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カズヤ達はマミのカードを回収する為、犯人が居る街へやってきた。
食事も終わり早速貰った装置で犯人の細かい居場所を確認すると、ちょっと離れた場所にある宿屋に居ると判明。
犯人は転送者、皆で行くのは危険と判断し、ラティシアとレイラには何処か安全な場所で待機してもらう事にした。
一番安全な場所はマイルームだが幻獣と違いカズヤと同伴している者はカズヤがルームから出ると同伴者は強制的に出されてしまう。
次に安全な場所は貰った乗り物の中だが、これは広い快適空間なだけで中には何も無いので、そこの待つのは正直しんどい。
そんな訳で、護衛SR幻獣二体を付け高級宿屋で待ってもらう事にした。
カズヤは更にSR幻獣二体を召喚しマミと共に犯人が居る宿屋へと向かった。
宿屋に到着するとカズヤは受付嬢の言葉を無視しズカズカと犯人の居る部屋の前まで来た。
カズヤが合図をすると、幻獣はドアを破壊しカズヤと幻獣は部屋に突入した。
「確保」
部屋に入った瞬間、犯人を見る前に捕獲するよう幻獣に命じた。
「「はい、マスター」」
幻獣は命じられるまま部屋に居たおっさんを取り押さえた。
「おい、おっさん! よくも俺の女のカードを強奪してくれたな!」
(ん? おっさん??)
相手がおっさんである事に多少の違和感を持ちつつも尋問を続行。
カズヤは部屋に居たおっさんに問い質すが、おっさんは知らないの一点張り。
暫く問答をしている時にマミが非常に申し訳なさそうな表情をしながらカズヤに近寄ってきた。
「あ、あのぅ……こ、この方は…」
マミは非常に言いにくそうにしている。
「ここは隣の部屋じゃ」
メルは最初から隣の部屋だと分かっていた。
「えっ!? じゃ、じゃあ、このおっさんは……お前っ! 謀ったなっ!!」
「貴様が勝手に間違ったんじゃろがっ!」
カズヤはメルに文句を言うも、ちゃんと確認しない自分が悪いと一喝された。
「お、おっさんの容疑は晴れた。もう紛らわしい事はするなよ。じゃ」
カズヤは恥ずかしさを隠す為そそくさと部屋を出た。
部屋に残されたおっさんは呆然としていたのは言うまでも無い。
隣の部屋の前まで来るとカズヤは例によって幻獣に合図をした。
幻獣はドアを破壊しカズヤと幻獣は部屋に突入し、間髪入れずに幻獣は男を取り押さえた。
ベッドの横にある台の上にスマホが置いてある事に気づいたカズヤは犯人と確信しスマホを押収。
「そ、それに触るな! 返せっ!」
犯人はスマホを取られ、かなり動揺している。
「くっくっく。貴様等転送者はスマホを取り上げたら何も出来ない豚野郎って事はお見通しだ! よくも俺の女のカードを強奪してくれたな。貴様には最も残酷な死をプレゼントしてやる」
カズヤは悪役顔をしながら犯人に恐怖を与えた。
スマホは転送時に本人以外は操作不可の仕掛けが施されているので別人は操作する事が出来ない。
犯人がマミにしたように対象を操る能力を持つ幻獣を召喚し犯人を操るとスマホを犯人に渡した。
そしてカズヤは犯人を操り幻獣カードのチェックを行った。
「ふむ…SSRは3枚あるがUR以上は無しか…」
「や、やめろ。見るな!」
犯人は成す術も無く操られるままカード一覧を表示している。
カズヤはマミを呼びカードのトレードを開始。
「やめろ! やめてくれっ!」
カズヤは抵抗する犯人を他所に容赦無く犯人の持つ全てのカードを根こそぎマミとトレードさせた。
以前犯人がマミのカードを強奪した際はレアNだけは残していたが、カズヤは強奪犯相手に一切の情けをかけない。
「やめてくれーっ!!!」
犯人の悲痛の叫びも虚しく、犯人の持つ全ての幻獣カードはマミのスマホにトレードされた。
「自業自得だこの豚野郎。では苦しんで死ぬが良い」
カズヤは幻獣に指示をすると、幻獣の能力により犯人はその場に倒れたのだった。
その光景を見ていたマミは非常に驚き本当に殺したのかをカズヤに尋ねた。
犯人は眠らせただけ。しかし、転送者から幻獣を奪う事が何よりの罰になり死んだも同然である。
眠らせただけど知り安心した表情になったマミだったが、同時に犯人に同情しつつ部屋を後にした。
そして宿屋の受付嬢にドアの修理代を渡して、ラティシアとレイラが待つ宿屋へと向かった。
マミは元々SSRのカードは1枚しか所持していなかったが犯人とトレードする事により3枚になった。
その事を気にしたマミはカズヤに確認を行った。
「あ、あの…わ、私がSSRを3枚も持っていいのでしょうか…」
「問題ない。むしろ、いざと言う時マミがSSR幻獣3体で女性陣を守れば、俺は攻撃に専念出来る。理想的な陣形だ」
マミ加入以降、カズヤが思っていた理想の陣形が完成したのである。
暫くして宿屋に到着し、ラティシア、レイラと合流。
最優先事項であるマミのカード回収が完了した今、次の目的を皆で協議。
例によってラティシアとレイラはカズヤについていくと言う。自分達のやりたい事があるかは不明。
そしてマミは黙ったまま。やりたい事を聞いても、やはりカズヤについていくと言う。
全く協議にならないので以前の目標通り、この国最大の幻獣大会に参加する為、ケロムとか言う街に向かう事となった。
次の目標も決まったので宿屋の食堂で食事をする事に。
「旦那様。今後はあの不思議なお部屋で移動なさるので御座いますか?」
この世界の乗り物と言えば馬車くらいしかない。故にラティシアはあの乗り物を部屋と表現した。
「いや、アレはこの世界には過ぎた代物だから緊急時以外は今まで通り馬車で移動する」
あの乗り物はカズヤも引くほど便利すぎる代物。
アレを使えば一瞬で何処にでも行けるが、目的地に着くまでの途中で何処かの街に寄るなど旅の醍醐味を味わう事が出来ない。
そんな訳で今後も馬車で移動する事にしたのだった。
「貴様が居た世界でもアレは過ぎた代物じゃ」
「お前はこの宿屋で一生トイレ掃除のバイトでもしてろっ!」
例によってメルが余計な事を言ってる最中、近くで食事をしている貴族的な人達から妙な会話が聞こえてきた。
それは貴族の反乱によりベルゲスト城が攻められている、と言う内容だった。
カズヤは気にせず食事を続けていたが、ラティシアは不安そうな表情を浮かべている。
「ベルゲスト城は姫の城じゃな」
カズヤは驚き口に含んでいた物をメルに噴出した。
「なにーっ!!!」




