第五十一話 セントレイク救援戦
「集合!」
部隊長から集合がかかり、すぐに全員が部隊長の下に集まる。二時間の休憩が終わり、これからセントレイクの救援に向かうのだ。号令を終えて全員いることを確認したら、すぐに出発した。
「ヴィンデート、少しいいか?」
「何でしょうか?」
ディンビエラさんは辺りを気にしながら、俺に話しかけてきた。その視線は、やや後方にいるアンネリアに向かっている。
「......アンネリアの事でしょうか。」
「そうだ。......さっきの事について、どう思った?」
「......俺のせいなんです。」
「うん?」
なにか吹っ切れたような、そんな表情を浮かべて俺の提案を跳ね退けた。そんな表情の裏側には、俺が昨日の夜にしてしまった事が原因だと感じたのだ。
「そういえば、なにか話していたな......。」
なにを話していたのか説明しようとしたが、セントレイクが見え始めてきた。
「せめて、戦っている間は考えないようにします。」
「それがいい。......俺の代わりに、アンネリアを見ていてくれないか?おそらく俺は、そんな暇がないんだ。」
「......分かりました。暴走しそうになったら止めさせますね。」
「見えたぞ!作戦通りに部隊を分ける!」
「「「「はっ!」」」」
しばらくそのことを考えるのは止めだ。作戦に支障をきたさぬようにしないと。ちらりと隣を見る。そこにはにこにこしているエンディストさんが、剣を構えて今にも飛び出しそうな勢いで指示を待っている。
「命の恩人、ハルセンジアさんを救う......。恩を返す時です!」
「お、お、落ち着いて下さい。命令があるまで待機......」
「一、三班は出撃!二、四班は左右に別れろ!五班は待機だ!」
俺達は三班。出撃の命令が下った。
「さあ、行きますよ!ヴィンデートさん!」
「ええっと、単独行動はよして下さい!」
そうして俺達が出撃していく。その中、エンディストさんと同じように、焦って突撃しようとしている者がいる。
「アンネリア、せめて前線を合わせよ。」
「......分かった。」
聞く耳を持っていて良かった。ちゃんと言えば、おかしい事はなおしてくれる。それは、支える人が必要な事も意味していた。
「なんだあいつら......、なっ!騎士団だと!?」
「どこの騎士団だ!?このままではまずいぞ!」
王国兵がこちらに気付き、応戦する。しかし、セントレイクの騎士団に挟まれてしまい、あっさり討ち取られた。
「ヴィンデートか。援軍感謝する。」
「ファントレアル騎士団長......。」
「これでかなり楽になる。俺に続け。」
そう言われて、セントレイクに足を踏み入れる。そこには想像もしていなかった光景が、目に入ってきた。敵も味方も息絶えて、道に投げ捨てられたように倒れている。街も破壊され、かつての光景は、そこに無かった。
「っ......、取り戻してみせます。」
「ああ、行くぞ。」
どうやら戦況は混沌としているようだ。敵も味方も位置がばらばらで、少数どうしで戦い合っている。
「ちぃっ!」
「エンディストさん、カバーします。」
「いいです!前に集中してください!」
中央を押しているところ、左右の建物から王国兵が一人ずつ飛び出してきた。エンディストさんが片方を抑え、もう片方もアンネリアが抑えに行った。
「前に集中......。」
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ハワンティーナ 27歳
攻撃力 43
守備力 26
魔力量 38
速さ 12
体力 61
獲得スキル
[基本剣術]
[基礎魔力操作]
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少し高いが、一般程度。アルニエスや、ミラシュレインのような戦闘を任せられるような実力じゃない。他の王国兵を見ても、同じような感じだった。
「突撃してくる。いなすぞ、ヴィンデート。」
「了解しました。」
数は七人程度。ファントレアル騎士団長が敵の真ん中へ少し前に出て牽制する。そのおかげで王国兵の前線がずれたので、左右の王国兵が少し浮いた状態となった。
「やぁっ!」
「うぐっ。」
ステータスの変化が遅い。剣捌きも下手くそで、すぐに致命傷を与えられた。
「......覚悟は決めた。」
そして剣を突き刺す。すぐに引き抜いて、もう一人の攻撃を剣で受けて、少し下がった。帰り血を浴びた。鉄臭い。それでも、殺さないと......。
「ヴィンデートさん、後は任せて下さい。」
「私は覚悟を決めたから。だから下がっていいよ。全部殺してくる。」
エンディストとアンネリアが俺の左右に立った。俺の顔を見て、心配している事が分かる。
「そんな事、できません。もう覚悟は決めました。」
「そうだな。......中央を抑え、そこからそれぞれ別れて救援に向かう!まずはここを突破するぞ!」
ファントレアル騎士団長に鼓舞され、前を向く。それでも、少しの不安がよぎる。
......本当に、殺していいのだろうか。




