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「おい」


「なんじゃ」


「お前、ルーム出禁な」


「何でじゃっ!」


「覗き魔野郎だからだっ!」


「変態野郎の貴様に言われとうないわっ!」


ラティシア兄に出発の挨拶をして城を出た。

今度こそ東の街に出発!って思ったが疲れた上に時間がアレなので明日にする事にした。

多少晩御飯には早いが食堂的な店でラティシアと会話を交え、ゆっくりと食事をする。

食事を終え食料を買い込みルームで休んだ。


次の日の朝。


今日こそ、今日こそは、東の街に向かいたい。

誰か来ないかキョロキョロと辺りを見渡したり、忘れてる事が無いか考えていたが特に思い当たらない。

どうやら、やっと出発が出来るみたいだ。

例によって護衛彼女(幻獣)を2人召喚し俺とラティシアをしっかり守らせる。

そして話をしながら歩きだした。


「所でラティシアはこの世界でトップ層の術者だよね」


この世界では転送者以外の住人はSR幻獣を召喚出来る人がいるのかどうかも分からない。

なのでSRを召喚できるラティシアはこの世界の住人では最強の部類だろう。


「そうなのでしょうか?」


他にSR幻獣を召喚できる人がいるのか尋ねたら何処かの街に1人居ると王様に聞いた事があると。

しかし、それは…


「それは、ひょっとしたら、転送者かもしれない」


「て、転送者…で、御座いますか?」


転送者とは…

俺と同様にこの世界へ飛ばされた者で何人居るのかは不明。

召喚する幻獣は非常に強力でSR以上の幻獣を召喚出来る可能性が高い。

と説明をしたらラティシアは不安がっているので俺が居るから大丈夫と落ち着かせた。


「み、皆様は旦那様のようにSR幻獣を5体も召喚出来るのでしょうか?」


以前に会った転送者はSRを1体だけ所持していると言っていた事。

俺より強力な幻獣を召喚出来る者も居るかもしれない事。

それらを言ったらラティシアはSRを5体召喚できる俺より強力な幻獣を召喚出来る者がいるのかと聞いてきた。

いい機会なので幻獣のレアリティについて説明をする事にした。


SRより更に上のレアリティが存在すると言ったら案の定、驚いている。

SRより上の3つのレアリティについて説明をした。

SRの上がSSR、その上がUR、更にその上がLRと。

やはりラティシアはSRより上のレアリティの存在は知らなかったみたいだ。


「だ、旦那様は召喚出来るので御座いますか?」


その質問に対して、軽く言葉を濁しつつ、ラティシアの前でSSRを出した事があると言った。

以前ルサールカの洞窟でSSRを召喚したらラティシアとセルジさんが気を失った事を言ったら驚いていた。

取り合えず、SSR1人なら大丈夫だろうと思いサンダルフォンを召喚してみせた。


「こ、これが…SSR幻獣…で、御座いますか…」


かなり驚いている様子だがSSRが1人のせいか結構大丈夫な感じにみえる。

サンダルフォンを戻し、改めてSSRの感想をラティシアに聞いてみたら、まだ驚いたままだった。


「す、凄すぎて、言葉がみつかりません…」


この分だとラティシアにUR幻獣を見せるのはまだ先になりそうだと思った。

万が一、転送者と対決になった場合はSSRを複数召喚する事もあるし、場合によってはURを召喚するかもしれない。

そんな場合に備えてラティシアには慣れておいてもらわないと。

しかし、LRを見せられる時は来るのだろうかと、ちょっと不安になった。


そんな話をしながら暫く歩いていたら野獣と遭遇した。


ルサールカのレベルアップの為にも野獣討伐はルサールカに任せるようにしている。

ラティシアはルサールカを召喚し、あっという間に野獣を撃退した。

もうこの程度の野獣ではルサールカの経験値稼ぎにすらなっていなかった。


そこそこ歩いたので休憩をしようとラティシアに提案したらラティシアは快く同意した。

ルームに入り暫く休憩をしてから再び街に向かい歩き始めた。

何処にいても入る事が出来るルームは本当に便利だ。

街に着いたらルームに保管する食料と衣類を買おうとラティシアに言ったらラティシアは微笑んで返事をした。


ラティシアからはあまり話をしてこないので、こちらから話題を振ってみた。


「ラティシアは料理とか作ったりした事ある?」


