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なろラジ6参加作品

お姉様のためなら、ベランダからでも落ちますわよ!

掲載日:2024/12/08

「やあアネット、今日も可愛いね。翠の瞳が素敵だよ」


 そう言ってデジレ様は、私に微笑みかけた。


(ふふっ、私が可愛いのは、当たり前のことでしょう)


 彼。

 お姉様の婚約者であるデジレ様は、私に夢中。

 伯爵家に来ると、真っ先に私に声をかけてくれるの。


 だから私も愛想を振りまく。


 そっと彼に擦り寄って、上目遣いで目線を送ると、美青年の頬が緩んだ。


(お姉様が来るまで、私の魅力を堪能なさって)

 私はニンマリ目を細める。


 そんなことしてて良いのかですって?

 ええ。私には許されてるの。


 この家の人たちは、皆私にすごく甘い。


 お姉様は"伯爵家にふさわしくあれ"と厳しく注意されてるけど、私が叱られたことはない。

 私は難しいことをしなくていい。

 お姉様がお勉強してる時間は、使用人達とたっぷり遊んで、お母様と美味しいおやつを食べて。


 色とりどりの綺麗なリボン。

 きらきら光る宝石たち。

 全部私のために用意されたものよ。


 いつも最高級に着飾って、愛らしい私を見せるだけ。


「あら、ダメよ、アネット。そんなにデジレ様にくっついたら」


 仕度を終えたお姉様が部屋に来た。


今日(こんにち)は、ポーラ嬢。アネットは可愛いですね。そして貴女(あなた)はいつもお美しい」


 デジレ様は私を先に褒めたけど、お姉様には十分らしくて頬染めて喜んでる。


「突然の訪問を許してください。このところお会い出来ず、恋しくなってしまったのです」

「いいえ、お忙しい中、こうして会いに来て下さって嬉しいです」


 はにかみながら、お姉様がデジレ様を誘う。


「今日は風が気持ち良いので、バルコニーで楽しみませんか?」

「良いですね。ではお手をどうぞ、お姫様」


 デジレ様が私を避けて、お姉様の手を取った。

 そんな二人を追いかける。


 私を仲間外れにしないで!


 庭を見下ろすバルコニーでも会話が弾む。


「南国に行った同胞は、ベランダというものを作ったようで」

「ベランダ?」

「屋根付のバルコニーです。あちらは陽射しがきついから」

「まあ……」


 話の途中、お姉様が悲鳴をあげた。


「きゃあ、蜘蛛!」


 風に乗って、手すりに飛んできたらしい。

 

(任せてお姉様!)

 

 得意のジャンプで飛んだ私は、勢い余って手すりの向こうに。

 失敗。飛び越えちゃった。


「アネット!」


 くるりっ。すたっ。


 宙で身を回し、着地を決めた私を、お姉様達がバルコニーから覗き込んだ。


「怪我はない?」


「にゃあん」


 平気よ、お姉様。

 お姉様のためなら、バルコニーでもベランダでも落ちてみせるから!


 あれ、蜘蛛は?




 お読みいただき有難うございます!


 なろうラジオ大賞参加作品4作目です。

 これは早々にネタバレしたのではないでしょうか?(笑)

 ニャンコの言う宝石とは多分首輪に。そしてデジレ様は猫の毛だらけ。

 

 なお、張り出しについて。

 一階がテラス、二階以上がバルコニー、屋根があるのがベランダだそうです。

 ベランダはインドに行ったヨーロッパ人が考案したんだって。


 ジャンルは「その他」にしていますが、後で変更するかもです。よろしくお願いします♪ヾ(*´∀`*)ノ

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― 新着の感想 ―
可愛いお話ですね~。とても良かったです! 「私が可愛いのは、当たり前」「私の魅力を堪能なさって」→そうです。妹ちゃんには、このセリフを表明する(?)のが許されているのです。納得なのです(爆)。
これは許される小悪魔w
途中でもしかしたら……♡ となったのですが、宝石はどこに? と考えて。 最後まで読ませていただいて、そっかあ、そこねとニヤニヤしちゃいました( *´艸`) なんだかんだでお姉さん想いの妹。激カワでし…
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