第六十一話 神の子孫
「なるほど、現状は大体理解できた。」
アンデルビート国王の狙いや、セントレイクが襲われた理由。サーテレラが狙われた謎等、昼になるまで情報を共有する。エデルジート団長は、早急に身の危険を察した為、逆に手薄なサイサンシュレイトを奪還しに走ったらしい。俺は無謀だと思ったが、無理矢理神具を手に入れれば勝てると思っていたらしい。実際、奪還に成功した訳だが。
「王国兵の一部がサイサンシュレイト領の民だったとは、驚きを隠せないが......。」
「不思議ではないです。使おうと考える気持ちも分かります。」
その時、ミレーマーシュから声をかけられた。どうやらそろそろ食事の時間らしい。
「とりあえず、難しい事を考えるのは後にしましょう。」
「まあな。」
机の上に次々と皿が並べられていく。普段より豪華で、彩りがある為、思わず唾を飲む。全ての皿を並び終えたところで、エデルジート団長が口を開いた。
「宴の余り物だ。遠慮せずに食べてほしい。」
至福の一時だ。サイサンシュレイトの思い出と、セントレイクでの困難を語り合い、騎士団のメンバーとも話を巻き込んでいく。彼らもセントレイクの思い出を語りながら、一口一口、食してゆく。いつかセントレイクを復興させよう。サイサンシュレイトも協力しよう、なんて事を言い合って、俺達は食事を終えた。
「そういえば、シリアス。そちらの実家にジートの資料はあるか?なるべく昔のがあればいいが......。」
「探せばあるかと。ですが昔の物となると、ないかもしれません。」
「そうか。まあ、ジートとはあまり関係ない国だしな。」
エデルジート団長は何を調べようとしているのだろうか。そういえば、俺にも血筋について探っていたが。
「ヴィンデートのスキルが少々気になって、な。由来は分かったが詳しくは載ってないんだ。」
「今は別に関係ないと思いますが......、なんと載っていたのでしょうか。」
エミラッシェさんがそれを問い、分かったと言いながらエデルジート団長は説明を始める。ざっくりまとめると、昔、ジートが大地に舞い降りて行使したスキルが、[ステータスオープン]らしい。だが、エデルジート団長は、当時にそんな名前で呼ばれていなかった事に疑問を覚えた。
「当時は[世界の管理者]、と呼ばれていた。あとは、そのスキルが遺伝しなかった事も違和感を感じたんだ。」
「遺伝?十歳に神様から貰うのがスキルなのではないのですか?」
俺がそう質問すると、皆驚いた顔となる。しかし、すぐに納得したような顔になり、説明を始める。
「神が地上に舞い降りた時代があったんだ。彼らは人間と交流し、子孫と神具を残して天に帰って行った。」
なるほど。それがこの前カットされた神の子孫の話か。彼らしか神具を使う事ができない、と。つまり、エデルジート団長や、アンデルビート国王や、サーテレラは、神の子孫という事になる。
「んで、神の子孫は、元々の神が地上で行使したスキルを受け継いだんだ。もちろん、遺伝したから産まれた時から使えた。」
しかし、[世界の管理者]が遺伝することはなかった。
「......まあ、今のところ、ジートの子孫というのは聞いた事がない。なあ、ヴィンデート。確かに十歳の時にスキルをもらったんだよな?」
「はい。」
「これ以上はもはや推測の域を出ません。資料は僕が探してくるので、みなさんは王国兵について話し合っていてください。」
シリアスさんが立ち上がり、部屋を出る。自分の実家に戻って行ったのだろう。多少の謎を残したが、確かに今は関係ない事なので、俺達はすぐに王国兵の話題に戻った。




