君の歌
なんてデリカシーのない質問なんだ、不思議と自分を俯瞰して捉えていると、彼女は頷いた。俺は、それに何か違和感を覚えたが気のせいだと思い、そこまで深くは考えなかった。
「......そっか。」
本当に俺は、会話を続けるのが下手くそだ。
次の日は、久しぶりに屋上じゃなくて、音楽室に行ってみた。......そこには、また、君がいた。唯?唯さん?なんて呼ぼうかと、一瞬考えたが
「ピアノ、弾けるのか?」
名前は、呼ばないことにした。少しなら、君は紙にそう書いた。
「......試しに弾いてみてよ。」
ダメ元でお願いしたのに、君は顔を輝かせて頷いた。音楽が好きなのだろう、きっと。
そして、彼女は歌い出した......歌い出した?あぁ、そうか。昨日の違和感は、これだ。
「......声、出てるじゃん。」
俺の呟きが掻き消されるほどに綺麗な声で、君は歌い続けている。
どうだったかな、と、少し震えた文字を書いたスケッチブックを渡してきた君。俺は、答えもせずに
「声、出てるじゃん...なんで喋らないの?」
言い終わったあとの空気感で、失敗した、と思った。まだ出会ってたったの2日の相手にそんなことを言うなんて、失礼にも程がある。
「いや、ごめん、言いたくないなら、全然。」
俺が取ってつけたような言い訳をしていると、君はまた、同じような文字で書き始めた。
_______わからないの。
「...そっか。」
せっかく教えてくれたのに、気の利いた事1つも言えない。そんな自分にまた、嫌気がさして、死にたくなる。
分かっているんだ。命は簡単に投げ出してはいけないと、尊い物であると。だって皆、学校でそうやって習うから。
それでも俺は今日も、死にたいと、願う。




