「うぅ、うわぁぁぁあん!!」
なぜだか大泣きしながらどこかへ消えてしまった。
ちなみに俺は、明日の朝まで気絶して風邪をひいてしまいました。
これが、俺と泰斗の出会いだった。まさか、高校生になっていきなり大きな秘密を知ってしまうとわな。
で、なんやかんやあって今に当たるわけだ。
「その話をするなー!」
「だから、あの時は悪かったて!」
「よりにもよってファーストキスの相手がこんな貧弱男だなんて……」
当の本人は相当ショックだったのだろう。ちなみに俺もファーストキスだった。でも、女の子でよかったとは思ってる。
無論こいつを女と知っているのは俺だけだ。見た目は男の子ぽいけど意外と中身は乙女心が残ってるらしい。
「というわけだ!あの時の決着をつけるぞ!」
殴りかかろうとしたその時……
「はーい、泰斗くん席に着こうね〜。」
担任の豊川先生が助けてくれた。NICEだ、先生!
「ち、運がよかったな。」
拳を下ろし席に着いた。
ちなみに豊川先生も泰斗が女だと知っている。俺との仲を見ていつもニヤニヤしながら「乙女心は複雑なのよ〜。」とか、意味わからん事を言ってくる。
豊川先生は親しみやすくてみんなから豊ちゃんと呼ばれている。ハーバド大学を飛び級で卒業し、教員免許を取って母校で教師をやることが夢だったらしく、とても嬉しそうだ。俺たちとも年があまり変わらなくて、男子生徒からもよく、告白されている。
「はーい、とつぜんですが皆さんにお知らせがありまーす。」
お、何だろう?
「実は、今日から新しいお友達がやってきてまーす。」
新しいお友達?それって……
「先生!!」
「なんですか?栄くん?」
「はい!転校生は女ですか?男ですか?」
「ふふ、可愛い女の子ですよ。」
ウォォォォオォォ!!
男子全員大興奮だ。
そんな中、俺は豊川先生と目があった。突然先生はニヤニヤしながらおれを見つめてきた。
なんなんだ?あの様子からすると「よかったわね〜」と感じだな。何がいいんだろうか?
「転校生ね〜。お前はどう思う?」
「け、女には興味ねーよ。」
ま、それもそうか。こいつはこいつだ。
「それではどうぞ入ってきてください。」
「はい。」
ドアの向こうから人影が見えた。そしてゆっくりとドアが開いて行く。
おお、中々可愛いじゃないか。見た目からしてハーフかな?金髪ツインテールで巨乳……あれ?この子どこかで見たような……
おれの考えを無視して事がどんどん進んでいく。
「ささ、自己紹介をどうぞ。」
「はい。この度このアメリカから来ましたメリー・リーマスです。よろしくお願いします。」
ーーっ!?俺は驚きの余り立ち上がってしまった。
なぜなら……
「め、メリー!? なぜここに!?」
メリー。俺の近所に住んでいたこ幼馴染だ。俺の父親がメリーの父親さんと親友で家族のように接していた。
だが、メリーの親父さんの仕事のつごうによりアメリカへ渡米してしまった。あの時は、メリーや俺もよく泣いていたな。
と、どうやら本人も気づいたようだ。
「カズト!カスドなのね!!」
実に10年ぶりの再会だ。
「カズト〜〜〜会いたかったよ〜〜〜!!」
突然俺の元に向かって抱きついてきた。その間男子たちからの視線が怖い……
「め、メリー、とりあえず席に着こうな。な?」
「……うん。」
やっと離してくれた。
「ふふ、感動の再会の続きは後でやってね〜。」
豊川先生はとても満足そうな顔をしている。
「えっと、メリーちゃんの席は……あ、泰斗くんの後ろね。」
「はい。わかりました。」
メリーは泰斗の姿を見ても動じることもなくすぐ後ろに座った。ま、ほんの一部の生徒はガヤガヤ騒いでいたが泰斗は無視している。本当はかわいがりのあるやつなんだがな……
「おい、魁斗。」
「な、なんですか?」
「後で、話がある。屋上へ来い。弁当込みでだ。」
「はいはい。」
どうやら、何か気になる事があるらしいな。




