三人の男
「古代魔法の使える一族は、元は異世界のニホンという国の『神』の血を引き継ぐ者しか使う事は出来ない」
「か...み...」
全然普通じゃなかった私。神様の血を受け継いでいるって、うーん...。
「とは言っても、相当昔の『創造神』らしいから。確か名前は...ライト様だっけな。相当な美貌と力も持ち主だったらしい。現在は天界で落ち着いてると思うぞ」
「って事は、私は『創造神ライト』様の子孫なんですか?」
「おうよ」
「わー...」
って事は、クロノさんも? そのライト様の子孫って事かな? 遠い遠い...。
すると、水色の髪色をした男性が言った。
「好い加減僕も自己紹介しても良いかな」
「良いが、手短かにすませろよ」
「はーい」
彼は私の方を向くと、ニッコリ笑った。アーレイは呪いでもかけんばかりの勢いで彼らを見ていた。
「僕は、ナル・フォーマット。専門分野は古代文字の研究。よろしくね、リン」
「あ、はい」
「はいナル、もう終わりな」
アテルはナルを遮ると、再び私に視線を送って来た。その目は、何処か冷淡さがあった。若干怖さを覚えたが。とりあえず大丈夫だろう。
まず、このパーティのリーダー的存在であるガディが私にくっ付いているわけだから、もし彼らに何かあったとして、ガディが居る分私達には手を出さないかなーーって、何か疑り深くなってる?
「ちなみに、リンは何処か宿に泊まっているのですか?」
「い、いえ...今日初めてこの街に来て」
「では、我々と同じ宿はどうですか? 我々の部屋も余っているので、よければ泊まりますか?」
「良いんですか? ですが...」
「いや、僕等的には実際に古代魔法を見てみたいんだ。僕等が提供するのは、食住と魔法陣はどうかな。新しいのを教えて上げるよ。その代わり、どういう魔法かも知りたいんだけどね」
ナルは優しく笑った。その誘いは断りたくはない。現在魔法陣はたったの五つしか編み込まれていない。覚えているのも三つ程度だから、前のローブよりも少ない。
新しいものを教えてもらえるのなら、ずっと得。それに、遺跡に行けるついでに「獣大陸」までの経費もあちらが出してくれる。
気持ち悪いほどスムーズに事が進んでいるが、とりあえず現実なので逃避する気も疑う気もないです。
「リン、大丈夫なのか? ついて行っても」
「ねぇアーレイ。彼らは親切心と研究心で言ってくれてるわけだから、此処は甘えた方が良いと思うんだ」
甘えて...みたい! 人生で一度で良いから人に甘えてみたい! 甘えるってどんな感じなのかな? 辞書では、人の好意などを遠慮なく受け入れるとかそんな感じだったよね。
あぁ...でも、甘えるって人に迷惑をかける行為なのかな? もしそうなら、私は極力したくないのだけど...いや、良いよね一度くらい。
「...もう、まさしく運命の人ですね」
「その、魔王を倒す鍵とか...の事は今後出さないで頂けますか?」
「そう、ですか...まぁその通りですね。下手な誤解も生みそうですし」
「それが良いですよ」
私はニッコリ笑うと、アーレイの顔をチラッと見た。すると目が合う。どうも納得いかないという彼の顔は、何処か子供に戻った時のアーレイを呼び起こさせた。
あの時は可愛かった...。
「おい、今相当酷い事考えただろ」
「いや、前のアーレイは可愛かったけど、今のアーレイはカッコいいなってね」
「っ...お、お前に言われなくても分かってる!」
「フフ...」
でも、やっぱり性格は全然一緒だったね。このツンツン王子め。
私は結界を解くと、立ち上がった。すると、彼らも一緒に立ち上がった。既に完食した料理、テーブルにお金を置くと、ソファとテーブルの間から出て、思いっきり背伸びをした。
「じゃあ、行きましょうか」
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黒い糸を針に絡ませ、私はローブを縫っていた。宿「テーンマ」の一室、私はローブを脱いでナルの服を借りて、彼と本に教えられながら魔法陣を縫っていた。
下地も糸も黒いためがズレると大きいが、古代魔法に「黒」という色は相性が良いらしく、黒×黒はとても威力を発揮しやすいらしい。
だから、ナルと一緒に頑張ってます。かなり大変だけど、楽しいです。ちょっとさっき針で指刺しちゃったけど、ナルが治してくれたんだよね。というか、ナルもの凄く裁縫が上手です。
アーレイとガディがもの凄い目で睨みつけて来たけど、気にしない気にしない。
正直、男四人に対して女(しかも13歳)一人ってのは不安です。同性が後一人くらい欲しいです。すると、私の心を読み取ったかのように、ナルが言った。
「同性かぁ...僕も、正直あの二人との旅はキツい所なんだよね。君に会えて嬉しいよ!」
「そうなんですか...え?」




