第七話 勤務内容
「団長から聞いたわ。魔力量が低いのでしょう?増やし方を教えてあげましょうか?」
私はそう言って、フィリアちゃんと二人になることに成功した。
......さて、あの団長が懸想しているあの子を見てみましょうか。
団長は無意識かもしれない。ただ、私にははっきりと[色]が見えた。
「おはよう。フィリア、ヴィンデート今日から君達はここの団員だ。今までは違ったが、今日からは呼び捨てで呼ぶことになる。それと仲間内では呼び捨てでも先輩呼びでもさん付けで呼んでもいいが、俺には団長とつけるように。」
朝起きて本館に行くと、談話室に呼ばれてこのような事を言われた。
「分かりました、エデルジート団長。」
ねーちゃんがそう言ったので俺も続く。
「分かりました、エデルジート団長。」
「ああ、じゃあとりあえず仕事内容の説明だ。依頼人がいて、俺達は依頼内容をこなすという仕事だ。今はギルドボードは空だから、管理支部に行くように。」
「管理支部とはなんですか?」
俺は気になって質問する。
エデルジート団長は、説明する、と頷きながら。
「ここはベルグラート領のセントレイクという街だ。街ごとにベルグラート領の役人が管理支部長としてこの街を管理している。」
「街内のギルドの仕事もまとめているということですね。」
「そういうことだ。無数の仕事内容があるから中にはどこにも相手にされなかった依頼もある。そんな物は管理支部でまとめられるんだ。」
余り物の消化作業。そんな感じか。
「まあ、あとは外に行って魔物の素材を売ったりして稼いだりだな。素材回収で稼いだ金額の一部はギルドに納めるように。ただ勤務時間外ならその義務はない。」
「そのような稼ぎ方もあるのですね、分かりました。」
「ただフィリアは魔力量の増加が先決だ。しばらくはヴィンデートが働く事になる。」
大丈夫だ。今まではねーちゃんに育ててもらったから、恩を返そうと思う。
「分かりました、ねーちゃんの分まで働きます。」
そう言うとねーちゃんは心配そうな顔で見つめてくる。
エデルジート団長も困ったように。
「無理はするな。あとはまだ新入りだから俺かエミラッシェかシリアスが同行する。」
まだ新入りという評価か。他の人が同行するなら取り分も減るかもしれない。
そう考えている時、説明が終わったのかエデルジート団長は退出の許可を出した。
「私はエミラッシェさんに魔力量の伸ばし方について教えてもらう事になってるの。ヴィンデートはどうする?」
昨日の夜に誘ってもらったの、と言って嬉しそうに微笑む。
そういえば、俺は昨日の夜にエデルジート団長のステータスについて考えていたな。
「シリアスさんを誘って仕事を探して来る。管理支部を知ってる人がいた方がいいから。」
「そう、頑張ってね。」
ねーちゃんはエミラッシェさんが待っているらしき、本館の裏手にある広場へ向かった。俺はシリアスさんのところに行こうと、ねーちゃんが向かったとは逆側の執務室に入る。
「シリアスさん、仕事を探しに管理支部へ行きたいんですけど......。」
「ヴィンデート君かな?ちょっと待って......いや、三十分ぐらいお茶会部屋で待ってくれません?すぐ終わるので。」
速攻で矛盾している言葉に苦笑しながら、俺は頷いて執務室を出て、お茶会部屋の席に腰を下ろす。
そして昨日の事を思い出す。
ぱっと見ヴィンデート君の魔力量はそこそこあるので、入学は君が十二歳になった年の春だな。
エデルジート団長はそう言っていた。
あの時、魔力量をはかるスキルを持っているのかと思って[ステータスオープン]を使ったのだ。
___________________
エデルジート 36 歳
攻撃力 107
守備力 42
魔力量 82
速さ 29
体力 132
獲得スキル
[基礎魔力操作]
[基本剣術]
[大気の鎧]
[魔力測定]
____________________
予想通り、[魔力測定]のスキルがあった。
でも、俺はそれよりもステータスの高さに驚いた。
......三桁なんて初めて見た。
もしかしたら茨の城団の団員はかなりステータスが高い可能性がある。
それか俺が知らないだけで、ギルドや騎士団の人達にとっては普通なのだろうか。
どちらにしろ、ギルドの人達のステータスを見ようと思う。
そう決心したところで、こんこんとドアがノックされる音が聞こえた。
「ヴィンデート君、行けますか?」
「はい、行きましょう。」
シリアスさんが入ってきたので、俺は席を立ち、ステータスを見てみる。
____________________
シリアス 21 歳
攻撃力 32
守備力 17
魔力量 596
速さ 93
体力 51
獲得スキル
[基礎魔力操作]
[基本全属性魔術]
[魔力回復量増大]
[持久力強化]
____________________
ひくっと頬を引きつらせる。魔力量がめちゃくちゃ高い。
大通りを歩いていても、そのような魔力量を持ってる人はいなかった。
ついでに速い。ねーちゃんでも四十ちょっとだった気がする。
「どうかしました?」
「いえ、なんでもないです。」
そう誤魔化して、俺はシリアスさんに連れられ管理支部へ向かった。




