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スキル・ステータスオープンはステータスを見るだけ  作者: ぐざいになったねこ
第四章 それぞれの任務
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第四十八話 [爆呪]

「おはよう、ヴィンデート。」

「......大丈夫?」

「......。」


微笑むだけで、アンネリアは何も言わない。彼女がどれだけ荒れていても、それだけしか言える勇気がなかった。

「最終確認だ!まずは逆毛の霊獣団号令!」

「テッツァーレ!」

「カァリバルァ、です!」

「ストルラッシュ......。」

「アンネリア!」

「エンディスト!」

「ヴィンデート!」

「今回の部隊長のディンビエラだ。我々は南の森へ向かい、敵の拠点を制圧する。次に更に南へ向かって、セントレイクの救援に向かう。これがおおまかな流れだ。」


逆毛の霊獣団のロビーで、出撃前の最終確認をする。そこには昨日立候補した人達と一緒に、デート・ガルディア管理支部が所有している騎士団が約五十人ほどいる。これらの人達で、南の森の制圧及びセントレイクの救援を行うらしい。


「そして、拠点の情報だ。」


偵察班によると、約二百人の大型拠点らしい。中央の焚火を中心に木の柵で囲われており、木の枝に布をくくりつけて雨を防いでいるらしい。随分と簡易的だ。


「ただ、少し気になる情報が入った。今日の朝に帰ってきた偵察班によると、多くの王国兵が出払っているらしい。行くなら今だが......。」

「お父......、団長、罠という可能性は......?」

「ない。南へ、つまりセントレイクへ向かった可能性があると言っていた。」

「......。」


手に力が入り、きつく握る。もたもたしていれば、セントレイクの救援が間に合わない。


「大体の情報は伝え終えたな......。では、出立するぞ。」

「「「「はっ!」」」」



移動力強化の魔術具を使い、急いで森へ向かう。


「団長、森、危険、魔物、いますか?」

「そうだな、カァリバルァ。気をつけるのはビシュレックライガぐらいだ。」


俺達もデート・ガルディアに行くために、平原を迂回しながら通る森だ。ふと、アンネリアを見る。槍を抱えながら俯いて歩いている。その顔は、緊張しているのか、顔色が悪い。


「森が見えたぞ。」

「ビシュレックライガ、気をつけます。」



「もう少し広がれ。拠点を囲うように。」


森へ入り、辺りに緊張が走る。ある程度進んだところで、部隊長から攻撃の命令が下った。俺は魔法を教わってない為、前に出て敵の攻撃を防ぐ役割だ。


「「「デート・ピア・タイトレア!」」」



俺の後方から魔弾が放たれる。それらは木々をえぐりながら、敵の拠点の方向へ飛んで行った。そこから舞い上がる土煙と共に、悲鳴があがる。


「続けろ!」


しばらく経つと、土煙の向こうで緑の光が見える。ピアという魔法は、魔弾の直撃または衝撃波に生物が当たると、その箇所が光り輝くという魔法だ。これで土煙を通して、敵の位置を見ることが出来る。


「......一人来ます!」


俺はそう言って、敵が土煙から飛び出る前に斬り付ける。敵はうめき声を上げ、緑の光は上に上がる。この挙動で、腕又は手にピアが当たったと確信した。攻撃を避け、報告する。


「腕がマークされています!」

「振り下ろした......。やや上を狙え!」


味方の攻撃に当たらぬよう、右に避けてすぐに撤退し、味方と戦線を合わせる。今のは少し危なかった。


「無茶はするなと......。」

「申し訳ありません、部隊長。」


少し焦っているのではないか、と聞かれる。確かにそうかもしれない。急がなければ、セントレイクの救援が間に合わないから。


「ここは通過点じゃない。焦ったら人生の終着点になるぞ。」

「......肝に銘じます。」



そこからしばらくは、魔法の撃ち合いが続いた。しかし王国兵側の人数が段々と減っていき、残りわずかとなった。もういいだろうと言って、部隊長が突撃の命令を下した。見える限りでは残り四人。物量で押し切れるだろう。


「くそっ、ここまでか......。」


死なないよう、味方と歩幅を合わせて小走りする。しかし、一人だけそれを無視して突撃している人がいる。


「アンネリア!?」

「下がれ、アンネリア!命令だ!」

「......[爆呪]。」


アンネリアの槍が、バチバチと音をたてている。鬼の形相をしたアンネリアが、王国兵を目にも止まらぬ速さでなぎ払った。王国兵は一人避け切れず、腹に傷を負った。


「くっ......。がぁ、くぁざ!」


王国兵の傷が膨れ上がり、体全体が腫れていく。ついには息が、息がと言いながら喉を抑えながら地面でのたうちまわり始めた。


「死んで。」


たった一突き。アンネリアの槍が突き刺さった途端に、その王国兵は破裂した。ここにいる王国兵も、俺も、騎士団も、たった一歩も動けなかった。アンネリアが立ち上がる。そして、残った王国兵を睨んだ。


「に、げろぉぁぁっぁぁ!!」

「むごい......。こんな......。置いてかないで!置いてかないで!」


王国兵は、腰を抜かして動けない者を除き、逃げ出した。勿論待ち伏せしていた騎士団に捕らえられたが。アンネリアが一歩詰める。やめてくれ、と懇願する王国兵に、アンネリアは問いかけた。


「むごい?なんで自分でやってたのに思わなかったのですか?」

「何の事だ......?」


アンネリアは淡々と、自分の怒りをぶつける。


「大切な、平和な日常を奪って......。皆殺した。」

「おれはっ......、殺してなんか......。」

「無関係でいられると思っていたのですか?」


アンネリアが槍を高く上げる。槍先を王国兵に向けて。


「アンネリア、やめて!」

「奴の戦意はない!殺すな!」

「プォージートを返して!」


そして、力いっぱいにそれを振り下ろした。

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