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夢恋  作者: ガラ
2/2

幽霊との出会い

「私・・・幽霊なんです。」



目の前で突然謎の告白が行われた。

こいつは本当に頭がどうかしているのではないか・・・


「バカ言ってんじゃないよw」


幽霊?何言ってんだか・・・

そんなもんがこんなはっきり見えるわけがない。



「そんな!私、嘘なんてついてません!」


「どうせドッキリかなんかだろ!?カメラどこだよ。」



そう言って俺は部屋を見渡す。

ユキは俺の前に立った。



「見ててください。」



そう言うと、ユキは閉められたドアに向かって歩いた。

というか、歩いてはいない。



ユキの体は浮いていた。


そして、ドアに触ったかと思うと、ユキの体はドアをすり抜けた。




「あ・・・すりぬけた・・・」



俺は呆気にとられた。

え、本物なのか?こいつは。



本物の幽霊が何かの間違いで俺の部屋に住みつき、

何かの間違いで俺にはこいつが見えている


ということだろう。




「ってことは、ユキは本当の幽霊なんだな?」


ドアからすり抜けたユキの顔がひょっこり出てきた。


「はい。幽霊のユキ、と申します。よろしくお願いいたします。」


そう言ってユキは頭を下げた。


「よろしく。」


全く奇妙な光景である。

いきなり現れた幽霊の少女ともうなじんでいる自分が不思議であった。


ただ、俺に見えるものは彼女が幽霊であることを物語っている。



「で、なんでおまえは死んだんだ?」


「!!!・・・・・」



ユキは急に黙った。

どうやらいきなり地雷を踏んでしまったようだ。

やってしまった。


ユキはうつむきながら静かに答えた。



「覚えて・・・いないんです。」



ユキは顔をあげて続けた。



「幽霊は死ぬ以前のことをほとんど覚えていません。なぜ自分が死んだか、生きていた頃の自分のすんでいた場所、子供の頃の記憶、幽霊になる要因となった未練、全て。」



「死ぬと同時に忘れちゃうのか。」



悲しげな表情を浮かべてユキは答える。


「はい・・・」


ここで一つ疑問が浮かんだ。


「なんで俺にはおまえが見えるんだ?しかも急に見えるように。」


ユキは目をパチパチさせた。

ユキもどうやらわからなかったようだ。


「たしかにそうですね・・・」


「で、とりあえずおまえは成仏してえのか?」


「そ、そりゃあ幽霊ですから。一応。」


ユキはぺったんこの胸をピンと張った。


「ん、わかった。とりあえずおまえが成仏できるように俺も協力してやる。死ぬ前の未練が満たされればおまえは天国行けるんだろ?」


ユキの顔は明るくなった。


「はい!」



「で、そのためにはどうすればいいんだ?」



「あ・・・」



はいきました。

どうやらこれは本人も・・・



「わからねえのかよ!!!」


「大きな声・・・出さないでください・・・」


幽霊を成仏させる方法なんて知らんぞ。俺は。


「どうしましょうか・・・」


「とりあえず、生きてるときの未練っていうくらいだから、この世界で体験できることをなんでも体験すればそのうち目当てのものにたどりつけるんじゃないか?」


下手な鉄砲も数打ちゃ当たるってね。

これが一番現実的な方法だろうな。



・・・こんな不思議な生き物、いや、死に物が部屋に住みついたんじゃ落ち着いて日常も送れないからな。



「じゃあユキ、とりあえず明日から俺と学校に来い。そこでいろんなもん見せてやる。」


「ありがとうございます!」


「だから、早く思い出してくれよ?何に未練があるのか。」


ユキは心底うれしそうだ。


「それと!!!外では俺に話しかけるなよ?おまえは他のやつには見えてないと思うから俺に話しかけても問題ないけど、俺がおまえに話しかけてるのははたから見ればただの独り言だ。気持ち悪いだろう。」



これだけは気をつけなければ。



「はい・・・」



こうして、人間と幽霊の奇妙な共存生活が始まった。

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