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海の向こうで  作者: 瀧 伊織
1/1

記憶




大切な人、そのすべてに。

その日も海は凪いでいた。

北国の真冬の空気は、氷みたいな匂いがする。波が太陽を反射して、踊るようにきらきらと光る水面。


何か美しい映像を観ている心地で、浩介は学ランのポケットに手を突っ込んだまま佇んでいた。


「こうちゃん。」


どんっとエナメルバッグの中身が踊る音がして、振り返ると瑛奈がいた。


「いてーよ。」

「うそつき。」

「うん、ごめん。」


瑛奈はお揃いのエナメルバッグを体の前に持ってきて、なにやらごそごそと探し物をしだした。


「やっぱさ、この鞄お揃いってちょっと恥ずかしくね?」

「だってしょうがないじゃん。かぶっちゃったんだから。」


あった、と手袋をぎちぎち言わせながら引っ張り出そうとしている。


「うわぁ、伸びちゃう伸びちゃう。」

「雑すぎんだろ。」

「だよね。」


けらけらと屈託なく笑う彼女を見て、好きだな、なんて言葉が湧いて出た。そんな単純さに、うわ恥ず、なんて思ったらいつの間にか顔に出ていたらしい。

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