第四章 エピローグ
「ほう、ここが街か。」
三方向を山に囲まれ、残りの一方に門が建っている。地図で見て思ったが、実際に見てみると、かなり大きな街であることが分かる。門をくぐると、城下町が遥か彼方まで続き、際奥に小さく城が見える。いや、大きいはずなのだが、遠すぎて小さく見えるという事だ。全国共通で、街の中での移動速度上昇の魔術具を使用は禁止されているので、多大なる時間を要するだろう。
「アルニエス様、道が......。」
「大通りだが......、端に魔族達が。」
道を空けているのだろうか。少し戸惑っていると、背中に羽を生やし、二足歩行をしている狼が近づいてきた。
「知らせ、聞いた。道、あける。魔術具、使え。」
「そうか、感謝する。」
どうやら移動速度上昇の魔術具を使っても、目をつむってくれるらしい。お言葉に甘え、魔術具を作動させる。魔族を横目にどんどん進んで行くが、それでも城に着くまでには三十分もかかった。
城に入り、玉座の間に到着する。玉座には、誰も座っていなかった。
「アルニエス様、ですな。」
元々、ここの王だったのだろう。この魔族は、人に近い形を保っている。容姿はしわが付きはじめた中年男性、というところだろうか。
「こちらへ。」
導かれるまま彼の前にひざまずき、頭を垂らす。すると、なにやら不気味な魔方陣が床に出現し、俺をすっぽりと囲んだ。
「決して動かぬよう。」
そう言って、呪文を唱え始めた。人間には理解できない言語だが、段々と理解ができるようになってくる。そして、呪文の詠唱が終わった途端、魔方陣が消え去った。
「------」
「......了解した。」
他の王国兵達は困惑している。自分だって、急に魔族の言葉が分かるようになったのが、少し不気味に感じているぐらいだ。
「アルニエス様、今なんと?」
「魔王の誕生だ。民に姿を現せ。だそうだ。」
元々の王に案内され、バルコニーに出ると、城の周りには沢山の魔族が押し寄せて来ている。全員、俺の背中をついて行く民だ。緊張しているが、笑顔で手を振ってみる。歓声が絶える事はなかった。




