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「う~」
僕はため息をついた。
今の現状がめんどくさくてありゃしない。ほんと騒がしい。
僕の平穏な学校生活を返してほしい。
きれいな空の下、名門水野高校の屋上の上で僕はうなだれていた。
僕は今の生活を気に入っている。
なのに、1週間前からその生活は、淡い音を立てて崩れ去っていっている。
そんな気がする。
「はぁ~」
またため息をついていると、不意に肩をたたかれた。
「みーちゃん、ため息ついてると幸せが逃げるよん」
振り向いてみると僕の少ない友達の一人、立川愛、通称あいちゃんが立っていた。
かわいらしい小動物のような外見、いつもニコニコ笑っている、男からひそかに人気がある子だ。
ちなみに、みーちゃんとは僕のこと。名前は林瑞希(偽名)、通称みーちゃんだ。
偽名なのは僕は世間一般的に言うと{鬼}という種族に分類されてしまうからであり、ここ水野学園が人間の学校であるからだ。
といっても、鬼の学校なんて存在せず、学校に行くことが僕の悲願であったから、こうやって本名も偽って通っている。
ちなみに僕は性別も偽っている。
長い黒い髪に、ちょっと日に焼けた肌、ちょっと小さい胸に、身長155cmの小柄な体。角は出ていない。
どこからどう見てもかわいらしい普通の人間の女の子の姿である。
……だと思う。
言っとくけど、僕は男だ。
この姿、幻術などを使っているわけではない。
この姿も、僕の姿の一つだ。
僕には四つの姿がある。
まあ、僕固有の能力というか、体質というか。
僕はもともと人間だった。
ただ、ある実験で鬼にされてしまったいわゆる半鬼半人間。
そのかわり、僕は比較的自由に鬼の姿、人間の姿に変われるのだ。
ただ鬼から人間へ変わるときに性別が反転してしまうが。
そんなわけで、僕には人間(男)、人間(女)、鬼(男)、鬼(女)の姿があるわけだ。
一番元の姿である人間(男)としての存在は、人間世界では不慮の事故として死んだとされている。
まったくを持ってひどいものだ。
まっ、この体質については誰にも知られていなくて、僕は堂々と林瑞希として生きている。
元人間として、やっぱり人間社会が恋しいんだ。
「昼放課終わっちゃうよ。早く戻ろうよ~」
ぼけっとしてると、あいちゃんは制服を引っ張ってきた。
「う、うん。わかった、わかった」
そう返事をして、僕とあいちゃんは教室に戻ることにした。
教室に帰るまでの間にまた
「はぁ~」
ため息が出てしまった。
「まったくもう!最近みーちゃんため息ばっかだよ。どうしたの、なんかあったの?」
あいちゃんが聞いてくるが、僕の悩みは人間であるあいちゃんには言えないものだ。、
「いや、なんでもないよ。ちょっと考え事してただけ」
そうごまかす。
「いつもそういうだけじゃん。ぶー」
あいちゃんがぶーたれた。
なんかかわいいなと思い、僕がほほ笑むと、あいちゃんもニコッと笑った。
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教室に入ると、男女問わずたくさんの生徒に囲まれている、転校生の顔がちらっと見えた。
あいちゃんもその顔が見えたらしく、なぜかうつむきながら少し顔を赤らめている。
「水守くんって、少しかっこいいな//」
そうつぶやくあいちゃんに、僕は全力でどっせーい、と突っ込みたくなった。
かの1週間まえに転校してきた転校生たちの一人、水守一輝は僕の生活を脅かす、鬼を狩る人間{クロス}だ。
なぜ、クロスが急に転校してきたんだバカヤロー!と転校してきた日は、心の中で取り乱しまくったものだ。
ちなみにイケメン。僕の敵。
1週間前から僕の心の害虫NO2に輝いてる。
「そうかな…」
僕はそうあいちゃんに言いつつ、思いっきり水守一輝をにらみつけてやった。




