第六十二話 秘密の資料保管庫
少し頭がぐるぐるする。体が熱く、力が入らない。私はアンデルビート国王にベッドに乗せられて、布団をかけられた。
「大丈夫か?すまない、こんな事を......。ゆっくり休んでくれ。」
別に、嫌じゃなかった。そんな事を言おうとするが、睡魔が襲ってくる。
「お、やす......」
「ああ。おやすみ、フィリア。」
「さて、と。」
埃が溜まっているが、思ったより綺麗だ。城から離れた所にあるので、茨の影響を受けずにいたのだろう。誰も居ない実家に帰ってきたのは、エデライブジート様が気になっている資料を持ってくる為だ。そんな資料を集めていたのは研究好きの父であったので、恐らくは父の部屋にある程度の資料は溜まっているだろう。
「......初めて入りました。」
子供の頃、父に入れてもらえなかった部屋に初めて入室する。机には、研究していたのだろうか、紙の束が積み重なっている。ざっと目を通すと、アグライト計算の研究だということが分かる。関係無いので、すぐに他の場所をあさる。様々な本や、資料、よくわからない物体等があるが、お目当ての品は見つからなかった。
「......二時間経ちましたし、城に戻りましょうか。」
そう言いつつ、壁に寄り掛かって座り込む。少し休憩していこうか。そう思いながらふと机の下を見ると、なにやら不思議な切れ目が、壁に刻み込まれている。やや大きく、大の大人が丸くなればすっぽり入るくらいの大きさだ。少し手を当てて、引っ掛かりがあることを確認する。それを引っ張ると、案外簡単に切れ目の通りに壁が外れる。
「階段......?」
壁の中には階段があり、下へと続いている。僕はしゃがみながら階段を降りていった。少し降りると、広めの空間に出る。今はビートが封じられているので、よく見えないが、かなりの資料が壁沿いに連なっているように見える。ここには紙の束しか無いようで、実験器具等は見当たらない。
「もしかしたら、研究結果の保管場所でしょうか。」
そう呟きながら、資料を手に取って目を通してみる。しかし、明かりが欲しくなったので、階段に座って読んでいく。
「これは......。」
百年以上昔、王国が大規模な盗賊の粛清を行ったというものに関する研究だ。王国が大きな手柄を立て、より一層民の信頼を集めた、と記憶している。しかし、これに書いてある事は、目を疑うような事だった。
「盗賊は存在せず、王国がでっちあげた幻、だって?」
紙をめくると、それにたどり着いた行程が、非常に詳しく説明されている。ざっと読み終わり、頭の中を整理する。実際の参考資料を見ないとよく分からないが、恐らく真実だろう。この資料を元の場所におさめ、隣の資料に目を通してみる。これも、王国に都合が悪い内容であった。
「この場所は、外に知られてはまずいことを纏めた場所、でしょうか。」
一旦戻って、この結果を報告しよう。この資料を使えば、王国に敵対する人々を増やせるかもしれない。
「シリアス、ただいま戻りました。」
「おかえり、シリアス。どうだった?」
執務室に入室し、エデライブジート様に先程の出来事と、利用価値を報告する。それを聞いた彼は、すぐに人を向けるようにする、と言った。
「思わぬ発見だな。」
「ええ。では、案内して行きます。」
「ああ、後は彼らに任せて、こちらに戻ってこい。とりあえず、今後の方針を纏めておいた。」




