第六十三話 執務室での話し合い
「じゃあ、まとめだ。」
執務室に帰ってきたシリアスに、皆で話し合った結果、これからどのようにするべきなのかを話す。
「大きくまとめると......。デート・ガルディアと連携すること、サイサンシュレイト領内の要所を取り戻すこと、余裕があるなら王都へ進軍することだ。進軍、ではなくても、王国の戦力をそぎ落とす事ができるなら、なんでもいい。」
「......アンデルビート国王の暴挙に、不信感を抱いている者達は少なくないはずです。そんな人を味方につけてはどうでしょう。」
その考えは、話し合いの時に出てきた案だ。誰か良い人がいないかと悩んでいた所、ミレーマーシュがとある者を口にし、俺はそれを実行しても良いと考えた。
「テル教育校の教師達、だ。」
「......行ったことがないので分かりませんね。ただ、ミレーマーシュさんが口にしたので、ある程度の信頼はできるでしょう。」
彼らに伝令を出す事を検討しよう。そう考えたところで、シリアスから質問が飛んできた。
「それで、サイサンシュレイト領内の要所を取り戻すって......。今ざっと思い浮かべただけでも四箇所ほどありますが......。」
「ほう、優秀だな。その通り四箇所を取り戻そうと計画している。」
「ふざけないでください。民も疲れているでしょう?」
「だから、今ではない。少し時間が経ってからだな。」
サイサンシュレイト城を取り戻しに来る王国兵もいるだろうし、今はこの城下町を復旧させようと思う。そこからデート・ガルディアにも協力してもらえれば、と考えているが、さすがに望みすぎか。
少し遅めの昼食は、シリアスと共に執務室で食べた。これからの事を話し合いながら、少し雑談を交えつつ食べ終える。その時、扉がノックされた。入室の許可を出して、人を入れる。彼は、資料保管庫に行っていた騎手だ。
「地下の資料保管庫についての報告です。シリアス様の考察通り、王国に都合の悪い研究がなされていたようです。それと......、エデライブジート様が探していた情報に近い資料を、あちらで発見しました。あまりに昔の資料なので、迂闊に運び出せないですが......。どうでしょう。」
「昔の資料?......エデライブジート様、僕が行ってきましょうか。」
「ああ、頼んだ。」
失礼します、と言って立ち上がり、シリアスは執務室から退出する。それに続くように、報告をした騎手も退出していった。その代わり、彼らに入れ代わるように入室してきた者がいた。
「ツーリュスです。」
「何の用だ?」
幼い頃の教育係兼、最重要側近のツーリュスだ。顔にシワを寄せながら疑問を投げかける。
「エデライブジート様。今は城下町の復旧を優先させているようですが、セントレイクの復旧を手伝う事は?」
「しない。元々共通の敵がいる協力関係にあり、今は城下町で手一杯だ。しかし、他の国と協力関係を結び、兵力に余裕ができたのなら、多少の支援をしようと考えている。」
そうですか、と言って頬を緩める。どうやら、正解の選択ができるかを試されていたらしい。セントレイクは違う国の領土であり、サイサンシュレイトが最優先、という事だ。
「では、次はエデライブジート様の将来について......。エミラッシェはどうしましょうか?」
「それどころではなくなったし、政略結婚だろう?エミラッシェも、好きな相手を選べると考えているが。それに......。」
「それに?」
言っていいのだろうか。恋心とは少し違うかもしれないが、守ってやりたいと思える人物がいる。
「......話したら長くなる。すまない。気になるなら、夜にもう一度来てくれないか?」
「了解です。」
そう言って、ツーリュスは執務室を退出した。
日が落ちる頃、再びシリアスが帰ってきた。
「とりあえず、落ち着いて聞いてください。」
「......。」
俺は無言で次を促す。シリアスは頷いて、メモ用紙と思われる紙を見ながら報告を開始した。
「王国は、昔から神を宿す実験をしていました。」
宿す......。ビートやアグライトが使えない原因だろうが、どうしてそんな事を。
「その資料に書いてあったのは、実験を成功させる為の条件、贄です。」
「贄?」
「はい。贄の条件は、対応する神具が使える事。それと、儀式に耐えられる体があれば、理論上は可能だと。」
過去に成功した試しがないから、理論上か。しかし、実際に成功してしまったようだ。そして、同時に何故サーテレラが狙われたのかが分かった。
「サーテレラも、贄か。」
「そうでしょう。......一旦夕食にしましょう。このことを皆に報告しなければ。」
そんな事を話したら、食事が喉を通らないだろう。さて、どうやって皆を鼓舞しようか。食後に報告を回しても良いが......。




