第四十話 三つ巴
ビシュレックライガの機動力を奪う為に、森に引いたら王国兵に攻撃される。それを嫌ったのなら、この消耗の中でビシュレックライガを含めた三つ巴をしなければならない。
「森には退くな!騎士団が押さえている!」
「ビシュレックライガの攻撃が来ます!」
ただ、狙いがわからない。ビシュレックライガは地面を蹴って......。
「え。」
「エミラッシェ!」
ハルセンジアさんがすぐに反応して、エミラッシェさんを掴んで引っ張る。しめたと思ったのか、後ろからガズバースが斬りつけようとするが、シリアスさんが魔法弾を飛ばしてカバーをした。
「ぐっ!」
攻撃力と守備力のステータスが下がり、奴はすぐに立て直せないと分かった瞬間、俺の体が動いていた。腹を狙って斬るが、剣で防がれる。追撃をしようとした時、俺の横をかすめて、後ろから追尾性の光線が飛んできた。それらはガズバースに直撃し、彼は地面に背中をつけてしまった。それを見て、ハルセンジアさんは飛び掛かり、三回斬りつけ、シリアスさんは防衛陣を発動し、騎士団と俺達をガードする。
「殺しはしない。知ってる事を吐いてもらおうか。」
「......すまない、アスタルテ。」
そう言って、爆発した。肉塊と血が宙を舞い、鉄の臭いが鼻を突き刺してくる。
「うっ......。」
全員が腕で口を押さえ、吐くまいと堪えている。しかし、防衛陣にビシュレックライガが攻撃を始めてきた。
「ガアアァァッ!」
「シリアス、防衛陣は?」
「まだ大丈夫です。回復しながら王国兵の動きを伺いましょう。」
エミラッシェさんは無事だったらしく、すぐに怪我人の回復を始める。そうして三分ほど膠着状態が続いた頃、ビシュレックライガが王国兵へ攻撃を始めた。
「撤退するようです。北へ向かっています。」
「一応ある程度はこのまま待機だ。ビシュレックライガはどうする?」
「王国兵とじゃれあってもらいましょう。もしこちらに来たら全員で集中攻撃です。」
ガズバースの死体を片付けながら、これからの事について話し合う。
「一度戻るか?」
「アルニエスも居ないことですし、続行は不可能でしょう。」
ラクタウトが肯定し、それにオスターとラッテルタは頷く。だけど、時間的に夜になってしまう可能性がある。それを言ったが、今は急ぐべきだという結論となった。その時、セントレイクの方面から赤髪の男の子が走ってきた。よく見たら、傷だらけで火傷もしている。
「アッツァディア!?何故ここに?」
オスターが駆け寄り、エミラッシェさんに癒すように言う。シリアスさんが防衛陣を解いて、エミラッシェさんが癒し始める。その途中で、何があったのかを尋ねる。
「あのね、外から沢山の人が入って来て......、剣とか槍とか魔法で攻撃しだしたの......。」
「何?」
「僕、逃げ出して......。足速いから、僕だけ逃げちゃったんだ。」
おそらく街が襲撃されたのだろう。このタイミング、偶然とは思えない。
「おっと......、少ししゃべりすぎたか。計画が悟られてしまう。」
ガズバースの台詞を思い出す。そして、二つが繋がった。
「エデルジート団長が狙いですか!?」
俺の叫びにはっとしたハルセンジアさんはすぐに馬車に乗るよう指示し出した。俺とアッツァディア以外に。
「ヴィンデートはアッツァディアを連れて森を抜けろ。おそらくはすぐに出れるだろうから、デート・ガルディアに協力を要請してくれないか?」
「はい、必ず遂行します。」
そうして俺はデート・ガルディアへと向かい始めた。




