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~第七章~

      挿絵(By みてみん)



 カイは女王ルピアの招きを受けノンマルタスの都を訪れた。

 

 そして其処で、ノンマルタスが受け継いだ偉大なる伝説の大陸の遺産を目の当たりにした。

 ノンマルタスの都自体もその遺産の産物。

 巨大なドームの中にノンマルタスの都は存在した。

 その中で陸のそれと変わりなく人々は暮らしている。

 最初出会った時、“人魚”だと思ったアリアの姿も、海をより早く自由に動く為の装備(スーツ)だった。


 だが、その技術は既に失われている──

 ノンマルタスはただそれを維持する術しか持っていない。

 でもそれでいいのだと女王は言った。


『突出した力は人を狂わせる。この力を使えば世界を手中に治める事も可能でしょう。しかし、私たちはそんな事を望んではいない。偉大なる文明が、大陸が滅び――その技術が伝わらなかったのも、神の御意志なのだと思います。私たちはただ、この遺産を護りながら……今よりも更なる深い海の底で静かに生きる事を選択しました。私たちの存在が、もう二度と陸の人々を脅かす事のないように』


 ルピアはカイに『共にノンマルタスの都で暮らさないか?』と提案した。

 しかし、カイは断腸の想いでその申し出を断った。


『私は地上に戻ります。そして地上の人々を説得します。ノンマルタスも同じ人間だという事を皆に伝え、共に平和に暮らせる日が一日も早く来るように』


 それがカイとルピアとの“約束”だった。


 女王ルピアは唯一人、地上に残る一族に~最愛の息子~に二つの贈り物をした。

 一つはカイの瞳と同じ色をした石を嵌め込んだ首飾り。

 もう一つは“ムーカイト島”。


 そう、ムーカイト島はある日忽然と海から出現した島だったのだ。


 そしてノンマルタス一族はその都ごと、今より更に深い海の底へと沈んで行った。


 しかし、約束が果たされる事はなかった──



   ☆     ☆     ☆     ☆     ☆



 地上の人々にとってノンマルタスは“脅威”でしかなかった。

 人は己以上の力を持つ者の存在を認めない。


 しかしカイは人々にとって特別だった。

 カイは国王であり、戦士の長であり、英雄だった。


 カイは地上に戻りマリオネット姫と結ばれた。

 カイがアリアに恋をして苦しんでいた時も、自分にノンマルタスの血が流れている事を知った時も――何時も直ぐ傍でカイを支えたのはマリオネットだった。

 アリアの時のような激しい恋ではなかったが、カイは深く静かにマリオネットを愛していた。


 二人の間に出来た子供にノンマルタスの血が流れていたなら、或いは運命は変わったのかもしれない。

 だが、ノンマルタスの血は継がれなかった。

 

 月日の流れと共にノンマルタスの記憶は風化されていった。



 そして今から約百年前。

 隣国フローライトは次々と周りの国々を侵略しアクアオーラもフローライトに併合されアクアオーラ領となった。

 アクアオーラの王家一族はムーカイト島に幽閉され、フローライトは古の伝承を持ち出して『あの島に住むのは海人の血を継ぐ一族だ』という噂を流した。

 王家一族の幽閉と言う事実を置き換えようとしたのだ。



 ──これがセレスたちの始祖であるカイと、その末裔たちの物語である――


 嘗ての伝説には、アリアとマリオネットという正反対のタイプの姫が登場するのですが、私は昔からどちらかと言えばマリオネット派でした。

 それは自分がアリアに近いからマリオネットに憧れてる~というのが正しいんですけどね。

 アリアは共に戦い、マリオネットは信じて待つタイプ。

 私はじっと待ってるっていうのは苦手です。出来れば共に戦いたい。(戦う力があるかどうかは別にして)

 でも逆の立場だったら信じて待っててくれた方がいいなあ~なんて思います。

 帰れる場所があるから戦える的な。

 信じて待つっていうのは勇気と忍耐がいる。

 凄く強い人なんだと私は思うんですよね。

 皆さんはどう思いますか? ……なんて聞いてみたりして。


 それともう一つ。

 親同士が決めた事とは言え、カイとマリオネットは許婚者だった訳で……。

 カイはマリオネットの事を妹のような存在だとずっと思ってたんですが、マリオネットは幼い頃からカイの事を異性として好きだったんですよね。

 マリオネットにしてみれば他の女とカイが浮気してるって状況なんですが、マリオネットは愚痴の一つも恨み言も言わずにカイを支え続けました。

 自分で書いてて言うのもなんですが“出来た人”だなあ~って感心してました。

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