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スキル・ステータスオープンはステータスを見るだけ  作者: ぐざいになったねこ
第五章 魔王アルニエス
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第七十五話 グランデア

あれから少し経って、雨が降りはじめた。この大雨なら、しばらく経てば、火災は収まるだろう。近くにいた騎士に、シリアスを連れ戻すよう命令する。


「了解しました、騎士団長。」

「......さて、どうするか。」


まずは一旦休もう。そのために、雨を凌げる場所を探す。同時に被害の確認や、生存者がいないか、街の中を探す。


「この火災が止んだらだな。」


あの様子じゃあ、街の七割は焼けてしまっただろうか。我々はグアンの街を救う事が出来なかった。彼らの命を背負って、このサイサンシュレイトから、王国兵を消すこと。それが、我々ができる償いか。


「無駄にはしないさ。」



「自軍の被害状況が確認できました。」

「どうだ?」


しばらく経った後、ディリオーネがやってきた。自軍の被害の確認が完了したようだ。今回のグアン奪還戦では、デート・ガルディア騎士団が六十人中、七人死亡。ミリスト私兵団は、六十三人中、四十九人が死亡し、将兵であるラッテルタは戦死した。サイサンシュレイトの騎士団は、七十人中、八人が死亡。しかし、ベルグラートから送られてきた騎士団は、二十人全員生存したらしい。


「流石、といったところか。」

「戦闘の継続は......。」

「ミリスト私兵団の被害は大きいが、問題ない。」


ミリスト私兵団らには、後ろに下がってもらい、後衛としてサポートしてもらおうか。結局は、もはや前衛として機能しないだろう。



「今日はここで一夜を過ごす事にしました。」


ディリオーネがそう言って、まだ焼けていない、大型の建物を指差す。どうやらあそこは、比較的安全らしい。建物が崩れる心配も無く、綺麗な状態なので、怪我人を癒す場所にもうってつけだそうだ。


「ディリオーネ、次のハウッセンでの戦いの事なんだが......。」

「厳しいのですか?」

「いや、そんな事はない。だが、手強い将兵が集まっている可能性がある。」


今回、スターディアがグアンを守っていたように、もう一方も、将兵がいるだろう。向こうが仕留めたなら良いが、逃げられていた場合、面倒な事になる。


「それも気をつけなければなりませんね。それに加えて、ハウッセンの構造等を皆に伝えたりは。」

「ああ、今皆に説明をしようと思う。」


そう言いながら、俺達はその建物に入る。元々は祭の宴に使う施設か。少し豪華で、大きな食堂のような所もありそうだ。


「食堂では、怪我人を治療しています。あまり近付かないように。......それと、これで体を拭いて下さい。」


ディリオーネは俺にタオルを渡し、言う。


「ずぶ濡れでは、覇気がないです。覇気が。」

「俺のスキルで充分だろう。......ディリオーネも、髪の毛ぐらい拭いたらどうだ?」

「殿方がいない所でやらせていただきます。」


ありがとう、と礼を言ってディリオーネにタオルを返す。ディリオーネは少し立ちすくんでいたが、我に返ったかと思うとタオルをぶん取り、建物の奥に駆けて行った。


「......?」


よく分からないが、とりあえず皆がいる部屋に行こう。具体的な指示を出したりしなければならないからな。そう思いながら、近くの騎士に皆がいる部屋の場所を聞き、そちらに向かう。その部屋の扉を開けると、七、八程の机に、ハウッセンの地図やら、魔術具やらが散乱し、複数のグループに分かれて、彼らは作戦を立てているようだった。


「騎士団長、ただいま、皆でハウッセン攻略の為の作戦を立てているところです。」

「ああ、俺が指示を出そうと思ったのだが、そんな事をしなくてもよかったな。......俺も作戦会議に参加させてもらおう。遠慮はなくていい。」


一番重要な、攻略ルートについてを模索している班に向かう。どうやら、将兵のオスターと、将兵(?)のヴィンデートがいるみたいだ。


「よろしくお願いします、グランデア騎士団長。」

「よろしく頼む、ヴィンデート。」


彼、ヴィンデートについては、少しエデライブジート領主から聞いた事がある。何を言っていたのか、思いだそうとした時、なにやら不思議な感覚がした。それはすぐに収まったが、浮いているような、触覚がないような、そんな感覚だった。

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