「申し訳ございません旦那様、お料理を作った事は御座いません…」


お姫様なんだから当然と言えば当然なのだろう、話題のチョイスを完全に間違ってしまった。

申し訳なさそうに結構落ち込んでるように見える。

これは一刻も早く別の話題で笑顔にしないといけないと思った。


「いや、何か、ラティシアは何か趣味とかはあるのかなって思って…」


「趣味で御座いますか…とくには御座いません」


無いんかい…これは、全く良い方向に進んでない…

俺も趣味とかは特に無いから2人で何か共通の趣味を見つけようと言ったらラティシアは元気に返事をした。

これで何とか軌道修正が出来てたらいいのだが。


歩いてから結構な時間が経った気がする。

次の街までは後どれくらいなのだろうか。


「おい」


「なんじゃ」


「もう着くよな?」


「まだ半分も来とらんわっ! 歩いて数日と言ったじゃろっ! どんだけせっかち何じゃ貴様はっ!」


まだ半分も来ていない…

こんなペースで歩いてたら世界を回り終える頃にはおじいさんになってるかも。

俺も疲れたが、表情には一切出してないがラティシアも疲れているはず。

流石にこれ以上ラティシアには無理をさせたくはないので何か対策を考える必要がある。

取り合えず初日から無理をして足を痛めてしまっては元も子も無い。

先ずは歩くのに慣れてきたら徐々に距離を増やしていく事にしよう。

そんな訳で今日はこのくらいにして、軽くルサールカの特訓をして今日は休む事にした。


「今日はこの辺にして軽くルサールカの特訓をして移動はまた明日にしよう」


「旦那様、まだ日は落ちておりませんが」


「まあ、急いでる旅でもないし、無理はしないようにしよう」


「お心遣い有り難う御座います、旦那様」


ルサールカの戦闘訓練を行った。

ルサールカのステータスを見てみたらレベルが1つ上がっていた。


「よしよし、ルサールカのレベルが上がったな」


「レベル…で、御座いますか? 以前もその様な事をおっしゃていましたが…」


幻獣にはレベルって言う強さを表す値がある事、そしてレベルによってはRでもSRより強い場合がある事を説明した。

今まで見たこの世界の人間が召喚する幻獣は皆レベルが1~2程度なのでルサールカの敵ではない。

俺の幻獣が強いのはレベルが高いからと言ったらラティシアも納得していた。

そしてルームで休む事にした。


次の日の朝。


例によって護衛彼女(幻獣)を召喚してラティシアと俺をしっかり守らせる。

道中ラティシアと些細な会話を楽しんでいた。

そんな事を繰り返し数日が経過した。


暫く歩いていると遠くに街らしき風景が見えてきた。


「旦那様! 向うに街が見えてきました!」


ラティシアは嬉しそうに言った。

俺もそうだがラティシアも歩くのが相当疲れたはず、今まではこんなに歩いた事は無いだろう。

なんせラティシアは王族、普段は移動するなら馬車で…


「ぐぎゃあああっ」


「やかましいわっ! 何事じゃっ!」


「ど、どうかなさいましたか?旦那様」


「いや…そう言えば、馬車ってあったよね? アレって買える?」


「申し訳ありません旦那様。私は存じておりません…」


ラティシアは質問に答える事が出来ず非常に申し訳なさそうにしている。


「いやいや、そんなに落ち込まなくていいから! 街で聞けばいいだけだし!」


「ですが、私は旦那様のお役に立てないのが…」


「いやいやいや、俺も知らなかったし、こ、これから2人で学んでいけばいいさ!」


「はい…有り難う御座います」


ラティシアは本当に良い子だ。

以前は馬車で移動していただろうに、それを言わずに俺に合わせて…


「おい」


「なんじゃ」


「あの街で馬車を買えるよな?」


「うむ」


「じゃあ最初から歩きとか言わずに馬車でって言えっ! アホかっ!」


「貴様が聞かぬからじゃ」


こいつ…

ラティシアはお姫様だから基本、城からはあまり出た事はないのだろう。

今度からは、先にこいつに聞いた方がいいかもしれない。

そうこうしてる内に街に到着した。


「やっと着いたな…」


「はい、お疲れ様です。旦那様」


「ラティシアもお疲れさん。ここで馬車売ってるといいな」


「私は旦那様とご一緒なら徒歩でも大丈夫で御座います」


いちいち嬉しい事を言ってくれる…天使かっ!

