表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/24

~第五章~

  挿絵(By みてみん)


 「ノンマルタス一族!?」

 「そう。それが、あんたたちが“海人”と呼んでる一族の名だ!」


 正直驚いた。……と言うか信じられなかった。


 “海人”の一族は本当に実在するのか!?


「ノンマルタスは遥か昔、西の彼方に存在したと言われる幻の大陸。その大陸が沈む直前に自らの遺伝子を操作し生き延びた人々の末裔。正確には海でも陸でも生きていける水陸両棲人間(・・・・・・)だ!!」


 シェルの言葉は私の理解の範疇を超えていた。

 それは俄かには信じられない言葉だった。



  ☆     ☆     ☆     ☆     ☆ 



 アクアオーラ王国はその領土の三分の二が海に囲まれた小さいながら美しく平和な国だった。


 カイは戦士の長ケイトを父に、緑がかった碧い髪と瞳を持つ美しい異国の姫ルピアとの間に産まれた。

 ルピア姫はカイを産んで直ぐに他界した為、カイは母を知らずに育ったが、厳しくも優しい父と、父と無二の友であり主君でもあるアクアオーラ国王オプシディアンに可愛がられ何不自由なく幸せに暮らしていた。


 王の一人娘であるマリオネット姫とは兄妹のように仲がよく、オプシディアンはカイをマリオネットの許婚に望み、カイはやがてアクアオーラ王となることが約束されていた──


 しかし、平和な時は長くは続かなかった。

 戦士の長である父ケイトが何者かに暗殺されたのだ。


 カイは哀しむ暇もなく父の後を継ぎ戦士の長となったが、それは同時に人外の力を持つ者たちとの戦いの始まりを意味していた。


 人外の力……


 その敵は海の中を自由に動くことが出来た。


 それだけではない。


 人ならざるその敵は遥かに人の能力(それ)を凌いでいた。


 超越した身体能力。


 それは“人”では決して敵わない“超越者”との戦いだった。


 その戦いの中で、カイは瀕死の重傷を負う。

 利き腕である右腕は二度と剣を振るう事は出来なかった。


 しかし、生死の間を彷徨った事でカイは眠っていた力を呼び覚まされる事となる。

 それは、こんな戦いさえなければ生涯目覚めなかったであろう力。

 人外の力を持つ敵と互角――それ以上に戦える力。


 その敵の名は“ノンマルタス一族”。

 カイの中のノンマルタスの血が目覚めた瞬間だった!



 カイは異国の姫ルピアに生き写しで、緑がかった碧い髪と瞳を持っていた。

 それは褐色の髪と黒い瞳のアクアオーラの人々の中では異端だった。

 ノンマルタスの瞳は確かに碧かったが、髪の色は青みがかった銀色で決して“碧”ではなかった。


 しかし、カイは自分と同じ髪と瞳の色を持つ者にその戦いの中で生まれて初めて出逢う事となる。


 ──ノンマルタス一族の姫、アリア──


 アリアは最初、人魚の姿をしていた。


 お互いに、お互いが敵だという事は承知していた。

 けれど気がつけば魅かれ合っていた。


 それは決して報われる事のない“許されざる恋”だった。


 この第五章~第七章は、ノンマルタスに伝わるアクアオーラ一族創世の物語(伝説)です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