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スキル・ステータスオープンはステータスを見るだけ  作者: ぐざいになったねこ
第五章 魔王アルニエス
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第七十八話 死ぬ気などない

ハウッセンに乗り込む。それは、通常の街や要塞へ攻め込むのとは違って、命を落とす危険性が高い。足元を狙われたら足場を壊され、谷底に真っ逆さまだからだ。


「逆にこちらが足場を壊して、王国兵を閉じ込めるのは?」

「それもありだが、穴どうしで繋がっている所もある。ある程度は移動されるだろう。そして全ての足場を壊す余裕はない。流石に反撃が怖くて顔が出せないからな。」


質問をしたエミラッシェさんは納得し、さらに考え込む。


「いっそ兵糧攻めでもするか?」

「普通の戦なら選択肢にあっただろうが、今回は相手が強大過ぎる。最悪、サイサンシュレイトだけ連携に参加出来ないとなれば......。」


ハルセンジアさんも納得し、説明した騎士団長は真面目な顔で頷いた。


「だから、乗り込むということか。」

「今の選択肢はそれしかない。」


ハルセンジアさんは肩の力を抜き、静かに挙手をした。室内がざわりとする。


「ハルセンジアさん!?」

「いいんだ、ヴィンデート。突撃なら、俺が適任だしな。」

「なら俺も......!」


彼について行く。守りたいと思ったが、ハルセンジアさん自身に却下されてしまった。彼は俺に近付いて、頭を優しく撫でる。


「ヴィンデートはまだ生きていてほしい。......フィリアに会って、今までの生活を取り戻してほしいんだ。」

「その未来には、ハルセンジアさんはいないじゃあないですか!」

「おい、何を言っているんだ?俺は生きて帰ってくるぞ?」

「あ......。」


「俺の腕を疑っているのか?」と言われれば、黙るしかない。しかし危険だ。腕が立っても、死ぬ時は死ぬ。ハルセンジアさんは剣の捌きが素早く、身体能力も高い。弓も使える。でも、そういう事ではない。


「......死ぬ気で行きますか。死ぬ気はないですけれどね。」

「エミラッシェ?」

「言葉のあやです。」


エミラッシェさんも挙手をし、真っ直ぐハルセンジアさんを見つめている。


「怪我を負ったら癒します。貴方達がいる限り、どこまでも。」

「その言葉......。」

「期待されましたからね。」

「縛り付けるような意味で言った訳ではない。」


茨の城団は、過去に何か約束でもしたのだろうか。ふと、騎士団長が立ち上がる。


「そうか。死ぬ気はない、か。」

「そうですね。......自分は突撃は向いていないので、後方で支援をします。」


シリアスさんはそう言ってテッツァーレを見る。彼女はこくりと頷いて、突撃班への参加の意思を表明する。


「俺も行けます。死ぬ気はないです。」

「ヴィンデートは駄目だ。まだそんな実力じゃない。」

「うぁ......。」


もう一度言ってみるが、やはり却下された。確かに力を付けてきてはいるが、まだこの域に達していないと言われて凹む。その間に、勇気のある者は次々と参加していく。


「ディリオーネ、参加します。」

「......この老兵でも、出来ることがあるならば。」


ディリオーネとオスターが挙手をし、ここで騎士団長に打ち切られる。多過ぎても駄目らしい。よって、突撃するメンバーは、ハルセンジアさん、エミラッシェさん、テッツァーレ、オスター、ディリオーネだ。


「挙手をしてくれた人達へ、ありがとう。突撃に参加しない者達は、崖の上で支援するよう。」


その後、ゆっくり休んでくれと言われ、解散となった。

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