ラティシアもお姫様なんだし基本外出は歩きではなく馬車だろう。

ルサールカの洞窟に行く旅の時も馬車だったし。

そして現代っ子の俺も歩きで世界を回る旅は正直しんどい。

かと言って彼女等の能力で飛んで移動は味気が無い。

やはりここは馬車だな。馬車なら旅っぽくて良いと思った。

今は馬車より先に休憩がてら食事でもする事にした。


何処か適当に食堂的な店に入って食事をした。

知らない街で何処か適当な店に入って食事…旅の醍醐味って感じがする。

しかも、こんなに美少女な恋人と一緒に、と思いながらラティシアを見つめていたら、

ラティシアがこちらの視線に気づきニッコリ微笑んだ。

食事を終えて帰り際、店員にこの街の地図的な物がある店を聞いた。

そして、その店に歩いて行き、到着した。


「メル」


「うむ」


皆まで言わなくてもメルはこの街の情報収集を開始した。

地味に滅茶苦茶便利だこの妖精。一度覚えたら忘れないし聞いたらすぐ答えるし。

まあ、こいつから有益な情報を言う事は無いのがアレだが…

その癖余計な口を挟んでくるのもアレだだけど。


「完了したな?」


「うむ」


メルに道案内をしてもらって術者用の服が売ってる店に向かった。

今度から知らない街に来た時は真っ先にメルに街の情報収集をさせよう。

そして店に到着しラティシアと服を見て回った。

ラティシアに気に入った服が見つかったか聞いてみたら俺に決めて欲しいとの事。

ならばここは完全に俺好みのラティシアに似合う超可愛い服を選ぶしかない。

が、しかし…無い。そもそも術者の服ってあんま可愛いのが無い。

取り合えずいくつか候補を選んでラティシアに決めてもらう事にした。


次は普段着だ。ルーム内で着る服とか下着とか。

お金はあるから沢山買っておこう。


普通の服売り場に向かった。

ラティシアには色々な服を着せてみたい。勿論俺好みの。

って、思っていたが…あんま俺好みのアレが売ってない。

地味目の色とデザインしかない。普通の店にはこれ系しか置いてないのだろうか。

そう言えば、ラティシアが着ていたドレスは明るい色で可愛い系だった事を思い出した。

王家御用達の店とかあるのかもしれない。

それをラティシアに聞いてもラティシアが買ってる訳では無いから分からないだろう。

取り合えず今は有り物で我慢し適当に買ってルームに置いてきた。


次は馬車だ。

メルに案内させ馬車売り場に到着した。


少なっ! ショボっ! ダサっ!

