第三話 救援
「エデルジート団長、暇ですの?」
「暇だ。仕事が回ってこない。」
まあ最弱ギルドだからな。団長がそんなネガティブな発言をすると、ギルド内が何とも言い難い雰囲気になるから言わないが。
暇々してるとシリアスが駆け込んできた。
「大通りで無差別テロの報告が入りました!騎士団長から出撃の命令です!」
「魔法で拘束するべきだったか。」
「油断した。」
彼らはそう言って、俺達に手の平を向ける。
「ヴィンデート、倒すよ。もう逃げれない。」
「......うん、[ステータスオープン]。」
あの爆発でねーちゃんの片足がやられたらしい。さっきは相当無理したのが分かった。
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アルニエス 46 歳
攻撃力 42
守備力 11
魔力量 35
速さ 18
体力 73
獲得スキル
[基礎魔力操作]
[基本光魔術]
[探知]
[属性拘束]
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ミラシュレイン 24 歳
攻撃力 69
守備力 7
魔力量 42
速さ 19
体力 66
獲得スキル
[基礎魔力操作]
[基本地魔術]
[基本双剣術]
[属性拘束]
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「左側のやつ、一撃に注意すれば片方よりはマシかも。」
「分かった。支援して。」
ねーちゃんはそれを聞くや否や飛び出した。
「「[属性拘束]」」
「遅いっ!」
身を低くしてかわし、右側のアルニエスに足払いをかけようとする。
左側のミラシュレインは油断したのか、守備力が4に下がった。
「今!」
「はっ!」
ねーちゃんは咄嗟に方向を変え、バネの様なジャンプ力でミラシュレインに跳び蹴りをかました。
「がっ...!」
「ねーちゃん、後ろ!」
宙に浮いた状態は対応出来ない。そう思ったであろうアルニエスは殴りかかった。しかしねーちゃんは、ミラシュレインを蹴り、その反動で顔面に回し蹴りを入れる。
「ぐうっ!」
「っ......!」
体勢を崩したねーちゃんは体を地面に強く打ちながら転がるが、すぐに立ち直る。
「ミラシュレインの体力は66から42、アルニエスは73から67。」
「跳び蹴り入れた奴がミラシュレイン?結構つらいわ......。」
ねーちゃんの体力も、もう限界か...。
7という数字を見て、俺は焦る。
その時。
「そこまでだ!全員捕らえろ!」
「騎士団だ!騎士団が来たぞ!」
「......退くぞ。」
「ああ。」
アルニエスとミラシュレインはそう言って、ジャンプして家の上に乗った。
「逃がすな!茨の城団以外は追え!お前らは子供を保護しろ。」
「はっ!エミラッシェは嬢さんを、シリアスは病院で介抱する部屋の準備だ。」
茨の城団と呼ばれた人達は、俺達を布で包んで抱え上げた。
「あ、ありがとうございます。」
「気にすんな。仕事だ。」
金髪の男はそう言って、ねーちゃんを保護したクリーム色の髪をした女性に指示を出す。
「嬢さんは足に火傷を負ってる。ああ、癒しをかけろ。」
「わかりました。」
女性はねーちゃんの足に触ったと思うと、緑の光を放った。
「......すごい。ありがとうございます。」
足の火傷が治っている。こういう能力もあるのか。
「どういたしまして。エデルジート団長、次は男の子にかけるわ。」
「ああ、どうぞ。」
俺にも癒しをかけると、体の痛みが引いたのが分かる。
お礼を言おうとしたとき、病院に行ったであろう走って来た小柄な男が報告する。
「エデルジート団長、先の混乱で怪我人が大量にいると病院から。ですのでこの子達は茨の城団の寮で介抱しましょう。」
「分かった。シリアス、寮に空き部屋二つを整えてゆくようにと連絡してくれ。」
「はっ。」
シリアスと呼ばれた小柄な男はうねうねの黒髪を揺らしながら走って行った。
......ん?ここで癒すのなら病院に連れていく理由はないんじゃないか?
疑問を感じていると、エデルジートは優しく尋ねてくる。
「お子さん達、詳しくは寮で聞くからな。親の職場は知ってるか?」
「......親はいません。」
ねーちゃんはそう言って、盗みの事は上手く伏せて事情を話す。
「そうか......、大変だったな。」
エデルジートは悲しげな顔をする。
同情、だろうか。
「準備するように言ってきました。着く頃には出来るでしょう。」
シリアスが走って戻ってきた。ここと病院と寮を往復するとは、距離は分からないがかなりの持久力だとは思う。
「そうか、では寮で介抱してあげろ。俺は騎士団長に報告をする。」
「はっ。」
そして俺達は、茨の城団の寮に行く事になった。




