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カズヤ一行はこの国で最大の幻獣大会を開催しているケロムとか言う街に向かっていた。
その途中で転送者のマミが仲間に加わった。
マミが加わり、共に旅をするようになった次の日の事。
カズヤは同じ転送者として勝手に転送されたマミを不憫に思っている。
カズヤにとってこの世界は理想の世界だが、マミにとっては違うと思っているからだ。
そこでマミがこの世界でも不自由無く暮らせるように、いくつか提案をしていた。
1つ目は旅や共に行動をするのが嫌になった場合は即座に仲間から抜けて良い事。
その際には何処かの街に住む場所を提供し、当面の生活資金も渡す事。
2つ目はカードを取り戻した暁には王宮の専属召喚術師として最高の地位を与える事。
転送者はこの世界の召喚術者より遥かに強力な幻獣を召喚出来る。
カズヤはこの国のお姫様と婚約関係にある上、国王に気に入られているでのカズヤが王に口添えをすれば容易に実現が可能なのである。
マミはカード回収の手伝いと高待遇で向かい入れてくれたカズヤに対し非常に恩を感じている。
「わ、私にも…な、何か、お手伝い出来る事があれば…」
「ん-……あっ、そうだっ! 家事とか出来る? 食事とか何かそれ系だけど」
カズヤ達は現在、カズヤが持ってるデバイスで具現化したルームで生活をしている。
ルームにはカズヤが元居た世界の生活必需員が全て揃っているが、それを扱えるのはカズヤしかいない。
更にラティシアはお姫様、レイラは貴族令嬢なので当然2人は家事など一切した事が無い。
基本、食事は外食だが、朝食や休憩時のティータイムの準備等はカズヤが行っていた。
「はい…だ、大丈夫です…」
元居た世界では内向的で趣味に興じていたマミだが、家事スキルは以外にも高かった。
「おおっ! やった! じゃあ、この世界ならメイドだな!」
カズヤは冗談のつもりで言ったが、マミは真面目な性格もあり、それを真に受けていた。
それから数日後、次の街に到着した。
「よし、まずは…ラマシュトゥ、リュウメ、ティアマト、アポロン召喚!」
幻獣4体が光に包まれ姿を現した。
「おお、4人共可愛いぞーっ!」
「ああ、ほ、本当に可愛いです!」
マミは美少女ゲームをプレイする程、美少女が大好きなので召喚された幻獣を見てテンションが上がっている。
カズヤはSR幻獣4体を召喚し自分とラティシア、レイラ、マミの護衛をするように命じた。
「貴様は相変わらず護衛無しでは街も歩けんのかっ! しかもSRは必要ないじゃろっ! 街中なんじゃからNで十分じゃろがっ!」
例によってメルが街中でSR幻獣を召喚したカズヤに対し激怒している。
「いちいち五月蠅い奴だなあ、自慢じゃないが俺は単体ではお前と同様に、この世界で最弱の生物なんだぞっ!」
「威張って言う事では無いわっ!」
(しかし…5体しか召喚出来ないのに護衛に4体も使うと攻撃に回せるのは1体しかいない…これは早急にマミのカードを回収したい所だが…今はそれよりも…)
「まずは食事だな! 何処かに食堂的な店はないかな~」
カズヤ一行がゾロゾロと街を歩いていると自ずと注目を集めてしまう。
それは1人の男が少女7人を引き連れていると言う怪しい光景に見えるからだ。
更に食堂的な店では4人がテーブルに着席し、それぞれの背後に幻獣が護衛の為に立って目を光らせている。
転送者が召喚する幻獣は元はカードなので食事をしなければ疲れたりもしない。
傍から見れば従者や奴隷を立たせたまま食事をする高貴な貴族に映るが、ここは普通の食堂。
貴族が行くような高級店では珍しい事では無いが、普通の食堂ではそのような状況を見かける事は殆ど無い。
良くも悪くも目立ってしまうので、良からぬ事を考える者に狙われる事も珍しくは無かった。
しかし、そういった悪意を持つ輩が近づいたとしても、カズヤ達が気づく前に護衛の幻獣がそれらを撃退している。
街中でも油断をせず幻獣に護衛をさせる程、慎重すぎるカズヤの行動は結果的に皆を守る事に繋がっていた。
食事を終え、店を出た。
「ふぅ、食った食った」
「ご、ご主人様、しょ、食材の調達を、し、したいのですが…」
マミはカズヤにメイドと言われて以来カズヤの事をご主人様と呼ぶようになった。
それは、カズヤに言われた事もあるが、マミ自信メイドと言う存在に興味があったからだ。
食料調達後はマミの衣類一式を買いに行く事にした。
庶民的な衣類店にはカズヤ好みのメイド服が無かったので貴族が行くような高級店へ向かった。
マミの服選びのはずが完全にカズヤの趣味に走っている。
店に入ると3人には自由に服選びをしてもらいカズヤは店主の元へ向かった。
「お、お客様、当店は値が張る物ばかりでして…」
カズヤ達は余り目立たない様に庶民的な服装をしている。
店主はカズヤの服装を見て庶民と判断したが、カズヤは依頼の報酬等で相当な額のお金を所有している。
「金はある。それよりメイド用の服を見せてくれ」
「は、はぁ…で、ではこちらに…」
店主は半信半疑でメイド用の衣服コーナーへカズヤを案内した。
そこにはカズヤが納得するメイド服が並んでいたが、どれもスカート丈が長い物しか無かった。
「店主よ。これを5着買うから全部スカートの丈を膝位まで短くして欲しい」
店主は相当驚いた。
貴族や屋敷で働くメイドのスカート丈は床に付くか付かないか位の長さが一般的だったからだ。
スカート丈を直すには多少の時間がかかると言う事なので、後で取りに来る事にした。
「貴様は相当な変態じゃな」
「ばっ、馬鹿野郎っ! 俺の世界に居た女学生とかに比べたら全然長いだろうがっ! アホかっ!」
「貴様は何と比べておるのじゃっ!」
3人が選んだ衣類とメイド服の代金を支払った後、夕食まで自由行動にする事にした。
ラティシア、レイラ、マミの3人は護衛の幻獣と共に街の観光を行う為店を出た。
カズヤも店を出て密かに幻獣とメルにマミのカードを奪った転送者の情報収集を行わせた。
しかし、この街では有力な情報を得る事は出来なかった。
その後3人と合流し夕食を済ませルームに入った。
「い、如何でしょうか…」
マミは早速カズヤが買ったメイド服に着替え、多少恥じらいながらも皆に感想を聞いた。
「おお! 似合ってる!」
カズヤとラティシア、レイラはマミの姿を見て絶賛した。




