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第20話 JKとラブホテルと

「な、なんでこんなことにいいい!」


 勇人は頭を抱え、絶望の叫びを上げていた。


 周囲を見渡せば、豪華なシャンデリアに、中央で鎮座する不自然な回転ベッド。

 

 サイドテーブルには、ご丁寧に「避妊具」の箱まで並んでいる。


 どこからどう見ても、ここはラブホテルの一室だった。



 勇人の目の前には、腕を組んで彼を見下ろす三人の美少女。


「いいから、さっさと服を脱ぎなさいよ!」


  キーラが苛立ちを隠さず、鋭い蹴りを床に鳴らす。


「もちろん、全部です。パンツも。残さず全部」


 青髪の少女は、淡々と事務的な口調で地獄のような宣告を下す。


「手は頭の後ろに組んでね。大丈夫、優しくしてあげるから」


 エリンが聖母のような微笑みを浮かべ、じりじりと距離を詰めてくる。



「ええええーーーーーーーーーーーーーッ!!」


 ピンク色の部屋に、勇人の悲痛な絶叫が木霊した。


 勇人の純潔と平穏は、今まさに風前の灯火となっていた。



 1時間前 下校中の交差点にて


「ねえ、君。戸川勇人くんでしょ?」


 夕暮れ時の交差点。


 背後から届いた凛とした声に振り返った勇人は、息を呑んだ。


 そこにいたのは、竜王学園のブレザーに身を包んだ、タイプ違いの三人の美少女だった。


「えっ、君たちは……?」


「ちょっと話があるのよ! つべこべ言わず付き合いなさい!」


 赤茶色の髪を荒っぽく揺らし、鋭い眼光で勇人を射抜いたのはキーラだ。


 その剣幕に勇人が後ずさりすると、隣にいた青髪ボブカットの少女がそっと彼女の肩に手を置く。


「……落ち着いて、キーラ。怖がっているわ」


 事務的で平坦な声。知的な眼鏡の奥で、彼女の瞳は冷静に勇人を分析しているようだった。


「ごめんね。びっくりしたでしょ? 貴方と少し、お話がしたいだけなの」


「あ、はは……。ごめん、多分人違いだと思う。それじゃあ!」

(嫌な予感しかしない! 最近、女の人が怖すぎるんだよ……!)


 直感が全力で警報を鳴らしている。


 勇人は逃げ出そうとしたが、それを金髪ロングの少女――エリンの柔らかな微笑みが阻んだ。


「戸川勇人くん、だよね?」


「う、うーん、どうだろう……じゃあ、僕はこれでッ!」


 脱兎のごとく駆け出そうとした勇人だったが、キーラの剛腕がそれを逃さない。


「逃がすわけないでしょ! 来なさいッ!」



 無理やり連行されたのは、人通りの途絶えた薄暗い路地裏だった。

 

 キーラが表通りを警戒する中、エリンが不敵な笑みを浮かべて勇人の前に立つ。


「今なら、いいわよ。誰も通ってない」


 キーラの合図と同時に、エリンが迷いのない手つきでブレザーを脱ぎ捨てた。


「えっ、ちょ、何……?」


 戸惑う勇人の目の前で、ブラウスのボタンが弾けるように外される。


 露わになる白い肌と、薄紅色のレースに包まれた膨らみ。


「え、えええええええ!?」


「やって」


 エリンの冷徹な一言。


 間髪入れず、青髪の少女が勇人の腕を掴んだ。


 抗う間もなく、勇人の掌がエリンの柔らかな胸へと押し当てられる。


 ――カシャッ!


 無慈悲なシャッター音が路地裏に響いた。


 スマホを構えていたキーラが、満足げに画面を掲げる。


 そこには、どう見ても「女子生徒を襲っている痴漢」にしか見えない勇人の姿が、高画質で収められていた。


「この写真、ばら撒かれたくなかったら……。大人しく言うこと聞いてね?」


 エリンは何事もなかったかのようにボタンを留め、清楚な優等生の顔に戻って微笑んだ。



 ――再び、ホテルの一室――



 ピンク基調の無駄に派手な一室。


 ベッド、ソファ、間接照明――どれも意味ありげなのに、今は一切関係がない。


 なぜなら。


「……状況説明、誰かしてくれない?」


 勇人は全裸で、後ろ手に頭を組まされて立っていた。


 目の前には、顔をぐっと近づけた三人の美少女――否、三百年超えのエルフ。


 近い。


 近すぎる。


 普通にパーソナルスペースが死んでいる。


「動かないで。精霊反応が乱れる」


 金髪ロングのエリンが、勇人を見つめる。


 エリンは勇人の胸元に手をかざす。


 触れない。純粋な精霊感応だ。



 ――ぽうっ。


 淡い光が、勇人の胸の奥から滲み出た。


「……まずいわね」


「完全に同化してる。私の権能じゃ摘出は無理」


 ニーブが画面を見て首を振る。


「同化開始から、少なくとも十年以上。不可逆ですね」


「そんな昔から!?」


 キーラが軽い調子で言った。


「ならさ、殺っちゃえば摘出できるんじゃない?」


  物騒な提案をしたのはキーラだ。


 勇人の背筋に凍りつくような戦慄が走る。



「却下」

 エリン即答。


「迎撃モードが起動する。返り討ちよ。精霊王クラスの出力を舐めないで」


「じゃあ詰み?」


「いいえ」


 ニーブが冷静に続ける。


「専門家を呼んでいます」


「……嫌な予感しかしない」


 そのとき。


 コンコン。


 ドアが鳴った。


☆ここまで、読んでくださり、感謝いたします。


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