第二十六話 室内戦闘
「エデルジート団長、騎士団が怪しいと思えてきたのですけれど。」
「何故だ?シリアス。」
執務室。昼食が終わった後にエデルジート団長に最近の疑問を相談してみた。
「恐らく[王の道]を初めて発見した時も、アルニエスは[探知]を使ったのでしょう?そうしたのなら、ファントレル騎士団長は、アルニエスが[王の道]を[探知]出来ると知っていたのではないでしょうか。」
「それは俺も思った。それを調べる為にオスター、サーテレラ、ラッテルタに聞いてみた。そしたら[王の道]を探す任務を言い渡され、誰にさせるか話し合っているところにアルニエスが挙手したらしい。恐らくアルニエスの暴走だろう。」
全員騎士団のメンバーだが、一応証言は取れたらしい。
しかし、なにかもやもやしたものが体の中を回っている。
違和感。今は気づけない。
「屋根裏......。やはり這って行くしかありませんよね?」
「それでどうやって退治するんだ。はぁ、煙を焚いておびき出せばいいだろう?」
想像力が足りなかった。少し落ち込んで俯くと、頭をぽんぽん叩かれる。
「まあ経験だからな。沢山の仕事をこなして慣れていけ。」
集合住宅の一部屋。あまり広いとは思えない部屋の中で、正方形にくり抜かれた天井を見上げて、ハルセンジアさんは呪文を唱える。
「ビート・アンクリア・タイトレア」
くり抜かれた天井に、煙が吸い込まれるように飛んでいく。
キッキという鳴き声と共に、ぺたぺたと叩かれる天井。
ついにはあらかじめくり抜いていたもう一方の天井から、煙と共に落下してきた。
「室内戦は体が小さい方が空間を広く使えて動きやすい。注意しろ。」
「はい。」
抜刀。そして呟く。
「[ステータスオープン]。」
「約三十匹、天井から湧き続けるぞ。」
まずは六匹。こちらに攻撃をしてくる事を察知し、奴らが移動する場所に剣を振るう。剣の重さを活かし、斬る。その間にも天井から降って来るレレティックに焦りを覚えた頃、ハルセンジアさんが抜刀した。
「奥は相手する。今いる奴らを俺に近寄せるな。」
「え、危険では。」
そう言っても聞かずに、湧いて出てくる天井に向かって走って行った。
「ハルセンジアさんの背後を取らせないように......。」
いや、今だ。
レレティック達の注目がハルセンジアさんへ向かった。その背後を取り、斬りかかる。残りの相手するべきレレティックは二匹。完全にこちらを危険視したようで、攻撃力と守備力がハルセンジアさんへ注目が向かった時より高くなる。
「展開させないよう......。」
気持ち少し壁側に寄る。二匹とも視界におさめる為だ。
甲高い声をあげながら、二匹は左右に展開して向かってきた。
奴らの進行方向、狙われるのは今いる位置。少し下がりながら、剣の長さを活かして突く。
二匹とも片足にダメージ。態勢を崩したところを、二匹まとめてなぎ払った。
「次は奥側......。」
そう呟き、ハルセンジアさんの方向を向く。
そこには、レレティックの死体の山が積み上がっていた。
「もう落ちて来ないか?」
「全て倒したんですか?」
ああ、と言って天井を見上げている。
全て倒したか確認するために、一度天井を全てくり抜くらしい。
集合住宅の人々を呼び戻した。
「全滅ですね。見事な腕前、本当に感謝しています。」
「ああ、報酬は管理支部へ支払うように。あとは万が一退治しきれていない場合は、すぐに届け出るように頼む。迅速に対処する。」
全ての天井をくり抜き、レレティックが残っていないことを確認した。
報酬は管理支部を通ってギルドに納品されるらしい。今回の取り分は、約一対四か。討伐した数をざっと計算したが、そのぐらいだ。
「ではヴィンデート、帰るぞ。」
少し暗くなっている。仕事帰りの人が、大通りの流れを作っている。
北側へ向かう為に、俺達は大通りの左側を通る。
「今回仕留めたのはたった六匹だが、着実に戦闘が上手くなっているぞ。」
「ありがとうございます。」
ハルセンジアさんから褒められ、少し誇らしい気持ちになる。
しかし、同時に少し厳しい言葉も飛んできた。
「レレティックはかなり階級の低い魔獣だ。立ち回りは大事だが、頭を使わずとも倒せるようになれば今後が楽だぞ。」
ハルセンジアさんによれば、考えてから動いているように見えるらしい。
少し落ち込むと共に、やる気も出てきた。
「実践を通して、強くなっていきたいです。明日もよろしくお願いします。」
ハルセンジアさんが満面の笑みで頷いた頃、茨の城団が見えてきた。