2つしか無い…どっちも似たようなものだし。


「店主、馬車はこの2つだけかね?」


「あ、これは術者様。今はこの2台しか御座いません」


取り合えずここで買って、別の街で良いのあったらまた買うか。お金はあるし。

移動手段が無いと洒落にならんしラティシアにはこれ以上歩かせたくないし俺も歩きたくないし。

さて、両方同じだけショボい馬車だが、どっちが良いのか判断つかないので、一応メルに聞いてみる事にした。


「おい」


「なんじゃ」


「どっちよ」


「こっちじゃ」


何故かメルはこっちの馬車が良いと即答した。

理由を聞くとこっちの方が損傷率がやや低いとの事。

俺には違いが分からない。ナイスアシストだ。

店主に言ってこの馬車を買う事にした。


「んで、店主よ、馬的な奴は?」


「それでしたら、向こうの店に売っております」


「セットじゃないのかよっ!」


「こ、ここは馬車しか…」


「普通そうじゃろ」


またメルが口を挟んできた。

こいつはこの世界の普通を知っているのだろうか。


「いや、この世界の普通って知らんし」


「幻獣に引かせればよかろう」


「彼女(幻獣)等にそんな事させられるかっ! お前、今度彼女(幻獣)達を馬扱いしたら反省文の提出を命じるからなっ!」


「やかましいわっ!」


馬的な奴を買いに行くので店主に馬車を置いていくと言って向うの馬的な奴売り場へ向かった。

馬的な奴だと思っていたら馬だった。普通の馬が数頭いた。

店主に馬車を引ける馬はどれかと尋ねたら全部馬車用との事。

例によってどの馬が良いのかが分からないのでメルに聞く事にした。


「おい」


「あの馬じゃ」


早っ! すごっ! こいつすげーな。

敢えて理由を聞く必要もないだろう。

店主に言ってあの馬を購入。


再び馬車屋に来た。


店主に馬を馬車に設置してもらったのだが、ここで重大な事に気づく。


「ぐぎゃあああっ」


「やかましいわっ! 何事じゃっ!」


「ど、どうかなさいましたか?旦那様」


「お、俺…馬車の免許持ってない…」


「アホか貴様っ!」


「旦那様、免許…とは?」


メルは相変わらず鋭い突っ込みをしてくるが、一方ラティシアは突っ込みではなく質問だった。

馬の操縦法が分からないとラティシアに言ったらラティシアも分からないと言う感じの返事が返ってきた。

ラティシアはお姫様だから当然馬車等の操縦をした事はないだろう。

すると間髪入れずにメルが店主に聞けば良いと言い出したので、なるほどと思い店主に聞いてみた。


「店主よ、馬車の操縦法を教えてほしい」


店主は馬車に乗って手本を見せながら説明してくれた。

店主がやってる分にはそれほど難しい操作をしてるようには見えなかった。

店主のアドバイスを貰いながら実際に自分で操作をして何とか基本的な操作を覚える事が出来た。


「これなら俺でも出来そうだ。有り難う店主」


店主にお礼を言いラティシアを馬車に乗せ馬車屋を後にした。

なんやかんやで夕飯時になっていたので何処かの店で晩御飯を食べる事にした。


食事をしながら、俺がちょっと不安に思っている事をラティシアに確認してみた。


「俺は術者としては優秀だけど、それ以外の事はちょっとダメダメなのに本当に俺でいいの?」


「ちょっとでは無く、相当ダメじゃがの」


「お前はこの店で一生皿洗いでもしてろっ!」


「私には旦那様以外考えられません!」


ラティシアは珍しく力強く答えた。

滅茶苦茶嬉しい事だがそれは俺がSR以上を召喚出来るからだろう。SSRも見せたし。

この世界では、それが俺の能力って事になっている。

しかし自分は魔力がゼロなので王家は安泰にはならない。メルも言ってたし。

何かラティシアを騙しているようで非常に心苦しい。


「おい」


「問題無いじゃろ」


いつものようにメルは聞き返さず、いきなり答えっぽい事を言った。

しかし何が問題ないのかが分からない。


「えっ? 何が?」


「貴様の出る幕は無いと言う事じゃ」


「いやいや、何言っちゃってるの?この糞豚野郎は」


メルは俺が考えていた事を正確に把握していた。流石訳の分からないシステム。

基本王位は兄が継ぐ事、そして兄の子がまた王位を継ぐ事。

子供が出来なかったり能力が低かったとしてもラティシアが一流の術者だから問題は無いとの事。

俺とラティシアの子はそれなりに魔力があるとメルは言う。

それなりに…優秀ではないが普通、安泰ではないが俺のせいで衰退する事も特に無い。

その辺は訳の分からん科学のアレで分かってしまうのだろうか。

まあしかしメルが問題無いと言うならそうなのだろうと納得する事にした。


食事を終え店を出た。

ルームに入って休もうとしたが、1つ気になる事が。

ルームに入ってる間に馬車が盗まれるかもしれない。

メルに相談した所どうやら馬車を預かる店があるとの事。

この世界での移動手段は基本馬車だ。なので駐車場のように馬車を預かる店がある。

早速、馬車預り屋に行って馬車を預けルームに入った。


そして次の日の朝を迎えた。

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