奪還まで
「くそっ!王国兵が何故!?」
「分かりません。今は身を隠しましょう。」
「ごめんなさい。足を引っ張るかもしれません。」
王国兵が昼頃に襲撃を行い、たった三時間と経たずにセントレイクが陥落した。俺、エデルジートことエデライブジートは、途中までは前線で戦っていたが、見たことがある顔がいた為に、途中で顔を見られぬように後ろに下がった。そこからは遠距離攻撃で牽制をしていたが、南側に光の柱があがったと思ったらそこ周辺に爆撃が始まり、あっという間に更地になったのが確認できた。
「あの顔......。」
今は夜。森に身を潜め、少しずつセントレイクから離れるように移動をしている。ミレーマーシュとテレヴァンスも、危険が及ぶ可能性があり、団長と団員という関係だ。捨て置く事はできない。
「私も見ました。たしか......、スティアビートと言いましたか?」
「ああ、サイサンシュレイトを陥落させた、アンデルビート国王の側近だ。」
城下町には火の手があがり、城に飛んでくるのは[茨]。必死の抵抗も虚しく、城は茨に飲み込まれていった。スティアビートは茨を操るスキルのように見えた。その茨に貫かれた父上の姿を思い出す。
「......嫌な思い出だな。」
「団長......。」
テレヴァンスが心配そうにしているが、虚勢を張って安心させる。
「大丈夫だ。ここから打開してみせる。」
森が少し明るくなる。
森を抜け、夜が明け、俺の「茨の城」が見えた。
「本当にやるのですか?」
「お前達はここで待機だ。非戦闘員が居ることは出来ない。」
太陽が真上に位置している。
そんな中、森の近くの洞穴にミレーマーシュとテレヴァンスを待機するように命令し、俺はサイサンシュレイトの方向へ向いた。
「このタイミングでサイサンシュレイトを奪還するなんて......。」
「勝算が無いわけではない。」
サーテレラとラッテルタ、それぞれの親族が、サイサンシュレイト領の様子をチェックしている。俺はそれらの情報を、サーテレラとラッテルタ経由で受け取っていたのだ。それらによると、そこを治めているのはカタラプラという人らしい。そして、そこに配置されている王国兵は、スティアビートが指揮する王国兵らしい。つまり、スティアビートがセントレイクを攻め入ったのなら、サイサンシュレイト領の守りは薄いのではないだろうか。
「それに、今サイサンシュレイトが襲撃されたのなら、セントレイクに居る王国兵はこちらに戻ってくるだろう。そうしたら、もしかしたらあちらでも対処できるかもしれない。」
「......私は反対です。が、エデライブジート坊ちゃんが考えて、考えた結果なら、私はそれを支持します。」
「エデルジート団長......、生きて帰ってきてください。ヴィンデートも、シリアスさんも、ハルセンジアさんも、エミラッシェさんも、貴方を信じていますから。」
それらの言葉は、俺の心に突き刺さり、そして奮い立たせた。
「最期っぽく言うな。俺は生きて帰ってくるから。」
そうして、一歩を踏み出した。




